くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「戦場にかける橋」(4K)「ファーストキス 1ST KISS」

「戦場にかける橋」

何回目の鑑賞だろうか、午前十時の映画祭でまた見に来た。これくらいの名作になると、素人がどこかどうと言えないほど画面に釘付けになる。なぜ引き込まれるのかと言われても具体的に説明できない。それが名匠と呼ばれる監督が描いた証拠なのだと思う。今回再見して、改めて、組織の中で狂ってしまった人々の虚しさ、絶望感、人生観、そして人間の愚かさが切々と感じることができたし、そこを微に入り細に入って書き込まれた脚本、そして、160分近くある大作なのに、緻密すぎるほど細部に渡った細かい演出、そして映像展開のリズムに背筋が寒くなってしまった。やはりこれこそ名作と呼ぶに相応しい傑作だった。監督はデヴィッド・リーン

 

タイビルマ国クワイ川に向かっていく線路の工事現場、ジャングルの奥地へ進むカメラの映像で映画は幕を開ける。テレビ放映時は早川雪洲のナレーションが入っていたと思うが、今回はない。しかも字幕が刷新されていて、ちょっと違和感を覚える翻訳も見られたが映画の迫力で吹っ飛んでしまった。

 

ジャングルの奥地、日本軍の捕虜収容所、斎藤大佐率いる日本軍は米英軍の捕虜を使ってクワイ川に橋梁を建設していた。米軍捕虜たちが作業の中で死んだ捕虜を埋めている。米軍捕虜のシアーズ中佐は脱走の機会を窺っていた。そんな収容所にニコルソン大佐率いる英軍捕虜がやってくる。斎藤大佐は将校もすべて作業につくようにと命令するがジュネーブ条約で禁止されているとニコルソン大佐は断固拒否、斎藤大佐と険悪な状態になる。ニコルソン大佐の態度に、斎藤大佐は英軍将校らを終日たたせたままにし、将校の一人は暑さで死んでしまう。

 

態度を変えないニコルソン大佐に、斎藤大佐は、将校らを営倉にに閉じ込めてしまう。軍医は、斎藤大佐とニコルソン大佐を説得しようとするがお互いに頑として考え方を変えなかった。橋の建設は一向に進まず、目標日の5月13日の開通が危ぶまれることになる。その中、シアーズ中佐らは脱走を図るが、一緒に逃げた二人は殺され、シアーズ中佐も川に落ちてしまう。

 

やがて日露戦争戦勝記念日がやってくる。斎藤大佐は、工事を完成させるべく、ニコルソン大佐らに恩赦として営倉を出し、将校は建築現場に監督という形で参加させることを求める。しかし、申し渡した後、斎藤大佐は屈辱に一人涙する。ニコルソン大佐らは橋梁建設に加わるが日本軍の三浦が設計した建築現場に無理があると判断し、下流の岩盤の上に作り直すことを提案、ニコルソン大佐は、自身の名誉のために自ら指揮を取ることにし、後世に残る橋を作る目標を立て、組織を組み直して建設にかかる。

 

その頃、シアーズ中佐は、原住民の村に辿り着きそこで助けられて体力を回復して、与えられたボートで川を下りジャングルを抜ける。そしてイギリス軍に救出される。傷病退役の申請をして本国へ戻ることが決まったシアーズ中佐だったがウォーデン大佐に呼ばれる。クワイ川の橋梁を破壊する任務があり、現地を知るシアーズ中佐に任務について欲しいと依頼する。シアーズ中佐は難色を示し、さらに自分は実は中佐というのは詐称していたのだと告白する。しかしウォーデン大佐はそのこともすでに知っていた。そしてシアーズは少佐待遇で任務に就くことになる。

 

ウォーデン、シアーズ、チャップマン、ジョイスら四人は夜間パラシュートで降下するがチャップマンは降下時に命を落とす。彼らは現地の女性を荷役に使い目的地を目指すが、当初の通路を通らないことになり、シアーズは何のために来たのかと疑問を投げかける。三人がジャングルを進むが、途中で日本軍兵士と遭遇し、その争いの中でウォーデンは足に負傷してしまう。なんとか現地にたどり着いたのは橋が完成し、その開通式の前日だった。夜間橋梁に爆薬を仕掛け、翌日通過する日本軍要人を乗せた汽車もろとも橋を破壊するべく準備し、川の対岸でジョイスが爆薬のスイッチを押す段取りをする。収容所では、橋の完成を祝ってイギリス軍捕虜たちは祝宴をあげていた。

 

そして夜が明ける。ところが川の水位が下がり、爆薬や、導火線が顕になってしまう。橋の上では式典が行われ、彼方から汽車の汽笛が聞こえてくる。橋の上にいたニコルソン大佐は、川に違和感を感じ、導火線を発見する。ニコルソン大佐は斎藤大佐を伴って川に入り、導火線を辿っていき、爆破スイッチを守るジョイスに辿り就く。斎藤大佐の命令でウォーデン大佐らと銃撃戦が始まり、その中でシアーズはニコルソン大佐の目の前で撃たれて、斎藤大佐はジョイスにナイフで殺される。銃撃戦の中ニコルソン大佐も撃たれ、気を失いかけて爆破装置の上に倒れて橋梁は爆破され、やってきた汽車は落下、軍医の男は「狂っている」と呟いて映画は終わる。

