くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「おいしい給食 炎の修学旅行」「ローズ家 崖っぷちの夫婦」「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」(4K)

「おいしい給食 炎の修学旅行」

相変わらずこのシリーズは面白い。ただのドタバタコメディではなく、主人公甘利田先生の鋭く突き刺すようなセリフの数々に、感動してしまうところもあるから良い。脚本というのはこうやって書くべきだという見本のような構成に拍手したい。もちろん映画作品として一級品かどうかは論外の議論です。でもこの映画はある意味傑作だと思う。監督は綾部真弥

 

1990年函館、給食を食べることが最大の楽しみで学校へ来ている甘利田先生の場面から映画は幕を開ける。ライバルの粒来ケンが登校してきて早くもバトルが開始。この日の給食のメインはメロンパン。さらになぜか海苔のチューブがついている。粒来の奇抜な発想にこの日も舌を巻く甘利田先生。

 

間も無くして、甘利田先生の受け持つクラスら3年生の修学旅行が青森岩手に決定する。甘利田先生はご当地グルメで頭がいっぱいだが、旅程の途中で立ち寄った食堂で他校の生徒に絡まれるトラブルが発生する。青森の地元中学の教師樺沢先生は生徒を厳しく規律で縛ることが教育と考え、生徒たちの食事の間も叱声が飛び交っていた。その学校に甘利田先生の元同僚御園先生がいた。いかにもゆるゆるで楽しそうに食事をする甘利田先生のクラスに、樺沢先生は給食交流会を提案、甘利田のクラスが樺沢先生のクラスに招待される。

 

何事も時間と規律で縛る樺沢先生に甘利田は猛烈に反発、さらに御園先生も次第に目が覚めるとともに、生徒たちも甘利田先生の言葉に賛同していく。修学旅行が終わって戻った甘利田先生の中学に樺沢先生からクレームが届き、さらに教育委員会さえも巻き込んでしまう。困った校長先生は、これからも甘利田先生に給食を食べてもらいたいので、知人の教師の伝手で急遽沖縄への転勤を提案。沖縄の学校の給食に興味を持った甘利田先生は、即答で承諾、三学期を待たずに転勤することになる。二学期最後の給食で甘利田先生は生徒たちに最後の言葉を話し、最後に粒来ケンと言葉を交わして映画は終わる。

 

ドタバタ喜劇で、市原隼人のオーバーアクトな演技が微笑ましいほどに楽しい一方で、甘利田先生の厳しく唱える正論は心に突き刺さるものがあり、非常に中身の厚い脚本になっているのがとにかく心地よい。しかも、仰々しいながらも感動的なドラマも全体のテンポからは違和感なく受け入れられるので、見終わって嫌味のない爽やかな青春映画を思わせられてしまう。本当に隠れた傑作じゃないかと毎回思います。

 

 

「ローズ家 崖っぷちの夫婦」

オリジナル版の「ローズ家の戦争」は見ていないのですが、今回のリメイクはこれはこれで傑作だった。主演の二人ベネディクト・カンパーバッチ、オリビア・コールマンが抜群に良い。テンポよく展開するユーモア溢れるジョークの言い合いが次第にエスカレートしてブラックコメディが頂点に達していく様が見事。脚本のトニー・マクナマラも秀逸。少々、西洋ジョークの応酬は日本人には馴染みが薄いので、前半、妙な嫌悪感が盛り上がってきて入りにくいところもあるけれど、リズミカルなストーリー構成にとうとうラストで頭が下がってしまいました。面白かった。監督はジェイ・ローチ。

 

テオとアイヴィの夫婦が離婚問題で二人でセラピーを受けている場面から映画は幕を開ける。お互いの美点を挙げてみてほしいとセラピストに言われるが、相手を罵倒する言葉ばかり羅列されて、セラピストが呆れた姿を尻目に部屋を出る二人。そして物語は二人が出会った場面に遡る。

 

建築家で、前途揚々だったテオは海洋博物館の建築で大胆なデザインをして注目されていた。一方、料理好きのアイヴィは夫の助力で、小さなカニのレストランを開いて細々と経営に勤しんでいた。ある嵐の夜、テオがデザインした海洋博物館は嵐の中倒壊してしまう。一方アイヴィのレストランには嵐を逃れて有名な料理評論家がやってきて、アイヴィの料理を絶賛する。

 

仕事で失敗したテオは職を失い、一躍話題になったアイヴィの店は大繁盛、二人は相談して、二人の子供たちの世話をテオが、生活費その他をアイヴィが受け持つことになる。テオは子育てに没頭して子供たちとテオの関係はどんどん親密になるが、仕事が忙しくなる一方のアイヴィは子供たちが離れていくようで寂しさを隠せなかった。さらに無神経なアイヴィは何かにつけ仕事に邁進しテオのことをなおざりにした態度を見せるので二人の確執は爆発寸前だった。

 

アイヴィはテオにやり直す機会を与えたくて大邸宅の設計を任せ、テオはやりたい放題に資金を使って海辺に素晴らしい家を建築、次第に注目を取り戻していく。しかしテオとアイヴィの溝は広がるばかりだった。間も無くして子供達は奨学金を受けられるようになってマイアミに旅立つとテオとアイヴィの溝は埋められないところまで行き離婚が現実的になってくる。テオは設計した自宅を求めるがアイヴィはそれを拒否する。結局離婚調停も決裂した二人は、大邸宅の中で戦争もどきに銃やナイフを振り翳して大げんかを始める。しかし、その大喧嘩は二人を何気なく修復することになる。テオとアイヴィは仲直りをしベッドで抱き合おうとするが、喧嘩の際にヴィンテージコンロをテオが破壊していたためにガスが漏れ始めていた。そんなこととは知らずテオはAIにムード音楽と暖炉に火をつけるのを指示、画面は暗転してエンディング。

 

少々脇役のドラマが適当に流しているところがあり勿体無いのですが、主演の二人のシーンは抜群に良くできている。オリジナル版を見ていないので比べられないものの、これはこれでなかなかの佳作だった。

 

 

ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」

50年ぶりに見ました。完全にSF色が消えて、子供の空想物語になってしまった昭和ゴジラ末期の作品。正直、完全に子供騙しに仕上がっています。監督は本多猪四郎

 

小学生の一朗が友達と帰る途中、父親に声をかけ、廃工場へ遊びに行こうとするがいじめっ子のガバラに絡まれてしまう。家に帰れば、おもちゃ修理をしているおじさんの部屋でしばらく遊んだ一郎は家に戻って押し入れから手製のコンピューターで、空想の世界に入る。空想の世界の中では怪獣島でミニラと仲良しになり、ゴジラがクモンガやカマキラス、エビラと闘う様子を見る。ガバラという怪獣もいて、ミニラは果敢に立ち向かうが歯が立たないのが一郎の現実と重なる。

 

現実世界では5000万円強盗が起こり二人組が逃げている。廃工場に隠れていた二人組の一人が一郎に免許証を取られ、二人組は一郎を誘拐して逃げようとする。怪獣島ではミニラと一郎がガバラをついにやっつけるが、現実世界で一郎は二人組に連れ去られようとしていた。しかしおもちゃ修理のおじさんが二人組の車を発見し警察に連絡して一郎は助けられる。そして次の日、いつものようにガバラにいじめられそうになる一郎だが今度は反撃し、そのままみんな仲良しになって映画は終わる。

 

小学校の頃、幼馴染と見に行った一本で、懐かしさだけを楽しむ映画だった。