くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「パフィンの小さな島」「フォーチュンクッキー」

「パフィンの小さな島」

子供向けの童話のようなお話なのですが、シンプルで美しい色彩と絵に引き込まれているうちに、物語にのめりこんで楽しんでいました。このシリーズは、絵も綺麗なのですが、とにかくお話の展開がとっても良くできているので好きです。監督はジェレミーパーセル

 

アイルランドの西トンガリ島、パフィンのウーナが、アザラシ?のシルキー達と遊んでいる場面から映画は幕を開ける。この島に。嵐で巣を壊されたイザベルとフェニックスが両親とやってくる。イザベルは慣れない地で友達を作ろうとするもなかなかうまくいかない。ウーナや幼いババがイザベルを誘って遊ぼうとしても、フェニックスは、すんなり溶け込んだのにイザベルは引っ込み思案になってしまう。

 

ある日、この島にカワウソのマーヴィンが流れ着く。マーヴィンは臆病で、パフィン達を怖がっていたが、次第に仲良くなってくる。そんな時、大カモメにパフィンの卵が襲われそうになり、イザベルが撃退したが、ウーナも最後に応戦したのでウーナの手柄だとパフィン達に思われ、イザベルはますます孤独になっていく。

 

卵がここにあるとまた大カモメに襲われると思ったイザベルは、勝手に卵を別の場所に移動してしまう。しかしそれはパフィンにとっては大変な事だった。パフィン達は、マーヴィンが持っていったのではないかと疑うが、イザベルは自分のせいだとばれるのを恐れて本当のことを言えないまま、ますますややこしくなっていく。

 

そんな頃、嵐が近づいてくるのを知ったイザベルはパフィン達に危険を呼びかけ、穴を深く掘って準備するように勧める。一方、卵の在処をめぐって、ウーナ達やイザベル、マーヴィンらが絡んで右往左往した話が展開、イザベルは卵をマーヴィンの洞窟に隠すが、間も無く嵐が島を襲う。

 

マーヴィンは、パフィン達に疑われていると思い海に逃げるが、イザベルは、マーヴィンを助け、ウーナ達も協力して島の動物達はマーヴィンの洞窟に避難する。イザベルは、自分がしたことを謝り、洞窟の中で卵が孵る。こうしてウーナ達とも仲良くなったイザベルやマーヴィン達の姿で映画は幕を閉じる。

 

物語は実にシンプルなのですが、中盤からの右往左往するイザベルやウーナ達の姿がちょっとサスペンスフルで面白い。アニメ画もイラストタッチで美しく素朴な感じもとっても良い。こういうアニメもまた楽しい、そんな映画だった。

 

パフィンの小さな島

パフィンの小さな島

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フォーチュンクッキー

ファンタジーのような装いで展開する物語ですが、行きつ戻りつする前半部分はちょっと掴みづらく、中盤から後半にかけて映画的な絵作りになっていく様はなかなか素敵なラブストーリーという感じでした。淡々と繰り返えされるシーンの連続や、アフガニスタン出身という設定などが何やら意味ありげな雰囲気を感じてしまうのですが、そこはインデペンデント映画という出たち、個性が全面に出た作品でした。監督はババク・ジャラリ。

 

カリフォルニア州フリーモントフォーチュンクッキー工場に勤めるドニヤ、職場とアパートを往復するだけの日々が描かれて映画は幕を開ける。彼女はアフガニスタンアメリカ軍で通訳をしていて、その後難民としてアメリカにやってきた。自分だけアフガニスタンから逃げ出してきたという罪悪感からか不眠症に悩まされ、セラピーを受けている。同僚のジョアンナからデートしてみたらとアドバイスされますがドニヤは躊躇してしまう。

 

そんな彼女に、フォーチュンクッキーに入れるメッセージを書く仕事を任される。単調な日々に変化を求めようと、メッセージカードの中に、自分の電話番号を書いたメッセージを入れる。

 

間も無くして一人の男性から会いたいというメッセージが届く。しかもそのメッセージの最後に「鹿がいるかと聞くように」という謎めいた言葉があった。ドニヤは、服装を整えて車で待ち合わせ場所へ向かうが、途中、車のオイルが切れたようで、整備工場に立ち寄る。そこで一人で工場を営む青年と知り合う。

 

コーヒーをご馳走になり目的地の待ち合わせ場所の店に出かけたドニヤは、メッセージ通り「鹿はいますか」と問い合わせると、店の主人は奥から鹿の置物を持ってくる。実はフォーチュンクッキー工場のオーナーの妻がイタズラで、注文してあった鹿の置物をドニヤに取りに行かせたのです。

 

ドニヤはその鹿を車に積み、帰り道、先ほどの整備工場に行きその鹿を青年に見せると、欲しかったんだと言ってコーヒーはどうかと誘われ、ドニヤのストップモーションで映画は終わる。

 

洒落たラブストーリーのようなエンディングだが、それまでがアフガニスタンの難民問題を織り込んだ淡々とした会話劇で、しかもカメラもフィックスで繰り返されるので少ししんどい。とは言え、ラストの絵は、映像的にも美しくとっても素敵なのでそれだけでも見た甲斐がある映画だった。