「ドクトル・ジバゴ」
三回目くらいの再見。流石にこれほどの名作になると、細かいシーンの端々に映像美学が徹底的に貫かれているし、恐ろしいほどの物量と巨大セットに圧倒される。壮大なドラマであり、前半と違って後半はどんどん月日が流れるので、初めてみた時は少しついていけないところもあったが、こうして何度も見直すと、ロバート・ボルトの緻密な脚本と物語展開の絶妙さに舌を巻いてしまいます。原作が長大ゆえ、それを4時間近くに凝縮した才能は素晴らしいし、光の動きを多用したシーンの演出、赤を基調に革命を全面に表現しながらその背後を辛辣な視点で描いていく筆致も素晴らしい。名作の貫禄、そして、並外れたクオリティにラストは様々な意味で胸が熱く涙ぐんでしまいました。何度見ても良い映画だった。監督はデビッド・リーン。
ソビエトの水力発電所、大勢の作業員が進んでくる中、一人の少女を監督官イエブグラフが呼び止める。そして執務室に入れた監督官はその少女ターニャの母ラーラ、そして父ユーリの話を始める。19世紀末、ユーリは母の葬儀に立ち会っていた。父はすでになく孤児となったユーリは父の共同経営者で叔父でもあったコマロフスキーに引き取られる。コマロフスキーはユーリの両親の遺産を全て引き受け、唯一赤いバラライカをユーリに与える。
時が流れ、医学の道に進んだユーリは医学者グロメーコに引き取られ、医師を目指していた。間も無くして、グロメーコの娘トーニャがモスクワに戻って来る。裁縫店で仕事をしているラーラは、ボルシェビキに傾倒する革命家であるパーシャと交際し、この日もパーシャが配るビラを受け取ったりしていた。ラーラは、コマロフスキーの保護のもとに母と暮らしていたが、舞踏会に招待されたコマロフスキーは、ラーラの母が急病になり代わりにラーラを連れて出かける。まだ十七歳で大人の世界を知らないラーラは有頂天になり、すっかりコマロフスキーに惹かれてしまって愛人になってしまう。そんな関係を知ったラーラの母アメリアが自殺未遂をする。
世間に知れては大変だとコマロフスキーは友人で医師でもあるグロメーコを呼ぶ。グロメーコは助手にユーリを連れて行き、ユーリはコマロフスキーの家でラーラと出会う。ラーラに母の容態を教えに行った際、ユーリはラーラとコマロフスキーの関係を知ってしまう。クリスマスの夜、コマロフスキーは、パーシャと結婚するからという別れ話をしたラーラを説き伏せた上で強姦し、そのままパーティへ出掛けてしまう。ラーラは、パーシャに預かっていたピストルを持ってコマロフスキーのいるパーティ会場を目指す。
ユーリはトーニャを伴ってパーティに来ていた。そこで婚約発表をするのだが、そこへラーラが現れ、コマロフスキーを撃つ。擦り傷だったものの、ユーリがコマロフスキーの手当てをする。パーシャはラーラをその場から救出する。ユーリはトーニャと結婚して子供ができる。一方、ラーラもパーシャと結婚し子供が生まれた。
時が流れ1914年、第一次大戦が勃発し、ユーリは従軍医師として兵士たちと行動を共にしていたが、兵士たちの不満が爆発して、大勢の逃亡兵が出て、革命の火蓋を切る。その中でユーリは従軍看護婦をしていたラーラと再会する。ラーラの夫パーシャは行方不明だった。その後、二人は戦地で医療を行い、次第に二人に愛が芽生えていく。ラーラがの夫パーシャは赤軍のリーダ的存在となっていた。やがて負傷者も一段落し、ユーリとラーラは別れる。
ロシア内戦が広がり、それはロシア革命へ繋がる。ユーリはモスクワへ戻るが、すでに自宅は革命軍の手に落ちて居場所も無くなっていた。そこで今は革命軍のリーダーでもありイエブグラフと出会う。イエブグラフは実は異母兄弟のユーリの兄だった。彼の勧めもありユーリたち家族はベリキノの田舎に移り住む事にし、家族と共に汽車に乗り込む。途中、ユーリが乗った汽車を赤軍の汽車が追い抜いていく。そこに乗っていたのは今は赤軍リーダーとなって別名ストレリニコフになっていたパーシャだった。赤軍は民衆を苦しめているという噂だった。こうして前半が終わり休憩。
ユーリの乗った汽車はウラル山脈を潜ってベリキノに向かう。途中休憩で止まった際、森に迷い込んだユーリは、赤軍の汽車と遭遇し、反革命分子で拉致されかかるが、汽車に乗っていたのはパーシャだった。そこでラーラはユリアティンに住んでいると聞く。難を逃れたユーリは汽車に戻り無事ベリキノに辿り着く。ベリキノに一番近い街がユリアティンだった。ユーリは買い出しに行く名目でユリアティンに行き、そこでラーラと再会、二人の愛が燃え上がってとうとう体を合わせてしまう。その後もユリアティンとベリキのを往復するが、トーニャは二人目の子供を身籠る。
ユーリはラーラに別れを告げるためにユリアティンへ行くが、その帰りパルチザンに捕まってしまい、医師として従軍を強制される。そして二年、パルチザンからなんとか抜け出したユーリは瀕死の思い出ベリキノに戻って来る。しかし、トーニャ達はモスクワへ立った後だった。ユリアティンのラーラの家を訪ね、そこでラーラと再会、トーニャ達が無事まちを離れたことを知る。ユーリはラーラと暮らし始めるが、ある夜、コマロフスキーが訪ねて来る。パーシャが革命軍に捉えられたことから、ラーラにも危険が迫っているという。しかしコマロフスキーの進言を受け入れられずユーリたちはベルキヤの屋敷に移って生活を始める。
