くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「がんばっていきまっしょい」(アニメ版)「ダブルベッド」

がんばっていきまっしょい」(アニメ版)

キラッキラの青春映画の秀作、原作のエッセンスを突き詰めた作りではあるものの、演出が実にテンポ良くてセンスがいいのでどんどん引き込まれてしまいます。田中麗奈の名作デビュー作のアニメリメイク版で、オリジナルが大好きな作品なのでかなり不安でしたが、ラストシーンで、もう一回見たいと思うほどにハマってしまいました。良かった。監督は櫻木優平。

 

悦ネエがプールサイドで寝そべっているところへ、親友のヒメが声をかけてくるところから映画は幕を開ける。カットが変わりクラス対抗のボート競技、悦ネエは、途中で完全にやる気を無くしてしまう。クラスに一人の転校生リーがやってくる。元々ボート部に入りたくてこの学校に来たのだが、現在ボート部は悦ネエ、ヒメ、二宮の三人しかいなくて活動できていなかった。根っからの陽気なリーは、勢いで悦ネエらの参加を希望、そこに、ダッコとイモッチが、ボート部に入ると突然やってくる。とりあえず人数合わせに悦ネエも参加してボート部はスタートするが、未経験者ばかりでチグハグに進んでいく。

 

地区大会に出たものの、大迷惑の末に最下位、その後も全く勝てない日々がすぎる。元々体力がない悦ネエは足を引っ張らないように自主練に励み、ようやく最下位は脱出する。夏休みの合宿を終えたボート部は、秋の花火大会に行くことになる。悦ネエは浴衣でやって来たが、そこで二宮とリーが親しくしている場面を見てしまったりする。実は悦ネエは二宮が好きなのだろうが、そこは描かない。

 

この日浴衣を着たせいかどうかはともかく、悦ネエは風邪を引いてしまい練習を休む。そして、戻って来ても今ひとつ練習に身が入らず、気が緩んだ隙にオールを折ってヒメに怪我をさせてしまう。すっかり自暴自棄になった悦ネエに、リーはついビンタしてしまう。悦ネエは小学校の頃は体が大きくて、何をやってもリーダー的な存在だったが、中学に入った頃から周りに追い抜かれ、それ以来何もやる気が失せていた。

 

悦ネエがボート部に来なくなり、練習のない日々が続くが、ボート部員は次第に暇を持て余してくる。さらに悦ネエも何か空虚感を感じ始める。そんな時、ライバル校の部員と話す機会があり、そこで悦ネエは何か吹っ切れ、メンバーに戻る旨の連絡を入れる。高校最後の大会が迫っていた。

 

悦ネエらは猛特訓をし、やがて大会、全員が一つになって奮戦、結局優勝はしなかったというカットで、悦ネエも成長し、みんな前に進む感じで映画は終わる。

 

少々アニメの適当感が見え隠れするが、モーションピクチャーの使い方が悪かったか、主要人物の個性の描き分けが不十分かというちょっと不満もあるものの、全編、ハイキーな色彩と光の演出、昭和色あふれるBGM、そしてエンディングの爽やかなオリジナル曲で、見終わってとっても気持ちよかった。いい映画だったと思います。

 

 

 

「ダブルベッド」

SEXに対する男と女の性を徹底的に追い求めて行く中で、恋愛の意味、夫婦の存在感を組み合わせて行くストーリーがちょっとした仕上がりの一本。当時の日活なので、やたら濡れ場が散見するものの、その息苦しさがメッセージをぶれることなく描いて行く作りは流石に上手い。今見れば時代色も感じられるが、こういう作品が最近は減って来たなと思います。監督は藤田敏八

 

友人の葬儀に仲間の加藤敏之とその妻雅子が同席している場面から映画は幕を開ける。死んだのは学生時代に友人で、その友人は教え子と無理心中したらしい。敏之と雅子は帰りに、かつてよく行った居酒屋に立ち寄る。そこに理子がいた。そこへ同じく友人の山﨑徹がやってくる。理子と待ち合わせだったらしい。店を出た後、加藤は自宅に山﨑を誘うが理子は来なかった。三人で飲んで、敏之は先に寝る。残った雅子と山﨑はそれとなく惹かれるが、深夜、加藤夫婦の喘ぎ声を聞いて家を後にする

 

後日、山﨑は敏之を酒に誘うが敏之は自分はいけないが雅子が相手をすると答える。当然の流れで、山﨑と雅子はホテルで体を合わせる。その後、山﨑と雅子は逢瀬を繰り返すようになるが、一方山﨑は理子との関係が薄れて行く。理子は妹由子と同居していて、山﨑は由子とも関係を持とうとするが前に進まない。由子は大学の映研でピンク映画まがいのものを撮っていた。敏之にもスナックの正子という恋人もいた。

 

理子は図書館に勤めていて、そこにくる男と体を合わせる。雅子は山﨑の家に入り浸るようになり、とうとう敏之の知るところとなるが、敏之は責めるでもなく戻って来て欲しいと懇願する。やがて、山﨑は雅子の関係から遠ざかり、理子の家に住むことを決める。この日、寿司屋の店員を家に入れた雅子は店員とSEXをする。こうして映画は終わって行く。

 

男女関係をドライに淡々と描いて行く中で、SEXに対する視点の曖昧さ、夫婦関係の意味の不確かさをさりげなくしかも辛辣に描いて行くタッチの作品で、こういう、ある意味ギラッとした作品は今は見かけなくなった。