くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラムの大通り」

「ラムの大通り」

名作だった。こんなロマンティックコメディを作っていた時代が羨ましいくらい、映画が夢の世界だった頃の一本を見た気がしました。どこまでが現実でどこまでがファンタジーか、何もかも笑い飛ばしてしまう陽気さに終始画面を見入ってしまいました。楽しかった。監督はロベール・アンリコ。

 

1925年、時は禁酒法時代、酒の密輸をしているコルニーはこの日もジャマイカからニューオーリンズへ、酒を運んでいたが、アメリカの巡視船に見つかってしまう。このルートはラムの大通りという有名な航路だった。そして、銃撃された上に体当たりされて船は大破、コルニーはある海岸に流れ着く。駆けつけた警察の車を奪って逃走したコルニーだがいく当てもなく、酒場で皿洗いを始める。しかし、稼ぐ方法があると店主に言われて行った先は暗闇ゲームと言って、大勢に暗闇の中で銃で撃たれ、助かれば金をもらえるという賭博だった。コルニーは何度も撃たれるも助かり、とうとう大金を手にして船を買ってジャマイカキングストンの港に帰ってくる。

 

早速次の仕事を依頼されるが、たまたま女の子とのデートが雨で流れ、立ち寄った映画館で見た映画に出ていた女優リンダに一目惚れしてしまい、切り抜きを自身の部屋に貼り過ごすようになる。そんなコルニーに新しい仕事の依頼が来るが、その出発前夜に酒で酔ってしまい、海岸でリンダに似た女性を見かける。ところが、それはなんと本物のリンダ・ラリュだった。

 

コルニーはリンダに映画のことを熱く語り、その夜リンダにパーティに誘われ、コルニーはいそいそと出かけるが、そこは映画関係者がどんちゃん騒ぎをする場だった。そこで勢いで酒の飲み比べをし意識を失ってしまう。

 

コルニーが目が覚めるとリンダの部屋だった。そして二人は愛し始める。一方、コルニーが仕事をしないので、仲間たちがコルニーに船を借りて密造酒を回収するべく出航しようとしていたが、コルニーはリンダを連れて船に乗り込んでしまう。ところが密告者がいて、アメリカの巡視船にまたもや見つかってしまう。銃撃を受ける中、リンダが舵を取ることになるが、それを近海を航行していたハモンド侯爵のイギリスの船が発見、コルニーの船を庇って巡視船から助けてやる。

 

のちにハモンドはリンダにプロポーズし、爵位に目が眩んだリンダはあっさり受けてしまう。結婚パーティに呼ばれたコルニーは、一週間以内にリンダが自分のところへ来ることがあれば暗闇ゲームをするという賭けをハモンドとする。そして案の定、リンダはコルニーの部屋を訪ねることになり、負けたハモンドは暗闇ゲームの的になる。しかし、最初から遊びだったコルニーたちは空砲を撃って誤魔化す。それを知ったハモンドは、決闘をしようと言い出す。その頃、リンダはハリウッドの映画会社に誘拐連れ出されてしまう。

 

コルニーとハモンドが海岸で決闘を始めるが、密輸業者摘発のために駆けつけた警察に捕まる。やがて1933年、禁酒法が解かれ、コルニーたちは釈放される。大勢の密輸業者が近くのバーに駆けつけ酒を飲み大暴れする。その中、コルニーはリンダの巨大なポスターを目にし、映画館へ向かう。そこではハリウッド大作に出ているリンダの姿があった。映画の中で船乗りの肩に乗って歌うリンダの姿をうっとりと見つめるコルニーの目には、リンダを肩に乗せる自分の姿があった。映画が終わり、誰もいない客席でスクリーンを見つめるコルニーの姿で映画は幕を閉じる。

 

本当にロマンティックファンタジーという素敵なラブストーリーで、犯罪映画の如く始まるオープニングがいつの間にかドタバタコメディに変わり、さらに夢のようなロマンティックラブストーリーに変化していく。そして映画の色合いは常にコミカルに、そして粋に展開していく。古き良き黄金時代の映画と言えばそれまでですが、こういう夢のような作品こそ映画の真骨頂ではないかと思いました。楽しかった。