くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「最も重要なものは愛」「デス・ウォッチ」

「最も重要なものは愛」

ロミー・シュナイダー特集で初公開された作品。映画のテンポが悪いのか、物語の核が見えない上に、背後の音楽と映像がチグハグで、わざとかもしれないが、ストーリー展開が混乱して最後まで行った気がしました。ロミー・シュナイダーの魅力も特に見えないし、怪作という感じの映画でした。監督はアンジェイ・ズラウスキー

 

低俗なポルノ映画の撮影現場にカメラがゆっくりと入っていく。現場の写真を撮ろうと潜り込んできたカメラマンセルヴェは、演じている女優ナディーヌと目が合う。その時から二人は惹かれ始めるが、ナディーヌには夫ジャックがいた。ジャックはどうやらゲイらしく、後日セルヴェがナディーヌに早朝会いにいくと、コメディアン風に出迎えてくる。

 

セルヴェはナディーヌを応援したく知り合いの演出家に舞台に出演させるように画策、ナディーヌは舞台の仕事が決まるが、そんなそれぞれがジャックには素直に受け入れられず次第に嫉妬が高まっていく。ナディーヌの周りに集まる個性的な面々の姿が映画をよりシュールに混乱させていく。しばらくして、セルヴェのアル中の父が階段から落ちて、その怪我が元で死んでしまう。

 

ジャックはついにナディーヌを喫茶店に呼び出し話をしナディーヌを家に帰した後自殺する。その直前ジャックはセルヴェを店に呼んでいた。セルヴェはこの日も低俗なポルノの撮影現場にいたが、今後この仕事はしないと宣言する。しかしセルヴェの父はポルノを撮っている老婦人に借金があったらしく、後日セルヴェの家に押しかけた老婆たちはセルヴェをリンチにして帰っていく。そこへナディーヌがやってきて抱き合って映画は終わる。

 

とまあ、こういう話だったと思うのですが、必然性のない脇役が次々と出てくる上に。長回しを多用したカメラワークと、ミステリーかホラーかわからない雰囲気のBGMが突然挿入されたりと混乱してくる映像作りになっている。中心の話は三角関係の男女の話だと思うが、脇の演出にも同じ力配分がされているので、どうも見づらい仕上がりになった作品だった。

 

「デス・ウォッチ」

ロミー・シュナイダー特集で初公開された作品。強烈なマスメディア批判の映画かと思えば、男女のヒューマンドラマにも見えるし、近未来のSF仕立てなので、もっと他にも見方があるようにも見える。いずれにしても、定まった視点が掴みにくくてやたら長く感じてしまった。監督はベルトラン・タヴェルニエ。

 

一人の男ロディが目の検査をしている場面から映画は幕を開ける。どうやら目にテレビカメラを仕掛けたらしく、常に光を当てていないと失明する等の説明を受けている。病気で亡くなる人が殆どいなくなった近未来、デス・ウォッチという、死に瀕した人をリアルタイムで放送する番組が人気だった。TV局のプロデューサービンセントは、先日までデス・ウォッチの取材対象だった人物が亡くなり、次のターゲットを探していた。そして、知り合いの医師のもとに検診に来た美しい人妻キャサリンが余命幾許もないことを知り、ターゲットに交渉することにする。

 

いつの間にかデス・ウォッチの宣伝画面にキャサリンの写真が使われ不快な思いをしていたキャサリンだが、ビンセントの提示する契約に乗ることにする。そして36時間後から番組スタートすることにして前金を手にし、高級車をあてがわれ、夫と買い物に貧しい市場へ出かける。そこでキャサリンはウィグを手に入れ、夫を撒いて行方をくらましてしまう。ところが、教会の共同宿泊所で眠るキャサリンをロディが発見、何食わぬ顔で接近して目のカメラで撮影を始める。

 

病状が悪化して、失禁やヒステリー症状を発症してくるが、ロディはその様子をカメラに収めていく。宿泊所を出た二人は、一緒に行動するようになる。やがて死期が近づいたと判断したキャサリンは、ある岬に行きたいとロディに頼み、ロディはキャサリンをその岬に連れていく。買い物したいとキャサリンが言うが、村に行くのは目立つからと代わりにロディが村に行き、そこでデス・ウォッチの番組を目にする。

 

キャサリンのあまりに惨めな姿を捉えた自分に嫌悪感を持ったロディは、帰り道、目に光を当てるために持ち歩いているペンライトを捨ててしまう。すぐに激痛が走り、あわててペンライトを探すが見つからず、駆けつけたキャサリンがペンライトを見つけ手渡すがすでにロディは失明していた。カメラ映像が途切れたテレビ局ではキャサリンの行方を探していた。

 

ロディに全てを聞いたキャサリンは岬のそばの草原の奥に住む元夫ジェラルドの元を訪れる。その頃、テレビ局のプロデューサービンセントは、ロディの妻トレーシーと相談していた。実はキャサリンの病気は視聴率を取るためのフェイクで、薬を飲むことで死の直前まで持って行って、寸前でもとに戻すことにしていた。キャサリンが元夫の性をいまだに名乗っていることからビンセントたちはジェラルドの住まいを発見し連絡してくる。

 

ジェラルドはテレビ局の計画をキャサリンに話すが、キャサリンは、残りの薬を全て飲み、ジェラルドに、テレビ局の人を入れないようにと最後の願いをする。間も無くビンセントたちがやってくる。真相を知らなかったロディが激怒してビンセントにつかみかかるが、ジェラルドらに抑えられ、ビンセントたちはジェラルドから、キャサリンは亡くなったと知らされて帰っていく。ロディはジェラルドにトレーシーのことを紹介して映画は終わる。

 

なぜキャサリンが旧姓を使ったのか、現在の夫に何を望んだのか、結局、何に復讐をするべく自死を選んだのか、ちょっとわからないところがあるので、全てこの作品を理解できたと思えないのですが、物語構成が良くないのか非常にダラダラと見えてしまいました。