くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「私生活」(4Kレストア版)「裸で御免なさい」

「私生活」

ブリジット・バルドーの実生活を重ね合わせたような作品ですが、期待以上の傑作でした。細かいカットとフェードインフェードアウトを繰り返し、緊張感を決して途切らせない演出で描く一人の女優の半生。クライマックスの畳み掛けとラストシーンの延々としたスローモーションに映像表現の極致を見た気がしました。素晴らしい名作だった。監督はルイ・マル、カメラマンはアンリ・ドカエです。

 

ジュネーブレマン湖の辺りの大邸宅に住むジルがスタジオでダンスのレッスンをしている姿から映画は幕を開ける。ジルはダンスのコンダクターディックがパリに行くと聞いて、一緒にパリに行くことにする。しかし、ジルはディックにもダンスにもそれほど興味はなかった。ジルは演劇雑誌の編集者であるファビオに恋焦がれていたが、彼にはカルラという恋人がいたので、やや諦めていた。彼の会社に行ってもファビオは仕事一本でジルに気が付かないほどだった。

 

パリに行ったジルだが、ディックのスタジオでレッスンするも、ふとしたことで喧嘩をして飛び出してしまう。ジルは生活のためにモデルをするようになるが、まもなくして映画の世界に入っていく。そして三年が経つ。ジルは映画女優としてトップスターの人気になるが出演している映画が露骨であったり、世間の反感を買うものが多く、次第にその矛先がジルに向けられるようになり、街でも罵倒されるようになって次第に精神を病んでくる。

 

ジルは黒髪に変装しマネージャーに療養所を連れ出してもらってジュネーブに戻ってくる。ジルはそこでファビオの会社を訪ねる。ファビオはカルラと疎遠になっていた。ジルは両親の家に戻るがカメラマンが家を取り囲む。母の機転でジルは自宅を脱出し、別荘へ向かう。ファビオはそこでジルが自殺未遂したりするにつけ次第に心がジルに向いていく。ところが、その別荘もジルのマネージャーがジャーナリストに情報を売ってしまいカメラマンが押しかけてくる。ファビオはジルを自分の家に匿う。やがてジルの精神も落ち着いてくるが、ファビオは、以前から企画していた舞台の仕事でイタリアへ行かざるを得なくなる。

 

ファビオはジルを仕事場のそばの古いイタリアの貴族の大邸宅に誘う。ジルは母の愛人のグリシャの車でファビオが用意した邸宅にやってくる。しばらく部屋に引きこもっていたジルだが、退屈で街に出てしまう。失踪していたジルが見つかったと大勢のカメラマンに取り囲まれ大騒動になる。そこでジルは、古い友人のカメラマンアランと再会する。ジルは窓を隠して邸宅の部屋に再び引き篭もるが、アランやその仲間を引き入れて遊ぶようになる。

 

ファビオはアランらを快く思わず、遠ざけるようにジルに言う。アランは宣戦布告し、大勢のカメラマンで大邸宅を狙い始める。ファビオはジルを奥の部屋に隠すが、とうとう、舞台本番の夜にジルと喧嘩してしまう。それでもファビオは仕事に行かざるを得ずジルを残して現場に向かうが、そこでカルラと再会する。カルラもファビオの舞台を見にきていた。カルラは、ジルにも見てもらうべきだとファビオにアドバイスする。ファビオはジルに、現場から電話をして謝罪して見にきて欲しい旨を伝える。

 

ジルは、邸宅の屋根に登り、隙間からファビオの舞台を見る。ファビオも現場から屋根の上のジルを見つける。ジルを探していたカルラも屋根の上のジルの姿に目が止まる。ところがアランもジルを狙ってカメラを構えていた。ジルが屋根の上で身を乗り出した瞬間、アランのカメラのフラッシュが焚かれ、ジルは屋根から落下、長いスローモーションで延々とジルが映され、カメラがジルのアップになって映画は終わる。

 

細かいカットで緊張感を高めた末に、終盤の鮮やかな展開からのスローモーションという映像のリズムが素晴らしい作品で、映画の面白さを堪能させてくれる一本だった。これこそ名作です。

