くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「入国審査」「スタントマン 武替道」

「入国審査」

70分余りの中編作品ですが、限られた空間で繰り広げられるシンプルな物語の奥に潜む人間ドラマの描写が恐ろしく緊迫感に富み見事。単純にサスペンスの面白さを堪能できる一本でした。監督はアレハンドロ・ロハス&フアン・セバスティアンバスケス

 

いかにも仲の良さそうなディエゴとエレナがタクシーに乗り空港へ向かうところから映画は幕を開ける。二人は正式な結婚はしていないが事実婚として申請をしていた。二人はスペインバルセロナからアメリカへ移住するためにニューヨークの空港に着いた。エレナはグリーンカードの抽選で移民ビザに当選していたが、ディエゴは落選していた。しかし、エレナと結婚することで移住することを認められるはずだった。

 

二人はニューヨークの空港に降り立ち入国審査の窓口にやってきたが、審査官は二人を別室に案内する。最終目的地のマイアミへ向かう乗り継ぎ便もあるため焦る二人だったが、担当した審査官は根掘り葉掘り彼らの素性を聴取し始める。その審問の中で、ディエゴにはエレナと出会う前にネットで知り合った女性と婚約していた事実が明らかになる。

 

審査官はそれぞれ一人ずつ尋問し、ディエゴが移住するためだけにエレナを利用したのではないかとぐいぐいと真相を明らかにしようとする。そんなディエゴに一抹の疑念をエレナも抱き始める。携帯のデータも取られ、麻薬捜査犬のチェックも受け、最初の女性の審問官からさらに男性の威圧的な審問官とも面接を続けていく。

 

そして二人の取り調べも終わりロビーに戻ったものの、エレナはディエゴと素直に話せなくなっていた。そんなエレナにディエゴが再度真摯に、追い詰められている現実を話す。そして、担当官に呼び出された二人は「アメリカへようこそ」という許可の言葉で送り出されて映画は終わる。

 

一見、入国管理官の威圧的な態度を描く作品のように始めながら、次第に主人公二人の真実を明るみにしていく展開は見事で、管理官こそが、女性を守らんとする正義の人のように見えてくるし、男性に真実の愛を確かめようとするように見えてくる。この作劇が絶品です。工夫次第で面白いものはいくらでも作れるというのを証明するような作品でした。

 

入国審査 映画チラシ

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「スタントマン武替道」

出来の悪い香港映画の典型のような一本でした。物語が行ったり来たりして前に進まないし、それぞれのエピソードが何度も繰り返すばかりの時間稼ぎの流れには参ってしまいました。とは言え、アクションシーンはさすがに面白いので、なんとか最後まで頑張れたという作品でした。監督はアルバート・レオン、ハーバート・レオン。

 

1980年代、アクションシーンを体を張って撮影している場面から映画は幕を開ける。アクション監督のサムは、陸橋からトラックの荷台に飛び降りるシーンの撮影に臨んでいたが、若いスタントマンのワイが尻込みしたため、先輩スタントマンカイに代役を依頼する。ところがトランシーバーからの指示ミスでカイは大事故を起こし半身不随になってしまう。そして二十年の歳月が流れる。

 

サムは、映画界を去り整体師として仕事を続けていた。仕事中心に生きてきたサムは、妻と離婚し、娘のチェリーとはすっかり疎遠になっていたが、チェリーは間も無く結婚を控えていた。ワイは今ではアクションスターとなって、スタントマンチームを率いて活躍していた。そんな時、かつての仲間から、映画を作るのにアクション監督をして欲しいとサムに依頼が来る。最初は躊躇していたものの、最後を飾るべく参加することになる。

 

スタントマンを目指すロンを助監督につけて撮影は進むが、今風にまず安全を最優先するアクションを中心にするワイとは溝があった。物語は、撮影する中での紆余曲折に、ロンと兄のドラマ、さらにチェリーとサムのドラマが行ったり来たりして進んでいく。サムが強引にゲリラ撮影をした結果、結局サムはスタッフを下ろされる。しかし、配給からのクレームでラストシーンを撮り直すことにし、六階のビルから飛び降りるスタントシーンで締めくくることになる。

 

確執のあったチェリーも呼び、足りなかったダンボールはロンの兄が持ち込んできて、ロンは飛び降りる準備をするが、本番で飛び降りたのはサムだった。こうして映画は無理やり終わっていく。

 

なんとも言えないその場限りの展開を繰り返すストーリーは、さすがに、香港映画の悪しき部分そのままですが、黄金時代の香港映画をもう一度という思いだけは伝わってくる作品でした。