「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」
子供の頃見た時は物足りなかったが、今見ると、とってもヒューマンでしかも中身のある映画だったことに気がつきました。しかもカマキラスやクモンガのミニチュア特撮が秀逸で、さすが東宝、さすが円谷という一本でした。監督は福田純。
一機の飛行機が荒天の中飛んでいると、妨害電波が入ってくる。そして突然目の前にゴジラが現れて映画は幕を開ける。場面が変わると、南太平洋の無人島ゾルゲル島では楠見博士らによって気象変動を生み出す実験が行われていた。人口危機に備えて食糧難を解決するべく、砂漠地帯、ツンドラ地帯の農地化などを実現するためだった。しかし、実験の途中、突然の妨害電波で、低温化するべき装置が途中で破壊されて、島は一時的に極度の高温になってしまう。
この島に以前から生息していた巨大カマキリはさらに巨大化しカマキラスとなる。カマキラスは岩の中から一つの卵を掘り返すが、その卵からはゴジラの赤ちゃんが生まれる。妨害電波はこの赤ん坊が親を呼んでいるものだった。間も無くして父ゴジラが現れ、カマキラスと対峙する。この島で強引に取材するため伍郎がやってくる。さらに島には、かつてこの島に渡った考古学者の娘サエコも現れる。
ゴジラが暴れたことで楠見博士らの装置が破壊されたため、楠見博士らはサエコの洞窟に避難する。楠見博士のメンバー達が熱病にかかったため、サエコが赤い沼の水が特効薬になるからと汲みに行くが。そこにはクモンガという巨大蜘蛛が生息していた。熱病は克服され、緊急避難の信号を発することにも成功した楠見博士らだが、カマキラスとゴジラ親子のバトルの中でクモンガが目を覚ます。そして三つ巴の戦いになる。楠見博士は再度実験する事を決意する。
カマキラスとクモンガはゴジラ親子によって倒されるが、楠見博士の実験が成功し島は極寒になっていく。ボートで島を後にする楠見博士らの前で、冬眠に入るゴジラ親子の平和な姿があった。こうして映画は幕を閉じる。
単純な怪獣バトルにせずに、何気ないドラマをゴジラの世界に盛り込んだ脚本が斬新で、さらに着ぐるみではなくワイヤー操作と思われるクモンガやカマキラスの造形や特撮シーンも楽しい。子供心にはやや退屈だったかもしれないが、昭和ゴジラシリーズの中ではなかなかの一本だった。
「Dear Stranger ディア・ストレンジャー」
くどい脚本で、登場人物それぞれが浮き上がってこない。語りたい物語は男と女のドラマなのだろうが、廃墟というのをテーマに据えたストーリー構成が生きていないし、それぞれの人物の行動の動機付けが全くわからなくて、ただただダラダラ展開する映画だった。監督は真利子哲也。
妙な音がする古い車に乗る大学で建築学を教える賢治の姿から映画は幕を開ける。家に戻るとカイという息子がいて、人形師でもある妻ジェーンが待っている。ジェーンは父の経営する雑貨店を時々手伝いに行っていた。ある日、スーパーの買い物帰り、車にスプレーで落書きされてしまう。さらにジェーンが雑貨店の手伝いをしていた時、突然強盗に押し入られ店を荒らされるが、ジェーンとカイは無事だった。
賢治は車の修理と落書きを消してもらうために知り合いの車屋ミゲルの店を訪ねる。ミゲルの娘は、妙な男と付き合っているらしくミゲルは手を焼いていた。ジェーンは認知症の父や母からの言葉に余裕がない上に、本来の夢である人形師の仕事も満足にできず、賢治との仲もギクシャクしていた。
そんな時、賢治がカイの面倒を見るために大学に連れて行って、カイが行方不明になってしまう。誘拐したのはミゲルの娘とその恋人だった。警察は賢治やジェーンから事情を聴取するが、車を落書きされた時の防犯映像から、賢治はそこにミゲルの娘の恋人の姿を見つける。
賢治はミゲルの店に行き、そこでミゲルの娘の恋人と対峙するが、賢治の車に積まれていたピストルを盗んでいたその男は賢治を撃って逃げてしまう。賢治は男の後を追う。ミゲルの娘とその恋人は廃墟へカイを連れて行って拉致した。カイはジェーンとその男の間の子供で、賢治が現れなければこんなことはしなかったとその男は言う。
ミゲルの娘が食べ物など買って廃墟に戻ってくると、カイがピストルで遊んでいた。傍に恋人の死体があり、慌てた娘はカイを連れ出し、ガソリンスタンドに放置する。警察に保護されたと言う連絡を受けてジェーンが病院に駆けつけ、間も無くして賢治もやってくる。警察は二人に事情聴取するが、担当刑事は執拗にカイの周辺を捜査し始める。そんな姿に賢治は終始苛立ちを隠さなかった。
しかし、これをきっかけにジェーンと賢治の仲は再度接近していく。いつものように車を走らせ、家に向かう賢治だったが、突然バンに追突される。乗っていたのはミゲルの娘で、賢治のせいで恋人は死んだと叫ぶ。そこへ刑事が現れる。賢治は刑事に、自分が殺したと手を差し出し、刑事は手錠をかける。場面が変わると、事件現場に立つ刑事、被害者が自らピストルで自殺し、そこへ賢治が駆け込んでくる姿を再現する。被害者の墓の前に立つジェーンとカイ。そこへ刑事がやってくる。こうして映画は終わる。
正直、非常にしつこい展開になっていて、サスペンスの面白さも、男と女の物語も今ひとつ胸に迫ってくる迫力が見えない。真利子哲也監督の作風にしてはバイタリティのない仕上がりで、ちょっと残念な映画だった。

