イギリス映画らしい洒落たラブコメ。何をやっても裏目に出る主人公ブリジットと如何にもいけすかない周りの男達のドタバタ劇を中心に、ブリジットに絡むちょっと個性的な脇役とのコラボレーションが面白おかしく楽しく仕上がっていく様は見ていて心地よい。気持ちのいいラブストーリーでした。監督はシャロン・マグワイア。
三十路を過ぎて独身のブリジット、例によって母親に勧められたパーティで幼馴染のマークに引き合わされる。久しぶりに会うマークは立派なイケメンに育っていたかに見えたがダサいトナカイのセーターに幻滅するブリジット。こうして映画は幕を開ける。お酒とタバコが好きで、ダイエットにも興味のないブリジットだが、独身のまま新年を迎えた彼女は新年の誓いとして日記をつけることにする。
編集社に勤めるブリジットの上司ダニエルは、イケメンだが、鼻につくことも多いプレイボーイ。しかしふとしたことからブリジットはダニエルと親密になり一気に恋が盛り上がる。一方ブリジットに母は恋人を作って家を出てしまう。ブリジットとダニエルは仮装パーティを兼ねて田舎へのお泊まりデートに行ったものの、ダニエルが急遽仕事でロンドンに帰ってしまう。とりあえずパーティでバニーガールを演じたあと、ダニエルを追ってブリジットは帰ってきたが、ダニエルの家には人の気配が。なんとララという本社から来た女と過ごしていたことがわかり、ブリジットはあっさりダニエルの元を去る。
そんな意気消沈したブリジットにマークが接近、堅物ながら真摯なマークに惹かれていくブリジットだが、ブリジットの誕生日、マークが手料理を手伝って、友人を誘ってささやかなパーティをしているとダニエルが現れる。ダニエルの姿に揺れるブリジットを見たマークはその場を去ろうとするが、ダニエルを外に誘う。そして二人は外で大乱闘。実は、かつてダニエルはマークの妻と不倫をしていたことでマークは妻と離婚したのだ。それを知ったブリジットは、マークに再び惹かれていく。間も無くしてブリジットの母は恋人と別れて戻ってくる。
マークの両親のルビー婚のパーティに誘われたブリジットがマークの家に行くと、マークは、弁護士のナターシャと一緒にいた。二人は間も無く結婚するらしい。ショックを受けたブリジットは悪態をついてその場をさる。マークはニューヨークに栄転が決まったのだという。何度目かのクリスマス、ブリジットの家に親友達が押しかけ、パリに遊びに行こうと誘う。そこへマークが現れる。ブリジットのことが忘れられず戻ってきたのだという。
マークはブリジットの部屋に行くが、ブリジットが下着を着替えている間に、マークはブリジットの日記を読んでしまう。そこには、マークを嫌っているという言葉が並んでいた。マークはそれを読んで外に出てしまう。ブリジットは、下着姿のままマークを追いかける。外には雪が降り始めていた。ブリジットは一軒の店から出てくるマークを見つけて駆け寄ると、マークはブリジットに、新しい旅立ちのための日記帳を買ったからとブリジットに手渡し二人は抱き合って映画は終わる。
洒落たコメディという一本で、映像も綺麗だし、コリン・ファース、ヒュー・グラントも若いので、素敵である。大傑作ではないかもしれないが、心地よい気分に浸れる一本でした。
「突然、君がいなくなって」
恋人を突然亡くした主人公と、その周りの友人達の一日を描く作品で、素朴ながらも映像も美しく、こじんまりとしたそれでいたどこか心に残るラブストーリーの一本でした。監督はルーナ・ルーナソン。
夕陽を眺めるウナの後ろ姿から映画は幕を開ける。そこに恋人のディッディがやってくる。二人はそのままディッディの部屋で抱き合うのだが、実はディッディには遠距離で付き合う恋人クララがいた。そのため周囲にはディッディとウナの関係は内緒にしていた。この日、ディッディはクララに別れを言いに行くと言って、翌朝、部屋を出ていく。ハイウェイのネオンが流れる映像の後、トンネルで爆発が起こりカットが変わる。
一人ベッドでまどろんでいたウナだが、突然、ディッディの友達のグンニが遊びに来た気配を知る。ウナは慌てて奥の部屋に隠れ、ディッディのシューズを借りて裏口から部屋を出ていく。ウナ達は芸術学校に通っていた。ウナは学校で、トンネル事故を知る。ディッディは飛行機でクララのところへ行く予定だったが、飛行機が運休になり、グンニの車を借りて向かったのだという。しかも、その車がトンネル事故に巻き込まれたらしいという。状況がはっきりしないまま、グンニやウナは、緊急センターへ向かう。そこでは事故に巻き込まれた家族達が集まっていた。グンニの車にディッディと一緒に乗っていた友達は病院に担ぎ込まれたことを知るが、ディッディは亡くなったらしいことを知る。
ウナは、愛する人を失ったことを誰にも話せないまま、友人のグンニ、バッシ、シッギらと悲しみを分かち合うが、そんな彼らの前にクララが現れる。一日が終わり、ウナはクララとディッディの部屋に行く。クララはそこで、ウナが残していったウナの靴を見つける。事情を察知したクララだったが、ウナと一緒にベッドに横たわる。次第にディッディが亡くなった現実が二人を襲い、自然と抱き合う。夜明けの海をカメラがどんどん沖に向かっていき映画は終わる。
観念的な表現で、淡々と誰にも言えないウナの苦悩を画面から滲み出してくる演出がたまらなく悲しい作品で、80分と中編ながら、凝縮されたクオリティを感じさせる一本でした。