くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「殺しの分け前 ポイント・ブラック」「ONCE ダブリンの街角で」

「殺しの分け前 ポイント・ブラック」

単純な復讐劇ですが、凝りに凝った映像が繰り返され、見ていてとにかく楽しい。とは言え、途中からストーリーとは関係ないようなフラッシュバックや時間と空間の錯綜、技巧的な構図などが頻繁になってくると、実は主人公はすでに死んでいるのではないかとさえ思い始めて何のことかわからなくなってくる。結局、繰り返されたフラッシュバックの意味もないまま、復讐劇が終わった後も、さらにその背後の組織を追い詰め、全て終わったのかと思えば、紋切りのようにエンディング。映像の作り自体は後の映画に影響を与えたと追うのもわかる、そんな映画だった。監督はジョン・ブアマン

 

廃墟のアルカトラズ刑務所、一人の男ウォーカーがその部屋で目を覚ます。何者かに撃たれたようで、そのフラッシュバックが彼の脳裏に浮かぶ。アルカトラズ刑務所での組織に金を奪う取引を手伝って欲しいリースは強引にウォーカーを誘う。そして取引の現場、リースが金の受け渡しをする男たちを撃ち殺し、全て終わったかの様相で、ウォーカーが愛する妻リンと刑務所の部屋で抱き合っているとリースが現れウォーカーを撃つ。リンはリースと共にウォーカーを見捨てて93000ドルの金と共に姿を消す。

 

アルカトラズ刑務所は、脱走不可能な孤島である説明がなされ、ウォーカーがなんとか脱出した風な映像。そして、復讐のためにリースを追う。リンの家に行き、リースがいるのではと乗り込むが、リンはウォーカーへの裏切りに後悔して睡眠薬で自殺してしまう。しかもリースはすでにこの家にいないらしい。リースのバックには巨大組織があるらしく、突き止めるために中古屋をやっている仲間のステッグマンのところへやって来てリースの居場所を聞き出そうとするも埒が開かず、リンの妹でリースの愛人でもあるクリスのところにやってくる。

 

リースはクリスに首っ丈で、リースの住むペントハウスを教えてもらったウォーカーは、向かいのビルで強盗があったという嘘の事件で警察を誘き寄せて騒ぎになった隙にリースのペントハウスに潜入、クリスを抱いていたリースを追い詰めるが誤ってリースは屋上から落下して死んでしまう。その様子を見ていたウォーカーの元に一人の男ヨストが手伝うと声をかける。

 

ウォーカーは、リースのバックにいる組織の幹部カーター、ブルースターらを罠にかけたり待ち伏せたりして次々と倒していく。最後に、アルカトラズ刑務所でブルースターを倒したウォーカーだが姿を見せない。ウォーカーに手を貸したのは、組織の経理担当の男で、自分を排除しようとした上層部への復讐にウォーカーを使ったのだ。その男がヨストだった。全てが終わりヨストもアルカトラズ刑務所を後にする。こうして映画は終わる。

 

ウォーカーがクリスを探すべく潜入するクラブのサイケデリックな美術、夢か現実かわからない錯綜したストーリー、派手な銃撃戦、真実が明らかになるクライマックスの面白さなどなど、隅々までお楽しみに満ち溢れた作品で、こういう映画を作ってみたいと思わせる魅力に溢れた一本だった。

 

 

「ONCEダブリンの街角で」

全編に別れた恋人へのラブソングが流れ、ほんのひと時の、そして成就してはいけない若い二人の切ない恋の物語が描かれる。主人公の二人の名前は最後まで語られることはなく、都会の片隅で起こった一種のファンタジーのような映画、素敵な一本だった。監督はジョン・カーニー。彼の出世作である。

 

ダブリンの街の一角、一人のストリートミュージシャンの男がギターを弾いて歌っている場面から映画は幕を開ける。足元の金を狙う若者が近づき、男のギターケースを奪って逃げるが、男に追いつかれて捕まってしまう。夜、男はまた歌を歌うが、一人の女が拍手する。夜歌うのは彼のオリジナルで、去っていった恋人への想いを歌っている。男が掃除機の修理を仕事にしているというので、女は壊れた掃除機を持ってくる。そしていつの間にか二人は会話するようになる。女は掃除機を持って男の家に行くと、男の父親がいた。

 

女は楽器店の片隅のピアノを弾くことがあるからと男を誘い楽器店でコラボする。女は男を自宅に誘い、男が家に行くと、幼い女の子と女の母親がいた。チェコ人らしい母親はほとんど英語を喋らず、近所の若者が女の家にテレビを観に来る。それほど裕福ではない様子である。

 

二人は頻繁に会い、男の曲を演奏して歌詞をつけたりする。男はロンドンへ行くことを決意したと女に告げ、一緒に行こうと誘う。女は自分は結婚していること、夫はチェコにいることを告白する。男はデモテープを作るためにスタジオを借り、路上ミュージシャンを誘って、女と一緒にオリジナル曲を収録しようとする。最初は適当な仕事をしていたオペレーターも、男の曲に聞き入って、どんどんのめり込んでデモテープは完成する。

 

スタジオを出て、帰り道、男は女を自宅に誘うが、女は、後から行くからとその場は別れる。しかし、女は来なかった。男は父親にロンドンへ行く旨を話し、父は餞別をやると息子を送り出す。男は空港へ向かう途中で楽器店でピアノを買う。男は別れた彼女に、ロンドンへ行くこと、会いたいことを電話で伝える。女の元にピアノが届く。チェコにいた夫は戻って来て娘や母親と賑やかに過ごす場面で映画は幕を閉じる。

 

ダブリンの街角で起こった些細なラブストーリーがとにかくファンタジックで素敵な作品。本当にピュアな映画でした。

 

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