くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「ボサノヴァ〜撃たれたピアニスト〜」「サイレントナイト」

ボサノヴァ〜撃たれたピアニスト〜」

ジャズもブラジルの国情も全く知識がないので、展開はほとんどわからないのですが、鮮やかで美しいアニメで描く一人のピアニストの失踪を追う作家の物語として絵を楽しむには十分な映画だった。監督はフェルナンド・トルエバハビエル・マリスカル

 

ニューヨーク、一人のジャーナリストジェフはこの日出版物の講演会を書店で開いていた。彼が綴ったのはサンバジャズで名を馳せた天才ピアニストテノーリオ・ジュニオルだった。ジェフがこのピアニストの足跡を辿る中で、謎の失踪したことが明らかになる。ジェフはニューヨークからリオデジャネイロに飛び、テノーリオに関わった様々なミュージシャンや恋人、妻と接触し、当時のブラジル音楽の攻勢、ブラジル国家の実情が見えて来る。そして行き着いた先、テノーリオは、一人の男に銃殺されたことが明らかになったというくだりを語り終えて映画は終わる。

 

ドキュメンタリータッチで展開する物語が美しいアニメで綴られていく。色彩が鮮やかで、切り絵のような作画がとにかく目を奪う一本で、物語の中身より絵を楽しむだけでも十分満足のいく映画でした。

 

 

「サイレントナイト」

ジョン・ウーの映像美学健在のアクション映画。香港テイスト満載でシンプルな物語を全編セリフ無しで徹底的に様式美で飾って派手にアクションを繰り広げる。例によって風船や、バイク、小鳥など定番の小道具も登場し、至る所に癖になるような絵作りだらけで拍手してしまいました。楽しかった。監督はジョン・ウー

 

真っ赤な風船がゆらゆらと登っていき、それにカメラが寄って通り抜けると一人の男のアップ。その男は息を切らせてスラム街のような路地を駆け抜けていく。かなたから機関銃の音と2台の車のカーチェイスが被って来る。ギャング同士の抗争らしいが、なんて国やと思わず突っ込んでしまう。男は一台の車にバールで殴りかかり、出てきた男に撃たれて、トドメは首に銃弾を浴びせられる。病院の真っ白な廊下をストレッチャーで運ばれる男、後ろから妻らしい女性が追いかけて来る。喉元に溢れる血。クリスマスの夜ででサイレントナイトホーリーナイトと音楽がかぶる。こうして映画は始まる。

 

手術シーンの後、ベッドで目を覚ました男は声を失っていた。自暴自棄になる男。妻サヤもなす術もなく男に接する。男の名前はブライアン。クリスマスの日、ブライアンは幼い息子テイラーと庭で遊んでいたが、そこへ2台のギャングの車が機関銃を撃ちながら走り抜けて来る。その流れ弾でテイラーは死んでしまい、ブライアンは車を必死で追いかけたのだ。

 

年が明けても、酒浸りで、無気力なブライアン。そんな夫の元を妻は去っていかざるを得なくなる。しかしブライアンは復讐することを決意し、息子の自転車を改造して体を鍛える器具を作り、ネットで格闘技を身につけ、射撃練習にも向かう。地元警察署の巡査部長デニスの名刺が手元にあったので訪ねて、その部屋で指名手配中のギャングたちの写真をスマホで撮る。そしてクリスマスイブに全員を皆殺しにする誓いを立てる。

 

訓練を続け、車を用意し、運転技術を鍛え、次第に日が迫ってくる。そして23日にギャングのボスの右腕の男を拉致して痛めつけ、指を切り落としてギャングのボスに送りつける。リンチした男はデニスの家の前に放置して、警察がやらないことを自分がする旨の手紙を残す。そしてクリスマスイブ、この日もギャング同士の抗争で銃撃戦が行われていた。ブライアンはその渦中に飛び込みギャングたちを撃ち殺す。そしてブライアンはギャングのアジトにやってきた。次々と集まってくるギャングたちをカーチェイスからバイクチェイスと次々と撃ち殺していきながら階上にいるボスを目指す。デニスも駆けつけ、ブライアンを応援する。

 

そしてボスの部屋にたどり着いたブライアンに、ヤク中のボスの女が機関銃で襲いかかってくる。それを返り討ちにし、ボスの部屋に踏み込むとガラスと金属のボールで覆われた派手な部屋だった。そこでボスと撃ち合い、瀕死のデニスも駆けつけて、最後はボスの首を絞めるブライアン。金属のボールに息子の顔が映し出され、やがてボスは息を引き取る。息子の墓にはブライアンがプレゼントで届けた列車のおもちゃが回っている。サヤはその側のブライアンからの謝罪の手紙を読み、その場を去って映画は終わる。

 

とにかく映像が楽しい。遊びと言えばそれまでだが、真っ白な病院の廊下に真っ赤なブライアンの血、スローモーション、カーアクションの連続、クライマックスの鏡と金属ボールで覆われた部屋、そのボールに映る子供の姿、とにかく全編ジョン・ウーである。それで十分だった。