 

シアーズたちがジャングルで出会った日本兵がウォーデン大佐に殺された後に家族の写真が映されたり、銃撃戦になる前に空に鳥が舞ったり、せっかく逃亡に成功したシアーズが、再度ジャングルに送り込まれた上に何お必要もない役割になってしまったり、ニコルソン大佐が式典の前日に斎藤大佐と話した後ずっと持っていた指揮棒を川に落としてしまったり、最後の最後、爆破されそうになる橋を見て「自分は何のために」と呟いたり、超大作なのにきめ細かい作りに圧倒されてしまいます。組織の人間の儚さ虚しさが切々と描かれたまさに傑作で、本当に名作だなと改めて胸が熱くなってしまいました。

 

 

「ファーストキス1ST KISS」

坂元裕二脚本という事で,切ないラブストーリーを期待、久しぶりにコメディエンヌの松たか子が見れてとても楽しかったけれど,ちょっと物語が整理不足で,しかも、さりげないエピソードを思い切って削除していったのはいいのですが、残すところを残すともっと深みが出たように思います。たとえば恩師の天馬教授,その娘のくだりがやや雑なのと、過去で十五年前の自分と出会うまでというタイムリミットがうまく生かせていない上に,過去に戻る回数は、台詞でなんとなく聞こえるが,そこも無制限にしか見えず、物語のスパイスになっていないのは勿体無い。でも、クライマックスのもう一度幸せな夫婦生活を目指すという落とし所は、流石にうまいなと思いました。監督は塚原あゆ子

 


線路に硯駈が落ちるシーンに続いて、妻のカンナが自宅で一人過ごしているカット、舞台美術をしている場面に続いて映画は幕を開ける。駈と結婚したラブラブの頃が描かれ、やがて二人の結婚生活が急速に冷めて、離婚届を書くまでになる。現代、首都高速を運転していたカンナは突然地震か何かに遭遇し、トンネルを抜けると十五年前、駈と出会った日に戻る。チェキで写真を撮りにくる二人の子供のショットを繰り返すことでコミカルな展開になる。

 

若き日のカンナは、この日ブライダルの鐘のオブジェを仕上げるべくこの地に呼ばれていた。そこでカンナは、若き日の駈と再会する。そして、なるべくしてまた言葉を交わすようになるが、時間が戻ることを知ったカンナは駈の命を守るべく再び現代に戻る。そして、再度十五年前に行って、駈に、駅で事故に合わないように様々なアドバイスをするが、現代に戻ると駈の位牌はそのままだった。しかも、過去に戻った日に若き日のカンナと遭遇すると息苦しくなることがわかり、過去で若き日のカンナと会うまでの数時間で駈の運命を変えることが必要だと判断し、付箋に出来事を時系列に書いて自宅の部屋に貼り、どこを修正すべきか何度も過去と現代を往復しながら行動し始める。

 

しかし、一向にうまくいかないカンナは、自分と結婚しなければよかったのではないかと、出会った日に自分を嫌うように仕向け、さらに教授の娘と結婚するように持ち掛けようとする。しかし、なかなかうまくいかず、一旦普通に出会って親しくなってからと考えて、過去に行くたびに並んだ人気のかき氷店に行くことになる。ところが店の座敷に上がる際、靴下にくっついていた付箋を駈が見つけてしまう。そこには「2024年、駈の事故死」と書かれていた。駈はカンナを問い詰める。そして、半信半疑ながら納得するのだが、カンナはもう一度やり直すと駈のそばを飛び出す。しかし駅で、この地にやってきた若き日のカンナと遭遇し、息苦しくなり駆けつけた駈に抱き起こされる。

 

駈は、カンナと出会って結婚後、冷たい関係にならないように、幸せな十五年間の結婚生活ができるなら死も受け入れると話す。カンナは現代に戻り、かつての教授の娘の今の姿の彼女と出会い、自分と結婚すべきだったと言われる。十五年前の駈は再びカンナと出会い、やがて結婚、そして今度はカンナを大事にして幸せな結婚生活を送った後、運命の日、駅で亡くなってしまう。カンナはカレンダーに挟んである駈の手紙を発見、彼が体験した不思議な出来事を知る。こうして映画は終わる。

 

いい感じのラブストーリーに仕上がっているのですが、やや詰めが甘い。本筋はいいお話なのに、もうちょっと物足りない。松たか子が抜群に面白いのだが、それが活きているのは前半のみで、後半は活かせていないのも惜しい。相手役の松村北斗がちょっと松たか子の相手には力量不足だし、傍に配置した教授役のリリー・フランキーや、娘の森菜々らが後一歩物語に絡みきれていなくて、ここも後少し念入りに描いて欲しかった。とは言っても、好きなタイプの映画なので損をしたとは思いませんでした。