「アマチュア」
期待通りに面白い作品だった。主人公チャーリーの人物背景を最後までシークレットにしたのは良かった。次々と復讐していく手段は派手すぎず、甘すぎず、それでいて次第にエスカレートして行って、ラストは見事に締めくくる脚本も上手い。少々あざとい展開もあるものに、娯楽映画としては上出来な一本でした。監督はジェームズ・ホーズ。
主人公チャーリーが何やら機械部品らしきものを作っている場面から映画は幕を開ける。そこへ妻サラが現れる。サラはロンドンへ仕事で出かける。チャーリーも誘うがチャーリーも仕事が混んでいると断りサラを送り出す。チャーリーはCIAの情報分析官で、インクワラインという謎の人物とチャットしながらある秘密を知る。
CIAの上層部幹部のムーアが中心になって隠密作戦が過去から行われていて、しかもその報告内容は改ざんされていた。そんな時、チャーリーはCIA長官に呼び出される。ロンドンのホテルでテロが行われ妻サラが殺されたらしいという事だった。CIA上層部は捜査を始めるが遅々として進まない様相に、チャーリーは独自に分析して四人の容疑者を炙り出す。一方で、ムーアらが過去に行ってきた隠蔽策の証拠も手にし、それをマスコミに自動で送ろつけるようにプログラムしてムーアに交渉にやって来る。自分でテロリストを始末したいから訓練をしてほしいというものだった。
チャーリーは殺しの専門家ヘンダーソン大佐にあづけられ訓練を始める。一方ムーアはチャーリーが仕掛けたプログラムを解くべく躍起になり探す。そしてようやく一枚のCDに秘められ暗号プログラムを発見し、そのの解読を実行、結果チャーリーの情報が全てハッタリだと判断される。ムーアはヘンダーソンに依頼してチャーリー抹消を指示するが全てはチャーリーの元ににつつぬけだった。そして準備されたパスポートで国外へ脱出する。
チャーリーはロンドンへ行き、さらにパリへ行き、テロリストの一人の女性が花粉アレルギーであることから、彼女がいくクリニックで彼女に喘息を起こさせ、テロリストのリーダーシラーの居場所を聞くが女性は逃げ、車に轢かれて死んでしまう。チャーリーは続いて、マルセイユからトルコイスタンブールへ行きインクワラインと接触、助力を求める。そして、アルセイユに飛び次のターゲットに迫る。その男は贅沢好きで、ホテル屋上のプールを借り切って泳いでいるところへチャーリーが現れ、プールを破壊する前にシラーの居場所を聞くも応えてこないのでプールを破壊して転落死させる。
チャーリーには刺客としてヘンダーソンが迫っていたが、もうひとりのCIAの刺客も迫っていた。逃げる途中、間一髪でヘンダーソンがもう一人の刺客と同仕打ちで倒れてしまいチャーリーは脱出に成功、次のターゲットへ向かうが、その男も結局センサー付きの爆弾で吹き飛ばされる。しかしその直前、シラーの取引の情報を聞き出す。
チャーリーはバルト海、ロシアの港へ向かい。そこでシラーを確認するが、何者かに囚われて船に連れ込まれる。そこにシラーがいた。チャーリーはシラーと話すが、実はそれはチャーリーの時間稼ぎだった。あらかじめ船の操作はハッキングしたプログラムによってフィンランドへ向けて航行するように変更されていた。シラーが気がついた時は船は公海上で、フィンランドの巡視船とインターポールによってシラーらは逮捕される。チャーリーはその全ての情報を送っていた。
CIA長官は提出された資料により、ムーアらを逮捕して、マスコミの前で、組織内の浄化を進めることを宣言する。チャーリーが、車に乗るとヘンダーソンが現れ、ことの次第を祝福、チャーリーはサラにプレゼントされ修理したセスナ機に乗り大空に飛び立って映画は終わる。
チャーリーがなぜ爆弾製作に熟達しているのか、サラの仕事は何なのか、なぜ元KGBのインクワラインという謎の人物と繋がりがあるのか、それらは全てシークレットで最後まで明かさない。そのミステリアスさが、チャーリーの存在感を引き立てているのは確かで、行間に埋められたサスペンスを楽しむことができるちょっとした映画だった。
「ゴーストキラー」
シンプルそのものの作品で、阪元裕吾脚本なので、「ベイビーわるきゅーれ」の世界観そのままのアクション映画だった。監督は阪元監督作品でアクション監督をしているだけあった、アクションシーンはキレが抜群だが、ドラマシーンは流石に中途半端にテンポが悪い。それでも、単純そのものの物語なので余計なことを考えなければ気楽に見れるB級アクションだった。監督は園村健介。
寂れた市場の中、一人の男が大勢の殺し屋と戦っているところから映画は幕を開ける。そして全ての敵を倒したかに思われたが、不意に銃で撃たれて男は死んでしまう。その時に薬莢が地面に転がり、巡り巡って石段の上に転がってタイトル。
