「モスラ対ゴジラ」
これは面白かった。本多猪四郎監督の演出が冴え渡ったと言える一本。ゴジラが現れてからの見せ場がてんこ盛りで、しかもそれぞれがとにかく面白い。母モスラとのバトルに続いての双子の子モスラとの大バトルをクライマックスに、叡智を注いだ自衛隊対ゴジラ戦も面白い。さらに、村々を破壊していくゴジラのスペクタクルな画面が、大迫力で迫ってくる。物語の構成もそれなりにしっかりしていて、もちろんツッコミどころはあるものの、エンタメとして盛り上がってくる作りもうまい。シリーズの中で白眉の一本ではないかと思いました。楽しかった。
大型台風が日本を襲い、倉田浜干拓事業地に大被害をもたらす。新聞記者の酒井と中西は瓦礫の中から放射能を含んだ牙のようなものを発見する。一方、沖には巨大な卵が流れ着いていた。三浦博士らがこの卵を調査し始めるが、興行師熊山と政界のボス虎畑がその卵を買い取り、見せ物にするべく計画を進める。そこへ不思議なメロディと共に双子の小美人が現れ、卵を返して欲しいと訴える。しかし、熊山らは断固拒否してしまう。実は双子の小美人はインファント島から来た使いだったが、卵を返してもらえない事に失望し、モスラに乗ってインファント島へ帰ってしまう。
折しも倉田浜干拓事業地からゴジラが現れる。村々を破壊し、大暴れするゴジラに人々は打つてがなかったが、中西らはモスラに頼るという案を出す。そしてインファント島へ向かったが、インファント島はかつて原水爆の実験で荒廃していた。インファント島の長は、自分たちの島を破壊した人々を助ける気はないと断る。しかし中西らは必死で説得、年老いて死を待っていたモスラが最後の力で戦うと小美人たちを通じて伝える。
中西らは、戻ってきたが、ゴジラはモスラの卵に迫っていた。あわやという時母モスラが到着、金粉の猛毒を振り撒いてゴジラを圧倒するが、ゴジラの放射能に苦戦してとうとう命が尽きてしまう。小美人たちは卵を孵化させるため歌を歌う。やがて卵の中から双子のモスラの幼虫が生まれる。その頃、ゴジラは隣の島へ向かっていた。そこには逃げ遅れた学童がいた。中西らは船を島の反対側へつけて子供達を助けるべく島へ向かう。上陸したゴジラへ双子のモスラが果敢に臨み、毒糸でゴジラを封じ込めて海底深く沈める。小美人たちは中西らに別れを告げてモスラと共にインファント島へ帰っていって映画は終わる。
とにかく、大画面を有効に使った絵作りが見事で、暴れるゴジラの巨大さ、恐ろしさがスクリーンから迫ってくる。炎に包まれるゴジラの姿、高圧電流で攻撃されのたうちまわる姿、金粉や毒糸に苦戦してもがく姿、次々と見せてくれるバトルシーンに最後まで飽きずにみていられる。面白い。これがエンターテイメントだと言える一本だった。