「ウィキッド ふたりの魔女」
良かった!2時間40分ほどがあっという間に終わった。しかも、クライマックスは圧巻で、エルファバ役シンシア・エリボの歌声に胸が熱くなって涙が出てしまいました。導入部からの本編は、人種差別や動物虐待という今時のテーマがチラホラするし、「オズの魔法使」のイメージが強い、良い魔女グリンダが如何にも今風のいけ好かないキャラクターなので引いてしまうけれど、ダンスホールでエルファバとグリンダが踊る転換点から後半は圧巻でラストまで行きます。早く後編が見たい。本当に良かった。監督はジョン・M・チュウ」
悪い魔女が死んだという村人たちの歓声、大きく広がる色鮮やかなオズの国へ向かう道にはドロシーたちの姿がさりげなく描かれて映画は幕を開ける。村人たちが大騒ぎするところへ、派手な乗り物に乗って良い魔女グリンダが現れる。と言っても、如何にも自分は美しいと言わんばかりのちょっと好かないキャラクターである。村人の一人がグリンダに、「悪い魔女と友達だったの?」と問いかけ、「そうです」と答えてタイトル。映画は本編へ進む。
パンプキン村の総督夫婦は夫婦仲が良くなくて妻は男を引き入れて遊んでいた。結果、妊娠してしまうが、生まれて来たのは全身緑色の少女だった。両親に疎まれた赤ん坊はエルファバと名付けられたが、生まれた時から、感情が高まると周りのものを動かしたりする魔法が備わっていた。やがて生まれた妹ネッサローズは足が不自由だったが、エルファバと仲良く育つ。ネッサローズが足が不自由なのは、また緑の子供が生まれるのではないかと危惧した総督が妻に白粉花を食べさせた結果らしく、ネッサローズを産んでのち妻も亡くなってしまう。
時がたち、シズ大学に入学することになったネッサローズを、今日、父親が送って来た。そこへついて来たのがエルファバで、全身緑の彼女に学生たちの偏見の目が注がれる。この日同じく入学していきたのはガリンダといういかにもお嬢様という新入生だった。ネッサローズの面倒を見るようにと父に言われたエルファバだが、エルファバを忌み嫌う学校職員が強引にネッサローズを連れて行こうとし、それを阻止しようとしたエルファバが会場で魔法を使って混乱させてしまう。それを見ていたのが重鎮の魔法担当の教授モリブルだった。彼女は兼ねてから才能のある魔法使いを探していた。
モリブルは自身のセミナーにエルファバを入学させることにし、エルファバのルームメイトにガリンダを選ぶ。気の乗らないガリンダは何かにつけてエルファバを嫌うが、毅然とした態度でエルファバはガリンダに接する。大学で、最後の動物教授である山羊のディラモンド教授は、生徒たちに偏見の視線を受けていたがエルファバが等しく接してくれるので、好感を持つ。ディラモンド教授は、ガリンダの発音ができずグリンダと言ってしまう。
そんなある日、ディラモンド教授の授業で、動物は喋るなというような落書きが見つかる。夜、ディラモンド教授を見かけたエルファバが後をつけると、そこでは、言葉を話す動物たちが集って密談をしていた。ディラモンド教授はエルファバを招き入れ、かつて動物たちは普通に話しをし、人間と接していた時代を説明する。その帰り、エルファバは、隣国の王子でプレイボーイのフィエロと出会う。
翌日、突然ディラモンド教授が逮捕され、新たに来た歴史学の教授は子供ライオンを檻に入れて持参し、動物はこうあるべきだと教える。抗議したエルファバだが、誰も賛同してこない中、感情が昂り、ディラモンド教授への贈り物のけしの花が眠りの花粉を撒き散らせ、生徒たちは眠ってしまう。その間に檻の子ライオンを助け出し連れ出すが、なぜかフィエロも眠っておらずエルファバと一緒に森へ向かう。
ガリンダはフィエロと恋仲になり、勝手に結婚を決めていたが、ダンスホールスターダストへ遊びに行くことになり、ガリンダはエルファバに黒いドレスと三角の帽子を勧めてダンスホールへ誘う。ダンスホールでは、異様な出立ちのエルファバに好奇の目が注がれるが、エルファバは、三角帽子を地面に置き、ダンスホールで無言のダンスを始める。それを見ていたガリンダは、思わずダンスに参加して同じように踊り出し、その場の面々もつられてしまう。こうしてガリンダとエルファバにはいつの間にか友達同士の絆が生まれる。
その頃、エルファバの魔法に目をつけたモリブルはオズの魔法使に推薦状の手紙を送る。そしてその返事が戻って来て、エルファバは晴れてオズの魔法使の住むエメラルドの都へ招かれることになる。駅での見送りの際、ガリンダはつい、これからは動物を蔑んだり人を差別することは私も許せないと見栄を張って、今後はディラモンド教授が発音していたグリンダと改名すると豪語してしまう。やがて列車が走り出すが、エルファバはグリンダも一緒に行こうと誘い二人はエメラルドの都へ向かう。
