くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「ビバ!マリア」「あの人が消えた」

ビバ!マリア

めちゃくちゃに良かった。ユーモア満載の演出に、シリアスな話もコミカルにファンタジックに展開する様は群を抜いた傑作の風格十分。しかも大作らしい大群衆のクライマックスは映画というものを堪能させてくれます。ラストは拍手喝采してしまいました。本当に久しぶりに本物の名作を見た感動に浸っています。監督はルイ・マル

 

なにやら砦に向かう兵士、カメラが引くと一人の幼い少女マリーがまりのようなものを持って走ってくる。そして父親らしい男に手渡すが、それはなんと導火線で、男が火をつけると彼方の砦が爆発。時は19世紀末である。男とマリーは次々と爆破テロを繰り返していく。やがて数年が経ち、少女は大人の女性になり、この日も海に潜って導火線を父に繋ぐ。さらに橋を破壊せんと待ち構えるマリーだが、橋で作業していた父が見つかってしまい撃たれる。それでも爆弾のスイッチを入れるマリー。大爆発で橋は崩れる。

 

そんなマリーは貨物列車の屋根に隠れてとある小さな街にやってくる。たまたまそこに逗留していた旅芸人のロドルフォー一座の馬車のところに来ると、1人の男が馬で去り、後を女が追いかけるが追いつかず、自分の部屋に戻ってピストル自殺してしまう。その女の相方マリアが駆けつける。一方マリーは一座の馬車の屋根で眠っていたが、一座が旅立ち、一緒についていくことになる。マリーが眠っていた馬車はマリアの馬車で、マリーはマリアの部屋に入りマリアに助けられる。(2人とも同じマリアという名だが、区別するために、ブリジット・バルドーの演じる方をマリー、ジャンヌ・モローの演じる方をマリアと書いていきます)

 

やがてイギリス領を抜けた一座はマリーも加えて、初舞台を迎える。ステージで二人が歌っていたがマリーの服が破れ、マリーはそのまま次々と服を脱いでいく。負けじとマリアも脱ぎ始め、二人の舞台は大喝采を受ける。そしてマリアとマリアというステージは人気を博し、あちこちの街で公演することになる。マリーは行く先々でゆきずりの男性と恋をするが、マリアは舞台の後一人の男性に声をかけられるも、袖にしてしまう。

 

道中で、ある村が大勢の政府軍に襲われている現場を見て、マリーは我慢できず発砲したために一座はこの地を統括するロドリゲスの軍隊に拉致されてしまう。そこで、軍隊に拘束されているフローレンスという革命家に出会う。なんと、かつてマリアに声をかけてきた男だった。彼はマリアの大ファンだったのだ。

 

翌日、ロドリゲスにマリーとマリアは呼ばれるが、二人は巧みな演技をしてロドリゲスをケムに巻く。一方拉致されていたロドルフォーらも持ち前の芸を使って牢屋を脱出、マリーらを助けるべく駆けつける。マリーはロドリゲスの部屋にあった機関銃で応戦して、フローレンスやロドルフォーらは脱出するがその途中フローレンスは撃たれて瀕死の状態になる。

 

フローレンスはマリアに、自分の村に連れ帰って欲しいと頼み、ロドルフォーらはフローレンスの村に辿り着く。しかし、独裁者に反旗を翻して殺し合うフローレンスを村人は白い目で見ていた。間も無くしてフローレンスは息を引き取るが、独裁者に隷属する村人にマリアがシェークスピアのセリフを使って大演説をし村人たちは目を覚まし、隠していた武器を手にしてマリアたちを先頭に革命に立ち上がる。彼らの合言葉こそ「ビバ!マリア」だった。

 

待ち構えるロドリゲスの軍隊に戦いを知らない村人たちは苦戦する。最初は乗り気でなかったマリーだが、根っからの革命家の血が騒ぎ、マリアたちを助けロドリゲスを撃退する。ロドリゲスは逃げ帰り、政府のリーダーに助けをこう。マリアたちは行動を共にする群衆を次々とまとめて、汽車を乗っ取り首都サンミゲルを目指し始める。ところが、独裁者側の司教らが巧みにマリアたちに近づき、汽車ごとマリアたちを拉致する。

 

ロドルフォーらは、待ち構える同志を伴って、サンミゲルの街へ押しかけ、銃撃戦が繰り広げられる。司教らはマリアたちを拷問して、国中に降伏するようにという文書にサインを求めるが、拷問の道具が古くて役に立たない。劣勢になった独裁者はマリアとマリーを銃殺するようにに命令、あわや銃殺というところへ、革命軍が襲い掛かり、マリアたちを救出、独裁者も殺され、悪徳司教も首を落とされて、大団円。ロドルフォー一座はマリアとマリーを乗せて街を旅立ち、ヨーロッパに戻ったマリアたちのステージが映されて映画は幕を閉じる。

 

とにかく、ユーモア満載で、クライマックスの銃撃戦では、ロドルフォー一座の奇術師が鳩に爆弾をつけたり、力自慢の男が独裁者を倒したり、ナイフ投げの少年が敵を殺したり、射撃の名手ロドルフォーが曲がった銃身の銃で敵を次々倒したりととにかく面白い。最後に、媚を売った司教は部屋に帰る途中で爆弾を投げられ、とれた首をだかえて階段を降りるシュールでコミカルなシーンも絶品。こんなコミカルで楽しい映画久しぶりだった。これが映画の醍醐味と言わんばかりの大名作でした。アンリ・ドカエのカメラも美しいし、ジュルジュ・ドルリューの音楽も軽快だった。良い映画を見た。