しばらくしてコマロフスキーが再びやって来る。パーシャが処刑され、彼の妻であるラーラを銃殺するために来るというのだ。ユーリはラーラを説得し、コマロフスキーの用意した汽車にラーラと息子のサーシャを乗せるが自分は残る。ラーラのお腹にはユーリの子供が宿っていた。そこまで聞いたイエブグラフは、ターニャになぜ母と別れたのかを聞く。ラーラ達は極東で生活していたが、騒乱の中自分の手を引いていたコマロフスキーが手を離したために迷子になったのだという。エフグラフは少女に両親はユーリとラーラだと写真を見せる。
モスクワでイエブグラフはユーリと出会ったがすでに体は衰弱していたと言う。イエブグラフは医師の仕事を見つけて、生活の手助けをしたことを告げる。モスクワで暮らすユーリはいつものように路面電車で出勤しようとしていたが、道を歩いているラーラを見つけ慌てて降りるのだが持病の心臓発作を起こし、ラーラに声をかけられず死んでしまう。イエブグラフは、ユーリの葬儀でラーラと出会う。ラーラは疎開先で逸れたユーリとの間にできた子供を探していた。イエブグラフらは必死で探すもとうとう見つからず、ラーラは収容所に連行され亡くなった。
ターニャは両親の物語を聞いて涙する。そこへターニャの恋人が迎えに来た。イエブグラフは、何かあれば力になると送り出す。ターニャの背中にはバラライカがあった。イエブグラフが声をかけるとターニャの恋人が、バラライカの名手なんだと答える。ダムに虹がかかり映画は終わる。
白樺の木をバックにしたオープニングタイトルも美しいが、常時シベリアの大地を捉える画面や、モスクワの街並み、雪景色や菜の花の映像、室内にさりげなく置かれる花を生けた花瓶のカットなど、目が覚めるほどに美しい映像が繰り返され、ラーラやユーリら登場人物を捉える構図も流石にため息が出るほど絵になっている。一級品の名作というのはこういう映画を言うのだろうと、胸が熱くなってしまいました。素晴らしいひと時を過ごせました。
「ショウタイムセブン」
韓国映画「テロ、ライブ」(2013)のリメイク。なんの中身もないエンタメサスペンスでした。こう言う肩の凝らない娯楽映画はこれはこれで楽しいです。終盤にメッセージらしいセリフが繰り返されるものの、全くリアリティもなく胸に迫ってこないけれど、クライマックスに至る展開まで、気楽に画面を見ていられました。監督は渡辺一貴。
かつてショウタイムセブンの人気キャスターだった折本は、今はキャスターを降板し、同じビルのラジオ局でパーソナリティを務めている。一方、折本の後にショウタイムセブンのキャスターになったのが安積で、今夜もいつものように番組を始めていた。ラジオでたわいないコーナーを始めた折本に、一人の男から発電所爆破予告の電話が入る。折本は相手にせずに電話を切るが、直後、スタジオのそばの発電所で爆発が起こる。
折本は、この事件を番組復帰のチャンスと捉え、番組ディレクターの東海林に提案し、生放送中のショウタイムセブンに乗り込み、生放送を開始する。しかし電話してきた男は、番組の至る所に爆弾を仕掛けたと言い、アシスタントの結城のピンマイクを爆破させる。しかも、折本もイヤホンを外したり、スタッフがスタジオを出ようとしても爆破すると予告する。
犯人は、発電所の社長が、六年前に行った工事での事故について、当時の総理大臣と画策して隠蔽した事を謝罪するように要求するが、総理の謝罪は断固として拒否する。そこへ、犯人の高校時代の恩師だと言う男がやってきて犯人の説得にかかるが、逆に犯人を刺激し、恩師の男は胸のピンマイクが爆発して死んでしまう。恩師の言葉で犯人の名は繁野という名だとわかる。
繁野は続いて折本が番組を下された六ヶ月前に、製薬会社から賄賂をもらった事を謝罪するように要求して来る。そして、その証拠のメールを安積に送って来る。折本は繁野の要求がまとまっていない事から、殺戮が目的ではないと推理する。警察は繁野の居場所を特定し乗り込むも誰もいなかった。そしてとうとう、繁野はスタジオに現れる。しかも、恩師も狂言だった。六年前に発電所の工事の事故で死んだ男の息子が繁野で、恩師の男は祖父だった。もう笑うしかない。
折本は繁野の真相を知り、製薬会社からの賄賂ははっきり否定した上で、六年前、ショウタイムセブンのメインキャスターになる椅子と引き換えに、発電所の事故の隠蔽に折本も加担し、その時の総理、東海林、発電所社長らの会話の動画を公表する。そして、真摯に謝罪する。繁野が逮捕され連行される後ろ姿に折本は、この二時間は最高に面白かったこと、平和慣れした国民に、目の前の危険を知らせた事を誇らしく語る。こうして映画は終わる。エンドクレジットでPerfumeが踊ってエンディング。
おそらく韓国版オリジナルの方が面白いのだろうと思う。なぜ十年もしてリメイクしたのかわからないが。終盤はストーリーに無理がかかって、矛盾だらけ穴だらけになってしまった。出来の悪いB級サスペンスレベルの映画だったが、期待せず見ればテレビスペシャル程度のエンタメ感は味わえた気がします。
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