くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「HERE 時を超えて」「アンジェントルメン」

「HERE 時を超えて」

カメラを定点でフィックスに据え置いて、目の前の場所で展開する物語をピクチャーインピクチャーで時間を前後させていく作品。役者も若き日と老いた日を交互に描くというまさにデジタル時代ならではの作品で面白いのですが、作品としては実験映画のような様相で、ラストの胸に迫る感動は覚えるものの、何か温かみが感じられないにはちょっと寂しい。時代なのでしょうが、素直な感情に訴えて来るドラマの方が正直好みです。監督はロバート・ゼメギス。

 

森の奥、太古の昔でしょうか、恐竜が現れ隕石が落下して、やがて先住民らしい人間が現れる。やがてその場所に家が建てられ、戦後、アルとローズがその家を買う。息子リチャードが生まれ、リチャードはやがてマーガレットと恋に落ちていく。その流れを時間を前後させ、時に先住民の時代まで遡る。

 

絵が得意なリチャードは家族のために夢を諦め、父アル、ローズを見取り、友人の死などにも遭遇しながら人生を生きていく。ローズが家を出て行ったり、マーガレットに認知症が現れたりと様々なドラマを経て、やがて二人も年老いて、この家を売ることにする。最後にリチャードはマーガレットをこの家に誘うが、マーガレットは認知症が進んでいた。しかし、娘ヴァネッサの幼き日の思い出をふと思い出し、二人はこれまでの時間を噛み締め、カメラは初めて家の外に出て向かいから俯瞰で見下ろして映画は終わっていく。

 

物語自体は至ってシンプルでたわいないものですが、次々と画面の中に別の画面が組み入れられては変化していくというテクニカルな演出はなかなか面白いし、これだけまとめようとするにはそれなりの才能が必要だろうと思う。個性あふれる一本、そんな映画だった。

 

 

 

「アンジェントルメン」

単純に楽しめる戦争アクション。とにかく面白かった。007ジェームズ・ボンドの元ネタになった実話をもとに描いた作品で、冒頭からラストまで、主人公側が全くピンチにならずに敵を次々と倒していく様は痛快そのもの。殺戮に躊躇ない演出は、冷静になると、あまりにゲーム的すぎる事もないわけではないが、それはそれで映画のリズムとして良し。全編、抑揚も緩急もない展開なので、もう少しクライマックスに盛り上がりがあればもっと面白くなったかもしれないが、これでも十分なエンタメ映画だった。監督はガイ・リッチー

 

1942年大西洋、ナチスドイツが海域の覇権を握っていて、本土空襲を受けて劣勢に立つイギリスを助けるためにアメリカも参戦ができない。一隻の漁船にドイツ海軍の巡視船が近づいて来る。それを出迎えたのはガス少佐ら乗組員だった。乗り込んできたドイツ兵を一瞬で蹴散らしてしまったガス少佐、そして25ヶ月前に遡って映画は幕を開ける。

 

アメリカ参戦を阻む最大の問題は大西洋上に存在するドイツUボートの存在だった。ことを憂えた首相チャーチルは、海軍にもナチスにも見つからずにUボートの動きを封じるために、ガス少佐を招集、ガビンズ少将=Mとイアン・フレミングによって特殊任務を指示される。

 

ガス少佐は、癖のありそうなメンバーを招集し、まずはメンバーに加えたいがナチスによって拉致されている仲間を助け出し、Uボートに爆薬や燃料を補給するために停泊している船を爆破する計画を立てる。そしてその港で指揮を取るドイツ将校ルアーに近づくべく、港の商人ヘロンとマージョリーが作戦を進める。

 

ドイツ将校達をパーティに集め、マージョリーによってルアーを足止め、一方港にはヘロンが爆薬を仕掛けて、沖に停泊するガス少佐らは、襲撃して船の爆破の準備を進める。ところがパーティの会場で、ヘロンが、船が補強されたという情報を得て、急遽作戦変更、船を盗み出す事にする。そして、ガス少佐らの奮闘で船を盗み出す事に成功するが、マージョリーユダヤ人であることがルアーに見破られる。しかし、間一髪マージョリーがルアーを撃ち殺し、ヘロンと共にガス少佐の船へ駆けつけ、船は公海域でイギリス海軍に引き渡す。ガス少佐らは、一旦収監されるが、チャーチル首相によって、自身の直属の組織とされて映画は終わる。

 

次々と繰り出される作戦がとにかく爽快で、ストレスなく見ていかれる娯楽映画。難を言えば、クライマックスとそれまでにほとんど変化のない構成なので、もうひと工夫あってもいいかもしれない。でも十分に面白いので満足できる一本でした。