くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「ドールハウス」

ドールハウス

日頃ホラーを作っていない人が、過去のさまざまなホラー作品をもとに作り上げた感満載で、終盤がああでも無いこうでも無いと次々と二転三転させるのだが、全く鮮やかさがなくダラダラと流れる。純粋にホラー映画だが、特に目新しい面白さもなく、使い古されたネタをそのまま描いてみたという一本。少し期待していただけに、ちょっと残念な映画だった。ただ、退屈というわけではなかったからB級テレビドラマ的な楽しみは味わえました。監督は矢口史靖

 

閑静な住宅街、佳恵の家に五歳の娘芽衣とその友達が遊びにきている。おやつが切れたので買いに行こうと思った佳恵は、浴槽など危険なところをチェックした後、子供らを残して買い物に出かける。ところが帰宅してみると誰もいない。友達はみんな帰ったらしく芽衣の姿が見当たらないので近所を探し、さらに警察にも連絡するが見つからない。テーブルクロスを汚してしまったのでドラム式の洗濯機に放り込んだ佳恵は、ふと中を見て絶叫する。こうして映画は幕を開ける。かなり無理のあるオープニングである。

 

一年後、セラピーを受けながらも、精神的にまいっている佳恵の面倒を見る看護師の忠彦の姿があった。佳恵が一人で家にいたが、忠彦の母敏子が、近所の神社で焚き込み供養があるから行ってみればとチラシを置いて帰る。ベランダでチラシを見ていた佳恵だが、チラシが風に舞い、それを追って近所の骨董市にやってくる。佳恵はそこで古びた人形を見つけて買い家に持って帰る。

 

その日から、佳恵はその人形を亡き芽衣の代わりに可愛がるようになる。最初は怪訝に思っていたが、これもセラピーのうちだと医師に言われて受け入れていた。やがて佳恵は妊娠し第二子真衣が生まれる。すっかり元気になった佳恵は人形を片付けて真衣の子育てに励むようになる。そして5年の月日が流れる。押入れの奥で古い人形を見つけた真衣は、その人形と遊ぶようになるが、奇妙な出来事が起こり始める。神経質になっていく佳恵を心配した忠彦は、佳恵を一時入院させることにし、真衣を敏子の元に預けるが、真衣はあの人形を持って敏子の家に行った。

 

忠彦は人形を神社の焚き込み供養に出すことを決めて神社に連絡、人形の写真を送ると、神社から、これは危険なので翌日すぐに取りに行くと言われる。深夜、敏子の家から人形と真衣がいなくなり、敏子は探しに出るが、忠彦は心配して敏子の元へ向かう。着いてみると警察が来ていて、道で倒れている敏子を見つけた通行人が連絡したのだという。翌日、人形は神社で供養されるが、実は焼かれたのは別の人形で、本来の人形は高名な人形造りの職人の手によるものだからと、手伝いの住職が売りに行こうとした。しかし、その帰り、突然苦しんでエスカレーターから落ちて重症を負い、忠彦の病院に担ぎ込まれる。さらに、住職が持っていた人形は神社の主人から、うちでは手に負えないからと専門家神田を紹介される。最初からそう言えば良かったのではとつっこんでしまう。

 

忠彦は人形をMRIにかけてもらうと、なんと人形の中に骨格が見つかる。敏子の家に駆けつけた刑事が、参考物件だからと人形を預かりに来るが、科捜研へ持参する途中で人形に取り憑かれてしまう。後を追ってきた神田達が人形を捕獲し、人形を作った人形師の子孫の家に向かう。出迎えた子孫は、かつて、人形師の妻が娘の礼と無理心中をしたが妻だけが助かる。夫の人形師は礼の遺体を使って人形を作り過ごすが、妻が亡くなった際、一緒に土葬したのだと言う。しかし、妻の遺体のそばに人形はなく、おそらく、高名な人形師の作品ということで盗まれたものだと話す。

 

神田達は、人形を妻の遺体に戻すべく新潟県のとある離れ島にやってくる。深夜、神田は人形を鎮めるべくお祓いを始めるが、失敗し、かろうじてお札で押さえたものの、自分は大怪我を負ってしまう。忠彦と佳恵は神田に代わって人形を母の遺骨に埋めるべく離れ島に向かう。そして、母の遺体の入った甕に人形を納め無事戻ってくる。

 

この日、いつものように佳恵や忠彦が家に戻ると、真衣の姿が見当たらなかったが、佳恵に隠れていた真衣が抱きつく。しかし次第に首を締め始める。ドラム式の洗濯機の中にいる真衣を見つけた忠彦が助け出すと、それは芽衣だった。芽衣は母に襲いかかっている人形を引き離して何処かへ連れ去る。

 

忠彦達は亡き芽衣に助けられ、真衣と3人で出かけるべくエレベータに乗る。そこへ、神田と敏子、真衣がやってくる。実は礼は母に恨みを抱いていたのだから墓に戻してはいけなかったのだと神田は叫び忠彦の家にやって来たのだが、時すでに遅く人形が舞い戻っている様子を見つけてしまう。忠彦、佳恵はバギーを押して何処かへ楽しげに向かう。バギーの中には人形らしい姿が映され映画は終わる。

 

使い古されたホラーネタの数々をつなぎ合わせて二転三転させていく感じのストーリー展開がなんとも平凡で、凝った演出で面白おかしく出来ていればいいのだが、それもあまりオリジナリティは感じられなかった。ホラー以外の何者かを描かんとしたのかとも思ったがそうでもなかったようで、期待していただけにちょっと残念な映画でした。