「MaXXXjne マキシーン」
「Xエックス」「Pearlパール」に続くシリーズ第三弾。正直、テンポが悪い。ホラーテイストで推してくるのかと思えば、女優として大成しようとする野望を持った主人公のがむしゃらな生き様のお話でもある。過去のホラーの名作、特に「サイコ」へのオマージュを散りばめながらも、どれも効果的なスパイスになりきれていない。ラストのサプライズも今ひとつインパクトに欠けるし、どうもよくなかった。監督はタイ・ウェスト。
モノクロのホームムービーで父に微笑む主人公マキシーンの幼い姿から映画は幕を開ける。テキサスでの殺人事件から生き残ったマキシーンは今やポルノ女優として大スターになっていた。彼女の次の目標はハリウッドスターになることだった。彼女は大ヒットホラー映画の続編の主人公の座を手にれて夢の実現をかなえようとしていた。その頃、ハリウッドでは連続殺人鬼ナイトストーカーの事件が続いていた。
そんな中、マキシーンの前に、六年前の事件を知る人物の影が見え隠れし始める。そして一人の探偵ジョンが現れる。彼はある人物に頼まれて近づいてきたと言う。主役の抜擢が決まり、エリザベス監督の元、余計なスキャンダルは潰すようにと忠告される。マキシーンは、旧友で彼女の弁護士でかつエージェントのテディに頼んでジョンを抹殺してもらう。マキシーンの周囲の同僚俳優達は、ある男のパーティに誘われていると言う声が気になり始める。
マキシーンはその男のパーティ会場へ向かうが、そこで拉致されてしまう。マキシーンの目の前に現れたのは実父で悪魔崇拝を執り行う神父だった。生贄にされるべく拘束されたマキシーンだったが、マキシーンをつけて駆けつけた警官達に助けられ銃撃戦となる。そして警官達は銃撃戦の中で命を落とすが、最後に残ったマキシーンは、首謀者である実父にショットガンを向ける。
一ヶ月後、マキシーンが主演したホラー映画は大ヒットし、ハリウッドスターとして夢を叶えたマキシーンの姿があった。ナイトストーカーも逮捕されたが、マキシーンの実父だったことがわかり話題になる。この日、新しいホラー映画のために、ヒッチコック女優のごときショートブロンドの髪型をしてエリザベス監督の前に座るマキシーンの姿があった。神父の顔をショットガンで吹き飛ばすフラッシュバックで映画は終わる。
ジョンに追われたマキシーンが「サイコ」のセット、ベイツモーテルに行き、ノーマンの家の中に逃げ込んだり、ジュディ・ガーランドの「スター誕生」のワンカットが模倣されたり、過去の名作映画へのオマージュはこの監督のお得意シーンですが、ストーリーの流れがうまくまとまっていないので、ホラーであり、夢を目指す女優の物語でもあると言う中途半端な作りに仕上がった感じです。作りは面白いのですが、やはりB級レベルの一本だった。
「We Live in Time この愛を生きて」
時間軸を交錯させて描く、珠玉のラブストーリー。素敵な一本を見ました。主演の二人フローレンス・ピューとアンドリュー・ガーフィールドがとっても良くて、凄く映画にマッチしていてそれだけでもいい映画を見た満足感に浸ることができました。監督はジョン・クローリー。
一人の女性アルムートが森をランニングしてきて一軒の家にたどり着く。そこで、鶏の卵をとって家に入ると、夫のトビアスが待っている。場面が変わるとアルムートは妊娠していて、破水したらしい。さらに場面が変わるとトビアスが父に職場へ送り出されている。トビアスはシリアルの会社に就職したらしい。妻と仕事の関係で遠距離になって結局離婚を決意したらしく、出張先のホテルで離婚の書類を書いているが、ペンのインクが無くなり、近くのドラッグストアへ行った帰り、車に撥ねられてしまう。撥ねた女性はアルムートと言って、有名なシェフだった。
二人は急速に接近し、やがて結婚するが、アルムートは、お互いの両親が顔合わせた場で、幼い頃、父の勧めでフィギアスケートをして、それなりの成績だったことを話す。父が亡くなり、アルムートはアスリートの夢を捨てたが、ずっと気になっていた。間も無くしてアルムートに卵巣癌が見つかる。再発のリスクはあるが子宮を一部残すか、完治を目指して全摘出するか迷った末、一部を残して手術、その後の化学療法で腫瘍はなくなる。
やがてアルムートは妊娠するが、出産の日、交通渋滞で、途中に立ち寄ったドラッグストアで女の子を出産する。やがて娘エラも六歳?になるが、アルムートは癌を再発する。その頃、料理のオリンピックと呼べるボキューズ・ドーズ国際料理コンクールにイギリス代表で抜擢されたアルムートは、化学療法を続けながら、大会への準備を進める。
やがて大会を迎え、トビアスやエラが見守る中、無事、課題の料理を完成する。アルムートはトビアスとエラをスケート場へ誘い、二人に別れを告げるように颯爽と滑って場面が変わると、娘とトビアス二人きりでアルムートが教えてくれた卵の割り方をしている場面で映画は終わる。
とにかく、全編優しくて素敵な映画で、よくある病気物ではあるけれど、清々しいほどに感動できる一本でした。見て良かった。