くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「か「」く「」し「」ご「」と「」「犬の裁判」

かくしごと

なんともテンションの低いどうしようもない映画かと思ったが、クライマックスで一気に盛り上げる作劇という一本。まあ、出口夏希目当てだったので、映画の出来栄えはどうでも良かったのですが、作りたい作品の姿は見えるのですが、後一歩それがうまく仕上がっていない出来栄えでした。監督は中川駿。

 

高校二年の七月、一人の高校生京が、密かに思いをよせるミッキーがシャンプーを変えたことに気が付いたと呟く場面から映画は幕を開ける。どうやら流行りのシャンプーらしい。ミッキーが、ヅカやパラ、京に自分が変わったところを聞いて来るが、京は答えない。というのも、二ヶ月前、友達のエルがシャンプーを変えたことを言った途端にエルが学校に来なくなったというトラウマが京にあったためだ。

 

二ヶ月、エルは学校へ来ていなかった。ある時、CDショップに行った京はミッキーと偶然出会う。ミッキーは京を非常階段に連れていき、自分がどこか変わったかと聞く。仕方なく京はシャンプーが変わったのではないかと答えて、エルと同じシャンプーだと言ったのでミッキーは大喜びする。実は、エルは京に嫌われたと思って学校へ来なくなったのだ。ミッキーはそのことをたまたまエルに聞いて、その真意を確かめるべく、エルと同じシャンプーに変えて京たちの前に現れたのだ。

 

エルも学校に戻り、クラスでは、次の演劇祭の演目を考える時期になっていた。パラの提案でヒーローショーをすることに決まり、パラが脚本を描いて、ミッキーがヒーロー、パラが悪のボスとなって舞台は開幕する。しかし、エンディングでミッキーは自身の将来への悩みが頭をよぎってセリフが飛んでしまう。それをパラがカバーする。

 

そして翌年の二月。京達の修学旅行、京がミッキーに好意を持っていることはエルもパラも知っていて、なんとか二人の恋を成就させようとするが、当の京が煮え切らず、というか素直になれないままミッキーに距離を置いたままだった。二人きりになった時に鈴を渡せば永遠に結ばれるという伝説をパラは京に勧めるが、結局出来ず、その後、京はずっと引きずってしまう。

 

図書室で京はいつもエルと自習していたが、二人でメモのやり取りで会話をしていた。ある時、気がつくとそばにミッキーがいた。ミッキーはそのメモに、京に、気持ちをはっきりさせてほしいと書くが、京はゴメンと繰り返すだけだった。ミッキーはとうとうその場を飛び出してしまう。ミッキーもまた京への思いを募らせていた。エルは京にすぐに追いかけるように言い、京はミッキーの後を追う。

 

そして、過去のさまざまなシーンがフラッシュバックされ、ようやく二人の恋は成就する。教室で仲良くしている京とミッキーを暖かく見守るパラ、エル、ヅカだったが、パラが京たちにスマホを向けた先にあるのは、パラのミッキーへの恋心だった。それが見えるのはエルだけだった。こうして映画は終わる。

 

登場人物たちそれぞれが、不思議な感を持っていて、人の心臓の鼓動や、心の状態、さらに恋心を見抜くことができるという設定をさりげなく物語に生かしていく部分が今ひとつうまく行っていなくて、しかも、前半の押さえすぎた演出が、物語全体のテンションを下げてしまい、京とミッキーの心のうねりさえ抑えた結果、ラストの盛り上がりも、盛り上がりきれずになった感じです。とは言え、出口夏希が可愛いので良しとしましょう。

 

 

「犬の裁判」

実際にあった裁判事件を面白おかしく描かんとしているのですが、周囲のエピソードに品がない上に、中心の話を膨らませられないまま、実話通りのエンディングになんの余韻もない仕上がりの映画になっていた。監督はレティシア・ドッシュ。

 

裁判に負け続けの弁護士アヴリルは、雇い主からレストランに誘われ、次負けたらクビにすると遠回しに言われて映画は幕を開ける。しかも、次の裁判は、三人の人間を噛んだ犬コスモスが飼い主への賠償金と犬の安楽死の処置を弁護するという奇妙な裁判だった。アヴリルは、犬の命を守るべく、あの手この手の手段を使い始める。

 

何故女性だけを噛んだのか、その検証をするために、身をもって調査していくがうまくいかず、犬の専門家と体を交えたり、政治に利用しようとする検察官と敵対したりする。移民問題や動物虐待、女性蔑視など入れなくてもいい話題を不必要に入れながら映画は展開し、判決の日になる。そして、結局、コスモスは安楽死させられて、アヴリルは事務所を辞めて独立、コスモスに噛まれて顔に酷い傷が残った女性は犬を飼って前に進む映像でエンディング。

 

映画の出来栄えは中の下という作品でしたが、こんな事件があったんやと知識を増やすことにはなった気がします。それだけの映画だった。