くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「第三次世界大戦 四十一時間の恐怖」「世界大戦争」「パルテノぺ ナポリの宝石」

第三次世界大戦 四十一時間の恐怖」

徹底的な悲劇を貫いたドキュメンタリータッチの作品。冷戦真っ只中の時代、誰もが考えた悲劇の終末をそのまま映像化した作品で、人間ドラマの云々はどこ吹く風で、バカな米ソの姿をステロタイプで物語に生かした一本だった。監督は日高繁明

 

戦後十五年たち、世界は、第三次世界大戦への恐怖の中、日々生活をしていた。という時代背景から映画は幕を開ける。仲良し高校生の男女は、そんな世相を嘆きながらも、未来がないことを実感し、小舟を借りて東京湾に繰り出す。中の一人は、原水爆が届かないアフリカに行くと言い出す始末。

 

病院で看護婦として働く女性は新聞記者の恋人との結婚に踏み切れない日々を送っている。銀行に勤める父と娘は、不安な情勢の中、貯金をし、安定した人生を十年送ってきたと自負している。そんな時、韓国上空で、米軍機が攻撃される事件が起こる。しかも、その機には核弾頭が積まれていたことから、米ソの関係は緊張感を高めていく。

 

第三次世界大戦を回避するべく国連は様々な国と調整を進めるも埒が開かず、米ソはお互いのメンツでとうとう核ミサイルを発射、日本へは別れのラジオ放送が流れる。そして、世界が核ミサイルで破壊され、無事だったアルゼンチンのラジオ放送のささやかな希望の言葉で映画は幕を閉じる。

 

なんとも言えない、徹底した悲劇の作品で、なんの救いもないラストシーンは愕然とするが、ある意味、当時はこれが普通の現実だったと思うと寒気がする。

 

 

世界大戦争

一本目とほとんど同じストーリー構成で展開する世界終末映画。円谷英二が特撮に参加しているので、ミニチェア特撮の面白さを味わうことができる一本で、映画としては当時の世相をそのまま反映する悲劇映画だった。監督は松林宗恵

 

アメリカ・プレス・クラブの運転手をしている田村が子供達を七五三に連れてくる場面から映画は幕を開ける。同盟国と連合国、つまり米ソの緊張が高まっているシーンが挿入され、田村の娘の恋人高野が遠洋航海から帰ってくるというニュースが入る。高野らが戦場で謎の光を見たり、ミサイル基地の司令官が、機械のエラーで戦闘開始の連絡を受けて核ミサイルの発射ボタンの押したりと、なんともお粗末なシステムが描かれる一方、ほのぼのした東京の家族の様々なドラマが挿入される。

 

そして、一旦は緊張が緩和して平和になったかと思われたが、突然交戦が始まり、いきなり戦争突入。日本にミサイル発射されることが確実となったところで、核ミサイル基地からミサイルが発射され、世界中に核爆弾が投下されてキノコ雲が上がる。洋上に出ていた高野たちも、死の灰が降る東京へ戻ることを決意して映画は終わる。

 

様々な平和なドラマを描いて、最終、世界終末になるという単純な組み立ての作品で、平和を訴えるメッセージをひたすら訴えてくる作品。まだまだ水爆さえも現実的だった時代の人々の不安をストレートに描いた一本で、当時の世相を知る一本でもありました。

 

 

「パルテノぺ ナポリの宝石」

恐ろしいほどに映像が美しい。構図のみならず景色の捉え方、色彩配色、全てにおいて芸術である。その美しさに酔いしれるように、美しいパルテノぺの物語が展開していく様はまるで夢心地のリズムを生み出してきます。ただ、物語は主人公の愛の変遷なのか、人生の物語なのか分かりづらいところがありましたが、映画のクオリティは一級品でした。監督はパオロ・ソレンティーノ。

 

1950年、船に巨大な馬車を乗せ、提督と呼ばれる人がやってくるところから映画は幕を開ける。そして女性が娘を水の中で出産し、パルテノぺと名付けられる。そして18年経った1968年、美しい女性になったパルテノぺは、周囲の男性の視線を釘付けにしていく。パルテノぺは繊細な感覚の兄ライモンドと絆を深めていく。しかし、パルテノぺの美しさが増していくほど、ライモンドは孤独になっていく。

 

パルテノぺは家政婦の息子でもあるサンドリーノと親しくなり、ライモンドと三人でカブリ島へ行きますが、そこでサンドリーノとパルテノぺは愛し合って、その場を去ったライモンドは自ら命を断つ。その頃、パルテノぺは作家のジョン・チーヴァとも出会います。

 

その後、パルテノぺは女優を目指しますが、結局、女優には向かないと言われます。さらに若い男女がSEXをする場面に出会い、そこで一人の男性とSEXし、妊娠します。しかし、あっさりと堕胎して学生生活に戻ります。果たして現実だったのかどうか、曖昧になってくるので、ストーリーを掴みづらい流れになっていく。

 

パルテノぺは、大学で人類学を学び、トップクラスの成績で担当教授マロッタからも一目を置かれていく。一方で、パルテノぺは様々な男性と出会い、その中で少しづつ自身の人間としての成長を見せていく。やがて大学もトップの成績で、論文作成のためにテゾローネ枢機卿と会い、求めに応じて性行為をする。教授からはしばらくトレントへ行き、二、三年してナポリに戻って自分の後継者になって欲しいと言われる。そして教授の秘密を知らされる。

 

教授の息子は、異常なくらいに膨れ上がった人間で、身動きもできずテレビを見ているだけの半化け物のようだったが、パルテノぺは普通に接する。そして時が流れ、パルテノぺは73歳になっていた。トレントで教授として強弁を奮っていた彼女もこの日退官の日を迎えていた。惜しまれながらも職を辞した彼女は懐かしいナポリに戻ってくる。そして、亡兄ライモンドがもたれかかっていたテラスに立ち、過去の様々を回想、ナポリでは33年ぶりに地元サッカーチームが優勝し盛り上がる場に出くわす。その中で映画は幕を閉じる。

 

とにかく画面が美しく、それだけでも値打ちのある一本でした。しかも、映像の組み立ても巧みで、映像で物語を語る風の演出も素晴らしく、惚れ惚れするような映画だった。若干、リアルかどうか分かりづらい場面もあり、賛否が分かれる作品だったかもしれませんが、個人的には素敵な一本でした。