くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「アフター・ザ・クエイク」「テレビの中に入りたい」

「アフター・ザ・クエイク」

阪神淡路大震災後の人々の姿を村上春樹らしいシュールでファンタジックに綴った四つの短編を繋ぎ合わせた物語ですが、映像作品として今ひとつ昇華できていない感じで、面白い展開が次第に理屈っぽくなっていくのがちょっと残念な映画だった。監督は井上剛。

 

1995年、阪神淡路大震災直後、一人の女性未名がじっとテレビを見つめている。夫の小村が話しかけても答えることはせず、ある日、小村が仕事から帰ると未名の姿はなく、間も無く伯父という人が来て離婚届の記入を求められる。失意の中釧路へ向かう際に、同僚から、妹に届けてほしいと四角い包みを手にして空港に着くと二人の女性と出会う。差し当たりラブホテルに宿をとってもらったが、シャワーを浴びて出てくると四角い箱は無くなっていた。小村は一人の女性と体を合わせるも、この地にはUFOに連れ去られる話などを聞かされる。

 

2011年、スーパーでバイトをする順子は、帰る途中、いつもお客さんで来る男性三宅が浜辺で焚き火をしているのを見かけ、それから、同居している彼と一緒に三宅の焚き火に参加するようになる。ある日、このまま死んでしまおうかと提案された順子は、焚き火の火が消えたら死んでしまおうと三宅に言われ、順子は眠りにつく。

 

2020年、信仰深い母のもとで神の子だと言って育てられた善也だが、父親の存在に疑問を抱く。

 

2025年、警備員の仕事をする片桐は。ネットカフェに寝泊まりし、早朝、ゴミ拾いをする日々だった。ある日、カエルくんと名乗る巨大なカエルと遭遇。間も無く来る大地震を止めるためにミミズくんと戦う手助けをしてほしいと頼まれる。わけもわからず片桐はカエルくんについていき、かつて勤めていた信用金庫の地下に潜入、カエルくんと行動をする中、突然老人ホームのようなところで目覚めたりするが、ふと我に帰ると地下道の中、カエルくんはミミズくんを抑えたと言って息を引き取る。片桐はいつものようにゴミ拾いをする姿で映画は終わる。

 

オムニバス風に語られる四話がさりげなく繋がる構成になっているのですが、ちょっと独特の世界観で、しかも映画的な完成品にちょっとなっていない感じの作品でした。

 

 

「テレビの中に入りたい」

正直、なんのことかわからない映画だった。A24らしい映画といえばそれまでですが、エマ・ストーンが製作に入っているというのもよくわからない一本。スリラー映画だという紹介になっている一本ですが、青春映画なのか、ファンタジーなのか、幻想譚なのか、何度か集中力を欠いてしまう作品でした。監督はジェーン・シェーンブルン。

 

黒人のオーウェンがテレビを凝視している場面から映画は幕を開ける。毎週土曜日の10時半からの放送の「ピンク・オペーク」という番組に夢中なのだが、就寝時間より後の放送なのでなかなか見れない。学校で2歳上のマディに誘われて、友達の家に泊まるという嘘をついて家を出てマディの家でピンク・オペークを見ることに成功する。そして二人で、番組の登場人物に自分たちを重ねるようになる。

 

そして二年、しばらくマディの家でピンク・オペークを見ていなかったオーウェンだが、この日久しぶりにマディの家で番組を見る。マディは近々街を出ていくので一緒に飛び出そうというが、オーウェンはその気がない。やがてマディはオーウェンの前から姿を消す。オーウェンの入院していた母が亡くなり、間も無くして父も亡くなる。十年後、オーウェンはマディと再会する。そして二十年の時が流れる。ゲームセンターに勤めるオーウェンは、突然気分を悪くして意識がなくなるが、目が覚めると、薬のせいだと言って映画は終わる。

 

なんのことやと思わず叫んでしまうエンディングにあっけに取られてしまった。こういう映画もあるもんだという作品でした。