「風と共に去りぬ」
生涯のベストワンムービーを人生最後かもしれない鑑賞。もう何回見ただろうか、これだけの大作なのに全く間延びしないし、無駄のないストーリー展開に驚かされるが、それ以上に、贅沢極まる俳優達に拍手してしまう。これこそ世界遺産と言える映画遺産だと思います。監督はビクター・フレミング。
物語は今更なので、今回、再見して気がついたのは、この映画はメラニーという存在が潤滑油になって物語を牽引していることです。スカーレットの情熱、レット・バトラーの粗野ながらも純粋な男臭さ、その圧倒的な二人のドラマをメラニーが程よく宥めてストーリーを運んでいく。さらに脇役それぞれの際立つ個性が四時間近くあるのに全く退屈させない魅力を吹き込んでいく。まるで四時間近くが九十分くらいに凝縮されたような感覚を覚えてしまうほどに、濃厚そのものの作品の迫力に、息もつかせないのです。これが名作の貫禄ですね。もし、死ぬ前に再度見る機会が来たらまた見にいくと思います。やっぱり良かった。
「28年後...」
目が覚めるような美しい映像とスタイリッシュなカメラワークで見せるグロテスクホラー作品。確かにオリジナリティある絵作りの才能を見せつける映画ですが、全体像はB級ホラーの域は出ない。とは言っても個性あふれるゾンビ映画の逸品でした。監督はダニー・ボイル。
人間を凶暴化させると言うかゾンビに変えるウィルスが蔓延したロンドンでパンデミックが起こり、子供達が集まってテレビを見ていると部屋の外で化け物が現れてジェイミーの両親が襲われ、ジェイミーは単身逃げ出す場面から映画は幕を開ける。そして28年後、ジェイミーは干潮の時だけ道が開く孤島に妻アイラと息子スパイクと暮らしていた。
ジェイミーはスパイクを連れて本土へ渡る。ジェイミーは息子に、感染者だらけになった本土の現実を見せ、サバイバルのために化け物に矢を射る事を覚えさせるために連れて行ったのだが、スパイクは父のように化け物に矢を向けることはなかなかうまくいかなかった。襲ってくるアルファと呼ばれる巨大化したゾンビからかろうじて脱出した二人だったが、スパイクは本土で火を焚いている謎の人物ケルソン博士の存在を知る。
スパイクの母アイラは、時に精神的に不安定になる病気でベッドで過ごすことが多かった。孤島に住む住人のサムから、ケルソンが医者である事、父が言うような変人ではない事を知ったスパイクは母アイラをケルソン博士に診せようと孤島から連れ出す。本土へ渡った二人にゾンビ達が襲いかかり、危機一髪になったところでエリックというスウェーデンから来た兵士に助けられる。廃墟の列車の中でアイラは、感染した女性が赤ん坊を産み落とすのを助けるが、母親は化け物として襲いかかってきたのでエリックは撃ち殺す、産み落とした赤ん坊は感染していないためアイラが世話するが、エリックもまたゾンビの犠牲になってしまう。そこへ全身にヨード液を塗ったケルソン博士が現れ二人と赤ん坊を助ける。
ケルソン博士はアイラを診察し、癌である事、すでに脳や全身に転移していて、間も無く死ぬことをスパイクに話す。そしてアイラは亡くなってしまう。ケルソン博士はアイラを焼いて、その頭蓋骨をケルソン博士が作った供養のためのモニュメントに残すようにスパイクに勧める。スパイクは母の頭蓋骨をモニュメントの一番てっぺんに置く。
ケルソン博士と別れたスパイクは、赤ん坊を父への手紙と共に孤島の入り口の監視塔に残し自分は本土に残る。ゾンビが襲いかかってくるが、そこにジミーという名の司祭の服を着た男が仲間と現れ、ゾンビを迎え撃った後、スパイクに仲間にならないかと誘って映画は終わる。
様々な景色をとらえた映像が抜群に美しいし、細かいカットやストップモーションを使ったカメラワークもスタイリッシュで個性的なのですが、いくら化け物とは言え、弄ぶように残酷に殺戮していく場面は流石に目を背けてしまう。結局B級のサバイバルホラー映画という感じの一本だった。