くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「カーリングの神様」「波光きらめく果て」「グレース」

カーリングの神様」

適当に作った感満載のゆるゆるなローカル映画だった。登場人物とそれぞれの描写も、ストーリーの踏み込みも、絵作りも普通で何の変哲もない映画だった。監督は本木克英。

 

カーリングを日本に広めたと言われる御代田町、小学校以来の幼馴染の香澄たちだが、小学校の時に結成したカーリングチームみよステラも今は活動をしていなかった。そんな彼女らの前にカーリング国際大会のエキシビジョンマッチの出場の話が舞い込んでくる。香澄はかつてのメンバー優芽、沙帆らに声をかけ、みよステラ再結成しようとする。かつての仲間で今は軽井沢のチームに参加している舞にも声をかけたが、いい返事がもらえず、メンバー不足を懸念したが、東京から転校してきた実乃梨が参加することになる。

 

実乃梨は、素人ながら天性の才能で、また周辺のリードでみるみる実力をつける。そして、軽井沢チームとエキシビジョンマッチ出場を賭けての試合が始まる。しかし接戦の末、軽井沢に負けたみよステラだが、舞も戻ってくることになり、来年に向けて練習に励んで映画は終わる。

 

たわいないとしか言いようのない作品で、脇に田中麗奈柄本明などを配しているとは言え、生かす気もなく、凡々と物語が進むだけの作品だった。

 

「波光きらめく果て」

芸映画の名編という感じのとってもクオリティの高いいい映画だった。落ち着いた演出と丁寧で美しいカメラワーク、叙情的な景色、人間の心の機微の微妙な動きを見事に描き出した描写は素晴らしい。全盛期の松坂慶子が抜群に綺麗だし、脇役も地に着いた演技で中心の物語をしっかりと支えていく姿は必見の一本だった。監督は藤田敏八

 

越後湯沢、雪が深々と降る中、羽季子が駅に降り立つ。泊まる宿もなく、通りがかりの番頭に古い老舗旅館に案内される。今泉というかつての夫広野の部下と不倫したために離婚した羽季子は、湯沢温泉の織物屋に引きこもった不倫相手今泉の住む地へやってきた。今泉に手紙を送り、自ら大量の睡眠薬を飲んで旅館で眠るが、はなから死ぬ気はなかった。羽季子は駆けつけた母富栄と共に、壱岐の島へやってくる。

 

叔父武弥に迎えられた羽季子は、叔父の厳しい監視のもとで暮らし始める。この地には羽季子の従姉妹で武弥の娘浩子と、その夫敦巳夫婦もいた。浩子は懐かしさで羽季子と親しくするが、羽季子の世話を敦巳がするうちにお互い愛し合うようになってしまう。逢瀬を繰り返す敦巳と羽季子だが、狭い村ゆえにどことなく噂になっていく。当然、浩子も薄々知ることになる。

 

そんな時、出張で博多に来た羽季子の元夫透がやってくる。そして海外赴任が決まりもう一度羽季子と結婚したいと迫る。叔父や母も賛成するが、羽季子は好きな人がいるからと断ってしまう。武弥も富栄もそれ以来羽季子をのけものにするようになり、浩子は自殺未遂を起こして入院してしまう。それでも羽季子と敦巳は関係を断つことはできなかった。

 

浩子が退院してくるというので、武弥は浩子と息子を引き取ることにする。羽季子は武弥の家を出ることにし、最後に敦巳と会って一人タクシーに乗り、朝日を見るために旅立っていく。こうして映画は終わる。

 

流麗とも言えるカメラワーク、自然の景色を美しく捉えた映像をバックに、素朴な中に激しい恋に燃える二人を描く一方で、その恋に苦しめられる周りの人々の苦悩もしっかり描いていくタッチが見事。出来栄えのいい映画というのはこういうのをいうのだろうと感心してしまう一本だった。

 

「グレース」

淡々と語られるロードムービーで、ロシアという国を知らないとほとんど理解できない作品だった。監督はイリヤ・ポボロツキー。

 

赤いワゴン車で十六歳の少女とその父親が移動映画館で旅をしている。母親が亡くなったことで二人の間に微妙な影を落としている雰囲気が描かれていく。いく先々で細々と生活する二人だが、途中で魚の伝染病で道路が封鎖され、寂れた海辺の街にたどり着く。彼らを追って一人の青年がバイクで追いかけてきた。父は立ち寄った家の女主人と一夜を共にし、娘は追ってきた青年と何処かへ去る。その際、車のフロントガラスを破る。

 

父は娘を探すが見つからず、青年と娘はホテルで体を合わせるが、娘は青年に、後を追わないでと告げてさっていく。そして父の車に拾われる。海岸に辿り着いた娘は、海に母の遺灰を撒いて映画は終わっていく。

 

とにかく、劇的なドラマもなくひたすら描かれるロードムービーという雰囲気なので、正直何を見ていくべきかわからないままに終わってしまった。