「七人の侍」
何回見たかわからない黒澤明監督の傑作、というより、映画の世界遺産と呼べる世界的な名作を、今回新4K版ということで大スクリーンで再見。今更物語を描く必要はないので、今回見直した感想のみを書きます。
映画がわかるようになって、というより、どこを見るかという鑑賞眼が備わってくれば来るほどこの映画の凄さを改めて実感してしまいます。一言一言のセリフに全く無駄がないし、当然、シーンの全て、カットの全てに意味がある作りになっている。当然、映像の美学が存在するのも今更いうまでもなく、しかもカメラワークは恐ろしくダイナミック。
私はこの映画は娯楽時代劇ではなく社会ドラマの傑作だと思っていますが、今回見直して、さらにその気持ちが強くなります。最低の存在としての百姓の姿、がむしゃらに生きる彼らの中にある極限の生き様、それを目の当たりにする武士の姿、その葛藤の繰り返しがどんどん物語を深く深く掘り下げていきます。それでいて、ストーリー展開が恐ろしく面白い。オリジナリティ溢れる作りに圧倒されるのは今更ですが、息を呑んで、背筋が寒くなります。やはり名作、映画遺産です。見直して良かった。ただ、新4Kの新が何なのかわからなかったけれど。
「恋に至る病」
監督名を頼りに見たが、ゆるゆるの脚本に適当な演出、下手くそな演技、まるで素人映画のような作品だった。原作も大したことはないのだろうが、それでもサイコパスなカリスマ的空気感が全く出ていなくて、それをあえて描かなかったのかと言いたいほどに面白みがない。駄作と呼べる映画に久しぶりに出会った。監督は廣木隆一。
転勤を繰り返してきた宮嶺望とその両親が海辺の街に引っ越してくるところから映画は幕を開ける。引越し先の隣の家に寄河景という同級生が住んでいた。クラスで望が自己紹介をしたがしどろもどろになったのを景がフォロー、家も近いこともあり二人は親しくなっていく。ゴミ拾いのボランティアに行った際、景が怪我をし望がおぶって助けたことから二人は水族館へデートに行く約束をする。
その噂がクラスに広まり、クラスの男子生徒から望はいじめを受けるようになる。その事を景が聞いて間も無く、いじめの首謀者の生徒が飛び降り自殺をする。望はてっきり景の仕業ではないかと疑うも景は否定する。この適当な流れはなんなのだという展開である。続いて、不審な殺人事件が続き、望は景への不信感が募る一方で景への恋愛感情も高まっていく。
巷では自殺に追い込んでいくブルーモルフォというネットゲームが話題になっていて、景がそのゲームの首謀者ではないかと望は疑うが、しばらくして、実際にプログラムを作った男が逮捕される。しかし、景の部屋で望は、ブルーモルフォの切り抜き記事やミッションを書いたメモなどを発見する。
望は景を問い詰めると、景は、これまでに一連の事件は自分が人を操って行ったと自白する。望は美術部の先輩がブルーモルフォのゲームで自分が最後は死ぬと言っていた事を景に話し、彼女を止めるように言う。屋上で今にも飛び降りようとしている先輩に近づいた景だが、景に近づいた先輩はナイフで景を刺し、屋上から飛び降りる。
駆けつけた望に、景はキスして欲しいとせがみそのまま息を引き取る。今回のさまざまな不審な事件を捜査していた刑事は望を尋問していたが、望は、自分が景を殺したというだけだった。景の家族は引っ越すことにし、望に、景の宝箱を手渡す。海岸で宝箱を開いた望は、そこに転校してきた時持っていたが途中で無くした消しゴムが入っているのを見つけて映画は終わる。
物語の展開もあまりに適当で、しかも主演を張れないような長尾謙杜に主役を任せたのも大失策。廣木隆一監督だと思うから見に行ったが、あまりにひどい映画だった。
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