 

「裸で御免なさい」

十数年ぶりの再見でしたが、やはり面白い。シンプルそのものの物語なのに、クライマックスのすれ違いのコミカルな展開が抜群で、ロジェ・ヴァディムの脚本参加がなした結果かもしれません。楽しい映画でした。監督はマルク・アレグレ

 

セクシー小説と言われる「野菊を摘みて」が気になる地元ヴィシーの名士デュモン将軍が本屋に立ち寄るところから映画は幕を開ける。実はこの小説を書いたのは彼の娘アニエスだった。食事の席でデュモン将軍は小説家になるというアニエスに大反対し、強制的に修道院へ入れようとする。そして駅までアニエスを連れてきたデュモン将軍だが、すんでのところでアニエスは反対の汽車に飛び乗りパリに向かってしまう。

 

列車の中で、切符のないアニエスの窮地をジャーナリストのダニエルとロジェが助ける。アニエスはパリで大邸宅に住む、画家で兄のユベールの住所を渡して別れる。アニエスが兄の住所にやってきたが、誰もいないうえに入れず、アニエスは窓を割って勝手に中に入り、そこにあった古い本を一冊盗んで売ってお金にしようとする。ところがここはバルザックの記念博物館だった。そうとは知らずアニエスバルザックの初版本を売り、服や靴を買って、ダニエルの会社に行き汽車賃を返す。

 

ダニエルはどこか惹かれるアニエスとデートをするが、アニエスに聞いた住所がバルザックの博物館と知っているダニエルは、アニエスの行方を探すがアニエスの姿が消えてしまった。アニエスは兄の家と思っている博物館に帰るが、翌朝、見物人を案内してユベールがやってくる。そしてアニエスと出会い、さらにバルザックの本がなくなっているのも気づいてしまう。アニエスはようやく、ここがただの博物館だと知る。本を取り戻そうと古本屋へ行くが、金を戻してもらわないと返せないと言われる。たまたまアニエスは、素人ストリップ大会のチラシを見て、その賞金で本を取り戻そうと考える。

 

アニエスは兄らに内緒でストリップ大会に出ることになるが、いざステージに出る番になって躊躇し、仮面をつけてソフィアの名で出演するが、その素人臭さが好感で優勝してしまう。ところがその大会にダニエルらも取材に来ていた。ダニエルは早速、ソフィアを口説き落として仮面の下を見ようと楽屋にやってくる。そしてダニエルはいつものように愛を囁くが、ダニエルの意図を知らないソフィア=アニエスはダニエルに不審を抱き始める。実はこの直前、アニエスはダニエルにプロポーズされていた。

 

アニエスは、優勝の賞金をもらうにはヴィシーで行われる決勝大会に出なければいけないと言われる。ヴィシーは両親のいる地だった。一方、ダニエルらもヴィシーの決勝戦でソフィアの仮面の下をカメラに収める計画でヴィシーのカジノにやってくる。デュモン将軍は、カジノへアニエスを探しにくるが、地元名士ゆえストリップ大会の審査員に誘われてしまう。ユベールは、両親の元に戻り金の段取りは済ませていたが、アニエスはステージにでざるを得なくなっていた。ダニエルは執拗にソフィアに迫り愛の言葉を囁くものの、実は特ダネのためだとアニエスが知ることになり、仮面をとって素顔を見せ二人は口付けをする。

 

ステージでは、ソフィアが紹介され、てっきりアニエスだと思っているデュモン将軍は目を覆うが、ソフィアとして現れたのはアニエスの身代わりになったロジェの恋人だった。直後、アニエスが現れ、一緒にいたダニエルがアニエスと結婚させて欲しいと告白してハッピーエンド映画が終わる。

 

シンプルそのものの物語なのに、終盤のドタバタ劇が実に軽快で面白く、この場面を見るだけでも値打ちがあるほど楽しい。こういう、気楽に見れるのによくできたコメディというのは、脚本の美味さもありますが、流石にこの時代ならでは職人監督の手腕がなせるものかもしれません。