くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「きみの色」「南郷次郎探偵帳 影なき殺人者」

「きみの色」

落ち着いた色調と淡々と進むシンプルなストーリーがとっても優しい作品だった。登場人物の具体的な背景はほとんど描かず、主人公が見るそれぞれの人の色だけを人物描写にした作りも面白い。監督の山田尚子作品としてはそれほどハイレベルじゃないのですが、彼女独特の色合いが映画に溢れているのがとっても気持ちのいい映画だった。

 

長崎、一人の少女トツ子がクラシックバレエのレッスンをしている場面から映画は幕を開ける。やがて彼女は高校生になり、あるミッション女子ハイスクールの寄宿舎で暮らしている。彼女には人を色で見る才能というかクセがあった。いつも夢見ているような彼女は、体育の時間、ドッジボールをしていて、きみというキラキラ光る少女のボールを顔に受けて失神してしまう。

 

後日、トツ子は、もう一度きみに会いたくてクラスに行くが、彼女は突然学校を辞めたことを知る。そんなある日、きみを町の本屋さんで見かけたという声を聞いたトツ子は、本屋巡りを始める。しかしなかなか見つからない。ふらふら歩いていたトツ子は、一匹の白い猫に誘われるままに、しろねこ堂という古本屋に立ち寄る。そしてその店にいるきみと再会する。きみはギターの練習をしていた。トツ子は、つい自分もピアノをしていると言ってしまうが、そこへ一人の青年ルイが声をかけてくる。以前からギター練習しているきみに声をかけようと思っていたという。トツ子は勢いで、バンドメンバー募集中と声を上げその場でバンドが結成されてしまう。

 

きみは祖母と二人暮らしだが、祖母に学校を辞めたことが言い出せなかった。ルイの母は島で昔から医院をしていて、ルイに跡を継いで欲しいと思っていてルイも高校を出たら大学へ行く予定をしていた。学校では修学旅行が行われたが、きみはその間どこかへ行かなければならなくなる。トツ子は、仮病を使って修学旅行を休み、きみを泊まらせてやるが、それが日吉子先生に見つかってしまう。

 

トツ子ときみは奉仕活動と反省文を言い渡され、ルイはその間一人で練習を続ける。三人それぞれが自分の思いを作曲していた。やがて奉仕活動も終わり夏休み、トツ子ときみはルイの島で練習をするが、船が欠航し、戻れなくなってしまう。トツ子は日吉子先生に事情を話し、日吉子先生は合宿ということで処理してくれた。帰ってから、ルイは音楽が好きであることを母に話し、きみは学校を辞めたことを祖母に話す。

 

学校では、卒業前の聖バレンタイン祭りが行われようとしていた。日吉子先生はしろねこ堂にやってきて、トツ子たちのバンドも出るようにと勧める。きみ、ルイらは聖バレンタイン祭りに備えて練習、やがて本番当日、生徒たちの喝采を浴びてステージは終わる。まもなくしてルイは大学に行くため島を離れることになり、桟橋からきみとトツ子が見送る。トツ子は一人校内でバレエを舞っていて映画は終わっていく。

 

日吉子先生の立ち位置が今ひとつ見えにくいし、トツ子が赤、きみが青、ルイが緑と光の三原色であったり、題名の君はきみを意味するものでもあるというさまざまなこだわりは後から振り返れば見えてくるのですが、十分に描ききれていない気もします。さらにトツ子が人を色で見るという作品の本筋も効果的に使われていない気もするのですが、みていてほんのり優しくなれる映画だった。

 

「南郷次郎探偵帳 影なき殺人者」

今となっては、普通のサスペンスドラマという作品。若干、後の「探偵物語」的なオシャレ感がないわけではないけれど、天知茂ではそのオシャレ感は無理が出るし、単純な犯罪映画として楽しむ作品でした。監督は石川義寛

 

刑務所から神崎という麻薬犯罪者が出所してくるところから映画は幕を開ける。彼は迎えにきた車に乗るが、後を板津刑事らが追うが、藤縄建設のトラックに邪魔をされて逃してしまう。直後、神崎の死体が上がる。弁護士で探偵の南郷の元に女から電話が入り、約束のホテルに行くと女は殺されていた。南郷は後を警察に任せて女が預けていた鍵を受け取り、貸しロッカーから鞄を持ち出す。

 

小田急に乗った南郷は箱根から南郷のバッグを受け取った男を追いかけようとするが、駅でマダム風の女に呼び止められ、芦ノ湖へ行くように言われる。南郷が芦ノ湖へ行くとモーターボートが突っ込んできて、あわや殺されそうになる。そこを一人の美女が助けるが、美女は名前を言わずに立ち去る。翌日、南郷からバッグを受け取った男が殺される。最初、ホテルで殺された女は神崎の情婦で、箱根の男はその情婦の弟だった。

 

殺された彼女を調べていた南郷は、箱根で南郷を助けたのが彼女が勤めていたバーのマダムであることを知る。さらにバーのマダムも殺されてしまう。マダムは宝城寺商会の竜子から金を借りていた。そして南郷の助手京子の尽力で、芦ノ湖で南郷を救ったのが竜子であることを突き止める。南郷は竜子を車で追うが、途中崖から落とされ大怪我をする。別荘に隠れていた竜子は、麻薬ボスから香港へ飛ぶように指示され、空港へ行くが待っていたのは板津刑事だった。板津と南郷は竜子を追い詰め、ついに自主を納得させて物語は終わる。

 

物語を次々と複雑に展開させた感があり、面白いよりもストーリーを追うことに費やされて、もうちょっと思い切って削ぎ落とした方がよかった気がします。