エメラルドの都は夢のようだった。エルファバたちは巨大なオズの魔法使いの宮殿に招かれて入っていく。警護の猿たちが周囲を取り囲んでいる。そこに、巨大な顔のオブジェが現れるが、しばらくして普通の人間の姿のオズの魔法使いが現れる。モリブルもやって来てエルファバをオズの魔法使に紹介する。エルファバは、オズの魔法使いに代々伝わる魔法書グリモリをいとも簡単に読み解き、警護の猿たちに翼を生やしてしまう。それを見て、オズの魔法使いがこの宮殿で一緒に住もうと提案するが、翼の猿たちを偵察部隊だとオズの魔法使いが呼んだことから、動物たちを道具にしようとしているオズの魔法使いやモリブルらの思惑を知る。しかも、オズの魔法使いはグリモリを読むことができない普通の人間だと判明する。
そこでエルファバは、グリモリを奪って逃走する。グリンダもエルファバと行動を共にして逃げるが、翼の生えた猿たちや兵士たちに追われ、塔の上に逃げていき、オズの魔法使いが乗って来た気球で逃げようとするが出口を塞がれ落下してしまう。二人はさらに宮殿の上に逃げ込む。エルファバはそこでグリモリを使って新たに魔法を生み出すと傍の箒が生き物のように浮かび上がる。エルファバはグリンダに、あらゆる束縛から逃れて自由になろうと一緒にこれに乗って行こうと言う。しかしグリンダはエルファバに、寒いからと黒いマントを着せてやる。グリンダにはエメラルドの都での生活を捨てられなかった。そんなグリンダをモリブルがしっかりと抱きしめる。そしてモリブルはエルファバをウィキッド(悪い魔女)と呼ぶ。舞い上がったエルファバは、重力から自由になるという曲を歌い、はるかかなた西の空に飛び去って映画は終わる。
思い出してもワクワクするクライマックスで、あのラストを見るだけでも何回も見たくなるほど値打ちがあります。とにかく後編が待ち遠しくてたまらなくなる映画だった。ぜひ舞台版も見たい。
「マッド・マウス〜ミッキーとミニー〜」
ふざけ切ったお遊び映画という感じで、冒頭のスターウォーズパロディから始まって、なんの脈絡もないダラダラした展開、そしてネタが切れてくるとスプラッターへ傾れ込んで、収めどころがなくなって無理矢理感満載でエンディング。まさに、Z級ホラーの典型のような映画だった。お世辞にも面白かったとは言えないが、損をしたとも思えないから不思議。監督はジェイミー・ベイリー。
スターウォーズの冒頭よろしく、宇宙空間にテロップが彼方へ流れて、この作品はディズニーともジョージ・ルーカスとも関係がないと延々と語って映画は始まる。夜のゲームセンター、片付けをしているバイトのアレックスは、ゲームで勝手に遊んでいたが、電話が鳴ったので慌てて受話器を取るが何も返事がない。奥の倉庫で物音がするので行ってみるとミッキーマウスの仮面を被った何者かが立っている。
場面が変わり、留置所にいる少女レベッカに二人の刑事が尋問している。どうやら殺人事件が起こったらしく、唯一生き残ったレベッカに詳細を聞いていて、レベッカが語っていく展開となる。アレックスと友達で片付けをしていたがその友達が彼氏に会うので暫く出ると言ってアレックスは一人になる。店長のマイクが事務所へ行って、一人で「蒸気船ウィリー」を見ていると、ショーケースに飾ったミッキーマウスのマスクが突然、体がついてマイクは襲われて死んでしまう。
アレックスは、不気味なミッキーマウスから逃げて、カウンターにやってくると、友達がサプライズで誕生パーティを企画してくれたことを知る。しかし、謎のミッキーマウスが次々と彼らを血祭りに上げ始め、ゲームセンター内は異様な雰囲気になる。ミッキーマウスは瞬間移動もできて突然消えたり現れたりする。しかし、どうやら光に弱く、懐中電灯を向けると瞬間移動できないことがわかる。
場面が変わり、郊外の邸宅に遊びに行く若者たち、その邸宅には片目片腕の女性がいて、花瓶を割って足に怪我をしてしまう。そこへ彼氏とその友達がやってくるが、突然ミッキーマウスが現れて次々と殺戮、片目の女性は必死で逃げるが追いつかれて見える方の目をミッキーマウスにえぐられてしまう。この邸宅の場面の意味が最後までわからなかった。
一方ゲームセンターでは、ミッキーマウスの正体が誰かわからず、お互いに疑心暗鬼になりながら逃げ惑うが、結局、わからないままに次々と殺されていく。レベッカは途中で足首は切られたが殺されず、唯一生き残る。そして留置所、警官は尋問を終えて去っていくが、エンドクレジットで、何者かに襲われた声と銃声が聞こえる。映像が映り、留置所の扉が開いて、ミッキーマウスはレベッカを助け出す。車に乗ったレベッカはミニーマウスになって運転していて、後ろにミッキーマウスが乗って夜の街を滑走して映画は終わる。
なんともコメントできない作品で、筋があるのかないのかわからない。終盤までは、ナイフなどで正当に殺す場面が繰り返されるが、終盤ではチェーンソーで切り刻んだり、腕を切り落としたり、首を切り落としたりとスプラッターな映像に変わっていく。結局なんなんだというラストに唖然としてしまう映画だった。