くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「愛を耕す人」「セプテンバー5」

「愛を耕す人」

退屈もしないし、非常に丁寧に作られた作品なのですが、物語の構成が平坦で緩急がないために非常に長く感じてしまった。実話ということで、エピソードを余すところなく描いた感がとっても好感で、絵作りも美しく、主演のマッツ・ミケルセンの静かな演技も胸に迫ってくるので、見終わった後の充実感はさすがという映画だった。監督はニコライ・アーセル

 

18世紀デンマーク財務省にやってきたケーレン大尉は、辺境地の開拓を申し出る。その地は兼ねてから何度も開拓を試みたが失敗に終わっている不毛の地だった。ケーレン大尉は、貴族の称号を見返りに、自身の年金を資金源として財務省の了解を得る。しかし、なかなか開拓がままならない状況だった。この地を領地だと豪語する地元有力者デ・シンケルは、ケーレンの計画を阻止しようとする。

 

差し当たり使用人の必要を感じたケーレンは、若き牧師アントンに紹介されて、ケーレンの農場から逃げてきたアン・バーバラとその夫を雇う事にする。さらに、時折忍び込んで盗みをする黒人の少女アンマイ・ムスを使って、近くで野営しているタタール人に開墾の協力を申し出る。人足も揃い開拓が前に進み始める。しばらくしてアンマイ・ムスはタタール人の集団から逃げ出してケーレンの家に住むようになる。ケーレンはデ・シンケルの邸宅でノルウェー国王の娘で、デ・シンケルの従姉妹にあたるエレルと出会う。

 

純粋な気持ちを持つケーレンにエレルは心を惹かれる。デ・シンケルは、次第に開拓が進むケーレンの邪魔をするべく画策を続け、タタール人を雇うことは法に反するということで追い出してしまう。土を手に入れに出たアン・バーバラの夫がデ・シンケルに捕まってしまい、収穫祭で招待されたケーレンの目の前で殺されてしまう。悲嘆に暮れるアン・バーバラだったが、共に生活するアンマイ・ムスと暮らす中で、ケーレンに心が惹かれていく。ギリギリの食事で病気になってしまったアンマイ・ムスをなけなしのヤギを殺してその場を凌ぐケーレンだった。

 

とうとうジャガイモの収穫に成功したケーレンは財務省に報告し、王の指示で入植者も手配される。あくまで自分の領地だと言い張るデ・シンケルは、ならず者を使って入植者を襲う。ならず者のアジトを逆に襲うべく入植者に協力を仰ぐが、不吉なアンマイ・ムスを遠ざけないとやらないと言われ、仕方なくケーレンはアンマイ・ムスを修道院へ預け、ならず者を急襲して皆殺しにする。アンマイ・ムスを遠ざけたケーレンに嫌気がさしたアン・バーバラはケーレンの元を去る。

 

ならず者を急襲した際に、将校の一人を殺したケーレンは、デ・シンケルによって捉えられ、牢獄に繋がれる。そしてアン・バーバラの夫を殺したのと同様に煮湯を浴びせようと準備する。その頃、アン・バーバラはデ・シンケルの屋敷に次女として潜り込んでいた。そしてデ・シンケルの飲み物に毒を入れて届けようとするが、それをエレルが見つけ、エレルがデ・シンケルを呼んで巧みに飲み物を飲ませてしまう。そこへアン・バーバラが現れ、デ・シンケルを殺して逮捕される。

 

ケーレンは釈放され、アンマイ・ムスを迎えに行ってまた一緒に生活を始める。ことの次第を知った財務省からも貴族の称号と大勢の入植者が手配される。そして時が流れ、アンマイ・ムスも立派な女性に成長していた。そんなアンマイ・ムスも通りかかった職人の一人の青年と結婚を決めてケーレンの元を去っていく。アン・バーバラは、過酷な女刑務所に送られるという情報がケーレンの元に届く。ケーレンは開拓地を後にし、アン・バーバラの輸送馬車を襲ってアン・バーバラを助け出して映画は終わる。

 

どこでエンディングにするかというのがちょっとタイミングを逃したような気がする仕上がりの作品ですが、真摯に描かれた良質の作品だったと思います。

 

 

「セプテンバー5」

実話とは言え狭い放送ブースの中で展開する緊張感あふれる見事な作品だった。ほとんど屋外に出ることなく、屋外の映像はカメラを通しての画面がほとんどで、そのもどかしさもかえって臨場感の中に放り込んでくれる。悲劇の事件なので決して面白かったというのは良くないかもしれないが、映画としては最後まで手に汗握る見事な一本だったと思います。監督はティム・フェールバウム。

 

1972年秋、ドイツミュンヘンで行われているオリンピックのニュース映像から映画は幕を開ける。アメリカのABC放送は衛星中継で世界へオリンピック映像を送っていたが、ケーブルの不具合で映像が途切れる。現地ドイツのスタッフからケーブルを手にしたABCのスタッフとドイツ人でABCに勤めているマリアンネは、放送ブースの彼方での銃声に気がつく。間も無くしてドイツのラジオから、オリンピックの選手村、イスラエル人チームの宿舎にテロリストが潜入し、人質をとって立てこもったとニュースが入る。

 

ABC放送のスポーツ局のリーダールーンは、現地にいるスタッフとしてこの事件を生中継することを決定し、まだ助手だったジェフに現場を任せて行動を開始する。現場を初めて任されたジェフはドイツ語の通訳が出来るマリアンネを右腕にして、カメラなどのスタッフを出来る限り現場に近い位置に配置し、さらに、選手しか宿舎に近寄れないことから、選手に扮装させたカメラマンを現地に送り込む。人質の二人が銃殺され、さらに緊張感が高まる中、衛星放送の割り当ての時間期限が迫るが、映像の隅にABCの文字を入れてCBSに一旦権利を返し、イスラエルの宿舎から脱出したコーチにインタビューをしながら、世界に向けてのテロ事件の生中継が続く。

 

やがてドイツ側が強行突入を計画、その様子もジェフらのカメラマンが生中継で放送していたが、テロリスト達もその画面を見る事になり警官がABC放送のブースに突入してきて放送は打ち切られ、作戦も中止、ジェフ達は一時、自分達の行動に反省の色を見せるが事態はさらに進んでいた。テロリスト達は国外逃亡を計画し、人質と共にヘリで脱出して空港から逃亡を図るべく手配を求めてきた。

 

ジェフらが見守る中、テロリストと人質がヘリに乗って近くの空軍基地へ向かう。ジェフはマリアンネとカメラマンに現地へ向かうように指示、空港の側での中継が行われる。しばらくしてマリアンネから、人質は解放されたらしいという情報が入る。ジェフは可能な限りの確証を手に入れて、噂ながら人質は解放されたと放送する。ルーンから叱咤されるが、直後、ドイツ公共発表で、テロリスト達は皆銃殺され人質は解放されたと発表される。

 

歓喜に盛り上がるジェフ達だったが、しばらくして銃撃戦はまだまだ続いているという情報が入り、さらに人質は全員殺されたと連絡が入る。ドイツ側は、自身の威信を見せるために誤情報を流したのだ。全てが終わり、なんとも言えない気持ちの中のジェフ達だったが、翌日の追悼式の放送などに段取りを進める姿があって映画は終わっていく。

 

オープニングからいきなり本編に入ってあとはブース内を走り回るスタッフ達の姿を追うカメラ、現場の映像、が交錯し、クライマックスから悲劇のラストへと、リアリティと問題意識を踏襲しながらの演出で描いていく様はなかなかの仕上がり。映画としての出来栄えだけ言えば、なかなかの作品だったと思います。