「カミノフデ 怪獣たちのいる島」
CG全盛期にあって、着ぐるみ特撮への熱い想いが全開、そして見ている私たちも、忘れかけていた特撮への浪漫を思い出させてくれるとってもほのぼのとした良い映画でした。しかも、着ぐるみ特撮がこんなに迫力があったんだと改めて感動してしまった。八岐大蛇の場面はワクワクしてしまい、CGのリアリティよりよっぽど面白かった。監督は村瀬継蔵
レトロな怪獣や特撮映画の場面が次々と映され、物語は怪獣造形などの巨匠時宮健三が亡くなったと言う場面に移って映画は幕を開ける。この日、時宮健三の遺品を展示したお別れ会が催されていて、そこに彼の孫である朱莉も顔を出す。実は幼い頃に祖父に突き飛ばされた思い出があり、祖父を嫌っていた。
そんな彼女の前にクラスメートで特撮オタクの拓也が現れる。朱莉は、何の思い入れもない祖父の遺品をガラクタのように考えていたが、二人の前に穂積という男が現れ、かつて時宮健三が完成できなかった「神の筆」という映画に出てくる筆を探して欲しいと言う。その瞬間、朱莉と卓也は、「神の筆」に出てくる島に飛ばされてしまう。
朱莉と卓也はそこで、「神の筆」のプロットに出てくる生物や盗賊が現れ、さらにこの世界を消滅させるために八岐大蛇が現れる。朱莉と卓也は、自分たちの持っている知識と、祖父の思いを駆使してついに八岐大蛇を倒し、現実の世界に戻ったかに思えたが、そこに再び八岐大蛇が時空を超えてやってきて襲いかかる。朱莉は、頭の中で八岐大蛇に対抗できる時宮健三が作り上げた海魔神を蘇らせ、八岐大蛇は退治される。そのとどめを刺さんとした時、朱莉は、この世界を消滅させることはやめて欲しいと懇願し、全てが終わり海魔神も元の世界に戻っていく。
元の展示室に戻った朱莉は、祖父に突き飛ばされたのは、そこに刃物があったためだと記憶が蘇り、祖父の遺品を残したいと母に話して映画は終わっていく。
とにかく、今は見られなくなった手作りの特撮シーンがとにかく楽しいし、迫力満点で、今の映画人もこういうものを見直して欲しいと思います。
「熱烈」
ストーリー展開のテンポがいいので見ていられるし、余計なところは深く掘り下げずにあっさり進むので、余計なストレスなく楽しめるのですが、カメラが良くないのか、ブレイクダンスの華麗さよりごちゃごちゃ感が前に出たので、せっかくの感動のドラマが今ひとつ緩急が噛み合わなかった感じです。映画としては実に薄っぺらい作品だった。監督はダー・ポン
主人公チェンがステージでダンスしている場面から映画は幕を開ける。ワンステージいくらといういわゆるバイトダンサーである。実家の食堂を手伝い、叔父のイベントでパフォーマンスし、洗車場でバイトをして忙しい日々を送っているが、ストリートダンスでいつかは身を立てたいと思っている。
一方、この地で代表的なダンスチーム「感嘆符!」を率いるディンは、ケビンをリーダーにこの日も大会に出場していたが、身勝手で高飛車な態度のケビンはこの日もギリギリ間に合うように現れ、ステージでチームメイトのミスを罵ったりするものの、結局優勝する。しかし不満を隠せず、現在のチームメイトをクビにするように要求する。彼の父は大富豪で、練習場の賃料はその父が払っていた。ディンはそれを拒否したため、ケビンは自身でメンバーを集め出す。
ディンは、全国大会までの代役として、かつてオーディションに来たが、その時落としたチェンをしばらく雇うことにする。ひたすら練習を重ねるチェンの姿にチームメイトはいつの間にか一つになっていく。そんな時、ケビンは海外のメンバーをまとめたチームを率いて戻ってくる。ディンは、国の代表チームのコーチや、世界大会も視野に入れるという中、ケビンを受け入れ、チェンをクビにするが、納得のいかないまま、ついにケビンと決裂することを決意する。
ケビンらは2位のチームを買収して全国大会出場の権利を得て、ケビンらのチームと「感嘆符!」との優勝をかけたバトルが始まる。そして、大バトルの末、逆転した「感嘆符!」が優勝して映画は終わる。
脇役の背景をあっさりと流しているために、映画に深みがでず、単調なダンスバトル映画に終始したのはちょっと勿体無い気がしますが、単純なエンタメ映画だと割り切れば、これはこれで楽しめる映画だったかもしれない。