 

「あの人が消えた」

小手先でお気楽に作りました感満載の映画ですが、テレビドラマ以下レベルの適当さがうまくミスリードになって、これはこれで面白かった。ホラーサスペンスからコメディに変わり、さらにロマンホラーへ締めくくる二転三転は、少々あざといながらも楽しめました。監督は水野格。

 

夜のマンションに一人の女性が帰ってくる。ポストをチェックしていて背後に気配を感じ、自室前まで逃げるが結局絶叫と共に場面が変わって第一章と流れて映画は始まる。宅配員をしている主人公丸子は、仕事のミスも多く上司に睨まれている。四年前のコロナ禍で職を失った後ようやく手にした仕事だった。

 

あるマンションに二週間前から担当になり配達をしているが、いつ行っても留守だったり、やたら喋る長谷部というおばさんだったり、生真面目だがゴミの分別は行わない巻坂、小うるさい沼田などの住民を一人台詞で語っていく。そんな彼の先輩荒川はネットに小説を投稿していたが、丸子が読んでも全くおもしろくなかった。そんな時、たまたま読んだ「スパイ転生」という小説にはまっていく。作家はコミヤチヒロというペンネームだった。

 

ある日、いつものようにマンションに配達しに行った際、小宮千尋という住人に配達することになる。丸子はまさかあのコミヤチヒロかと疑ったが、どうやらどう一人物だと確信する。ところが、小宮の部屋に同じマンションの島崎という男がドアを執拗に開けようとする姿を見かけ、小宮に危険が迫っているのではないかと勝手に思い込んで調べ始める。

 

島崎の隣の長谷部は、島崎が血だらけでベランダにいたことがあるとか、島崎は売れない芸人だとかの情報を得、荒川にも相談する。島崎の部屋を訪れた丸子は盗聴器らしいものを室内に発見したりする。しばらくして沼田がマンションを出て行ってしまう。ますます疑念が深まる中、ある夜は島崎が小宮を抱えて部屋に消える姿を見たりするにつけて、近くの交番に届けにいくが、結局巡査は何もなかったと答える。

 

疑念が深まる一方、警察も当てにならないと思った丸子は、小宮の部屋にあっさりと入っていく島崎を見かけ、それに続いて小宮の部屋に入ってしまう。ところが中から小宮が出てきて、さらに島崎も現れ、丸子はどうしようもなくなる。そこへ心配した荒川が駆けつける。実は小宮も島崎も公安の警察官で、寺田という上司の指示で潜り込んでいる告白する。このマンションにテロリストのスパイがいるという情報を得て、MI6にも在籍していた別府は島崎と名を変え、須藤も小宮と名を変え潜入、長谷部や巻坂らの部屋に盗聴器を仕掛けた件やその後、盗聴器を長谷部の部屋の猫が食べていたり、丸子が落とした配達先のメモを電話番号と思って掛けたら梅沢富美男の家だったりなどのお話がコミカルに続き、これまでのシーンの真実が語られ、結局、テロリストは巻坂だったことがわかったと言われる。

 

ところが、須藤=小宮の部屋の本棚に梅沢富美男の本があったり、別府温泉の本があったり、これまで話していた話のネタのようなものが散乱しているのを発見した丸子は、「スパイ転生」で出てきた、頭文字をつなぐとメッセージが見えるというトリックを思い出す。そして、ネタらしいものの頭文字をつなぐと「すべてうそ」となっていた。丸子は、咄嗟にテーブルの下にテープを落とし、テーブルの下を覗くと、島崎は小宮にナイフを突きつけていた。荒川に合図を送りなんとかしようとし、丸子は卓上のスクラップブックが島崎に投げ、そのタイミングで荒川が島崎を押さえつけた。

 

警官が到着し、事情聴取の中、最近連続殺人鬼を追っていたことが明らかになる。そして、巻坂も長谷部も、丸子が勝手に、ここは危ないという手紙を配ったために、このマンションから避難していて助かった。ところが、警察が話す連続殺人鬼という言葉が気になった丸子が問い詰め、鑑識が出て行った浴室を覗くとそこに丸子の死体があった。丸子が小宮の部屋に上がり込んだ際、やってきた島崎に刺されたのだ。ところが丸子を心配して荒川がやってきたので、嘘の話を作り上げることになったらしい。丸子は、全てを知り、住民たちも丸子の疑心暗鬼な行動で助かったことに感謝、小宮にも礼を言われた丸子は、あの世へ旅立っていく。目覚めた丸子はスパイの姿でキリッとしていた。そこへお姫様風の小宮が現れる。「スパイ転生」そのままに生まれ変わって映画は幕を閉じる。

 

最初はどうなることかと思うほどに稚拙な展開でお話が進むが、次第に奇妙な違和感が実はミスリードだと分かり始めると途端に面白くなり、梅沢富美男ギャグあたりから、どうもおかしいと思ったら案の定の二転三転、ダメ出しのエンディングを迎えるあたりは、小賢しいとはいえ面白い。気楽にみて、面白かったと言える映画はこれはこれで良いのかもしれません。