居酒屋でバイトをする女子大生のふみかは居酒屋の片山に誘われてバーで酒を飲んで一夜を明かし、クタクタになって帰って来るが、石段を踏み外しそうになって転倒して目の前の薬莢を見つける。何気なく持ち帰ったところ、家の前に友達のマホが待っていた。マホの彼氏はDVで、ふみかのところに逃げてきたらしい。とりあえず家に入れたふみかだが、目の前に見知らぬ男がいるのに気がつく。しかもその男はマホには見えないらしい。男は工藤という名で、どうやら幽霊になったことを話す。
マホは彼氏から連絡をもらい帰っていくが、工藤はふみかにマホの元へ行かせる。案の定彼氏にたかられていたマホに突然ふみかが襲いかかり倒してしまう。工藤はふみかと手を繋ぐと取り憑いて、身体能力を発揮できるようだった。工藤が取り憑いたふみかはマホの彼氏をコテンパンにしてしまう。片山がナルミという男と一緒に飲もうとふみかを誘ってきたが、工藤は行かないほうがいいと言う。ナルミたちはドラッグの常習らしいという。
ふみかは騙されるつもりで片山とナルミの待つバーへ行くと、案の定酒に薬が混ぜられていた。ふみかは飲んだふりをして体調が悪い芝居をし、工藤に取り憑いてもらって片山らをコテンパンにする。そして片山らを片付けるために工藤は影原という男を呼ぶ。最初は信じられなかったが、影原は工藤の幽霊の話を信じる。
工藤がなんらかの形でふみかという女子大生に取り憑いていることを知った組織の二代目は、ふみかを襲ってくる。しかし、工藤がふみかに取り憑いて返り討ちにした。二代目のやり方が受け入れられない工藤と影原は組織を壊滅させるべく、そして工藤の無念を晴らすべく組織のアジトへ向かう。そして、組織のメンバーを一網打尽にする。全てが終わってふみかと影原が帰りかけると、工藤はすでに成仏してその場にいなかった。ふみかは普通の生活に戻り、マホとルームシェアすることにして映画は終わる。
少々ストーリー展開が雑で荒っぽいが、シンプルそのものなので、さらっと流せばそれなりに楽しめる作品になっていたと思います。
「ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今」
わちゃわちゃで展開する人生讃歌、このシリーズも四作目になり、さすがにレネー・ゼルウィガー50歳を過ぎておばさんになってしまった感じです。でもこのシリーズの空気感はちゃんと伝わって来る。前半は男漁りをする中年おばさんという雰囲気でやや引いてしまいましたが終盤はしっかりと感動させてくれました。監督はマイケル・モリス。
四年前、夫マークがスーダンでの人道支援活動で殉死、深い悲しみの中二人の子供を育てるシングルマザーとなったブリジットは、この日、友人たちの開いた亡きマークの誕生会のパーティをしていた。元恋人ダニエルもやってきて映画は始まる。ブリジットはテレビ局の仕事にも復帰したものの、マークのいない日々の孤独を感じ始めていた。
そんなある日、子供たちが公園で木に登って降りれなくなり、ブリジットが助けに行こうとするも身動きできなくなったところへ、学校の教師ウォーラカーがやって来る。しかし、人に頼りたくないと頑張るブリジットが意地を張っているところへ若いイケメンのロクスターがやってきて、子供たちを助けてもらう。そしてブリジットはロクスターに一目惚れしてしまう。
ブリジットはロクスターと付き合い始めるが、年の差に戸惑いを隠せない。それでも二人は真摯に付き合い、体を合わせることになる。しかし、あるパーティで、酔ったロクスターがつい本音を呟いてしまい、ブリジットの元を去ってしまう。一時は諦めたブリジットだったが、ロクスターは気持ちの踏ん切りがついたと、ブリジットの職場にやって来る。そんなロクスターにブリジットははっきりと別れを告げる。
学校では、ブリジットの息子ビリーに誠実に対応してくれるウォーラカー先生が気になり始めていた。そしてクリスマスに学校でのパーティ、ビリーはブリジットの前でソロで歌を披露してブリジットを感動させる。それもウォーラカー先生の指導の結果でもあった。ウォーラカー先生の依頼もあり、学校のキャンプイベントの引率にブリジットは選ばれ参加する。急な雨で避難する生徒たちを世話するウォーラカー先生にブリジットはすっかり惹かれてしまい、クリスマスのパーティに招待する。
ブリジットとその友人たちが集うパーティにやってきたウォーラカーだったが、入るのを躊躇しているとブリジットが出てきて、キスをする。そして一年が経つ。この日カウントダウンパーティー、ウォーラカーもブリジットも、その友人も賑やかに過ごしていた。外に停まってじっと見つめていたフクロウはこの日、飛び立っていく。それはブリジットを心配していたマークの姿だったのかもしれない。そして、ようやく前に進むことを決意したブリジットの姿で映画は終わる。
おそらく、これがシリーズ最終章という感じの一本で、締めくくりも雪景色の中という絵作りも美しく、映画の出来はどうかはともかく、素直にブリジット・ジョーンズの未来を応援したくなるような作品だった。