くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「木の上の軍隊」「ジョニーは戦場へ行った」(4K)

「木の上の軍隊」

井上ひさしの有名戯曲の映画化ですが、全体が間延びしていてキレがなく、ダラダラとした人間ドラマにしか見えない仕上がりだった。監督は平一紘。

 

米軍が沖縄上陸する直前の沖縄県伊江島。本土決戦に備えて、竹槍訓練や、本土からの応援に備えての空港建設に地元住民らが駆り出されている場面から映画は幕を開ける。ところが間も無くして沖縄が空襲にさらされ、空港建設も中断、みるみる迫る米軍に、日本軍は次々と壊滅しいていく。島から出たことがない青年セイジュンは、幼馴染与那嶺とバカ話をしながら作業をしていた。しかし、米軍機が急襲してきて、セイジュン達は死体の山の中に埋もれてしまう。

 

米軍の探索を逃れたセイジュンらだが、与那嶺も殺され、壕に逃げ込んだものの、与那嶺の妹の代わりに外に出た途端壕に爆弾が落ちてみんな死んでしまう。同じく追い詰められた基地の隊長山下と合流し、反撃の機会を伺うべくジャングルの奥地へ進むが、味方は次々と倒され二人だけになってしまう。山下の咄嗟の判断で大きなガジュマルの木の上に避難した二人は、敵の目をくらましながら耐え続けることになる。

 

飢餓に襲われる中、米軍が落とした食糧を見つけたセイジュンは山下にも勧めるが山下はがんとして食せず、セイジュンは日本軍の缶詰に移して騙して食べさせる。米軍が捨てたゴミの山からなけなしの食糧を手に入れられるようになった二人はその後も木の上で、耐える日々を過ごすが、保管していた食料が島民に盗まれたことを知り、与那嶺の名前で手紙を残す。その返事で、二年前に戦争は終わったことを知る。

 

信じない山下を後にしてセイジュンは一人ジャングルを進むが、ハブに噛まれてしまう。そこへ山下が現れ、セイジュンを担いで、消毒するべく放浪するが、途中、セイジュンと逸れる。セイジュンは死ぬ前に海が見たいと一人海岸へいく。セイジュンを見つけた山下はセイジュンに微笑みかけ、帰ろうと声をかけて映画は終わる。

 

特に終盤がダラダラと間延びするのがなんともだるいエンディングになって勿体無い。いい原作のはずが、ちょっと力が入りすぎた感じの映画でした。

 

 

「ジョニーは戦場へ行った」

四十年ぶりくらいの再見でしたが、やはり名作ですね。シンプルな話を巧みな作劇と抜きん出た脚本の構成で描いていく様は素晴らしい。唯一無二の一本とはこういう作品を言いますね。良かった。監督はダルトン・トランボ

 

暗闇の中、爆弾が落ちていく音と爆発音で画面が明転して映画は幕を開ける。医師が覗き込むカットから、患者らしいものが運び出される映像。そして、両手両足、顔の半分、大脳も損傷しているから痛みも何も感じないだろうという医師たちの声が続く。そして、モノクロ映像からカラーに変わり、主人公ジョニーが恋人カリーンといちゃついている場面から、出征していく流れを細かく描写。そしてまた、シーツに覆われベッドに寝かされた姿、そして両手両足、顔の半分も無くなったことを気づかせる巧みな演出が続く。

 

ジョニーは、幻想の中で、キリストのような風貌の男と話し、その男に見捨てられ、そんな中、過去の様々な思い出が繰り返される。その合間に、ベッドで横たわる映像がモノクロで交錯する。そんなジョニーは、ある看護婦長の進言で、外の明かりを感じられるように窓の鎧戸が開かれる。さらに、新しくきた若い看護婦は彼に涙してジョニーにかすかな人間としての心を思い出させる。

 

クリスマスの夜、その看護婦はジョニーの胸にメリークリスマスと指で書くが、伝わっているという理解はない。そんな時、ジョニーは頭を枕に打ち付けてモールス信号を送ることを思いつく。看護婦は、ジョニーの行動に何か意味があると感じ、上官たちを連れてくる。そして、モールス信号だと判明、上官はジョニーの希望を聞かせる。

 

ジョニーは自分を外に連れ出して見せ物にしたらいいと答えるが、それはできないと上官たちは返答。その回答にジョニーは、それなら殺してくれと何度も信号を送る。しかし、上官たちは窓を再度閉めて看護婦を残して部屋を去っていく。看護婦は、懺悔しながらジョニーの空気の挿入管をクリップで閉じて殺そうとする。しかし、すんでのところで上官が戻り、クリップを外し、鎮静剤を注射、看護婦を去らせ、ジョニーをまた一人ぼっちにする。ジョニーはひたすらSOSを繰り返し、カメラがどんどん引いて映画は終わる。

 

反戦映画ではあるけれども、そこに、人間の命の本質に迫るドラマが展開していく様は見事という他ない。二度と作れない作品の一本かつ、一度は見ておくべき傑作だと思います。