くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「やがて海になる」「アフター・ウェディング」

「やがて海になる」

ゆるゆるの脚本と演出で、描こうとしている青春への懐古の空気感が全く出ていないローカル映画でした。三浦貴大が出ていると言うだけで見た作品ですが、役者それぞれも迫力がないし、とにかく平凡な一本でした。監督は沖正人。

 

ろくな仕事もせず毎日を自堕落に過ごす修司が朝のニュース番組で、幼馴染の和也が映画監督になって、今度地元江田島で撮影をすると言う番組を見ている場面から映画は幕を開ける。産廃業者で働く修司だが、この日喧嘩をして辞めてくる。そんな時、和也たち撮影隊がやってくる。同じく幼馴染の幸恵はスナックのママをしていて、経営が傾いている会社の社長と不倫をしていた。

 

和也、修司、幸恵は幼馴染ということもあって、学生時代はいつもつるんでいた。和也は幸恵が好きだったが、結局別れてしまった。修司も好きだったが、それも成就しないままに大人になった。現代の修司は毎日に嫌気がさして半ば死ぬ気で海に入って浮かんでいるところを撮影中の和也に助けられる。

 

和也の撮影隊のスチールカメラ担当が怪我をしたので、和也は修司に依頼、修司が撮影隊に参加するようになる。そんな頃、幸恵が付き合っていた不倫相手が行方不明になり、幸恵は不倫相手の家族に責められすっかり落ち込んでいた。修司が幸恵の店のホステスに頼まれて幸恵を慰めに行こうと家に行くも、がんばれというだけだった。

 

やがて映画のクライマックスの撮影、和也は母の遺骨を海に流すと言い出しスタッフを困らせるが、カメラマンの後押しもあり、その撮影方針で行くことになる。クライマックスということで島民も大勢きていて、修司は幸恵も誘っていた。修司がカメラ撮影で足を滑らせて海に沈み、また和也に助けられ、そこに幸恵が現れる。そして三人で海に叫び、撮影は無事終了、披露上映の場面と、修司が実家の農園の仕事をしている場面で映画は終わる。

 

なんともゆるゆるで締まりのない映画で、三人の青春時代と故郷への哀愁、母との思い出などなどを描いているはずが全く伝わってこない。もうちょっと力が入ってもいいのではないかと思えるような一本でした。

 

 

「アフター・ウェディング」

リメイク版「秘密への招待状」と比べ物にならないくらい良かった。目のクローズアップを多用した人物の心の中に迫る演出も素晴らしいが、インドの音楽が背景に流れるシーン、ストーリー展開のリズム感も見事だし、それぞれの人物のドラマがこちらに切々と伝わってくる。傑作でした。監督はスサンネ・ビア

 

インドで孤児院の慈善活動を行うヤコブの姿から映画は幕を開ける。祖国デンマークの実業家ヨルゲンから多額の寄付の話が届き、ヤコブは可愛がっている孤児の一人プラモドに一週間の別れをしてデンマークへ向かう。そして寄附の契約を済ませたが、ヨルゲンは娘アナの結婚式にヤコブを招待する。招待されたヤコブはそこで、元恋人のヘレネと二十年ぶりに再会する。ヘレネはヨルゲンの妻だった。式のスピーチで、アナがヨルゲンを実父ではないと紹介したことから、ヤコブはアナが自分の子供だと確信、ヘレネが言わなかったことで気持ちが混乱してしまう。

 

さらにヨルゲンは、新たな資金提供の契約を提案してくる。それはアナとヤコブ基金を設立して全ての私財を提供するというものだった。その条件としてヤコブデンマークに住むようにと言ってくる。ヤコブはヨルゲンに操られていると憤りをあらわにするが、そんなヤコブにヨルゲンは、自分の命が残り少ないことを告白、自分の死後、ヘレネやアナ、そして幼い子供たちを見てほしいと訴える。

 

ヘレネは、ある夜、ヨルゲンの枕元から痛み止めに薬をみつけてかかりつけ医に問いただしヨルゲンが病気であることを知る。そして、そのことをアナにも話す。一方、アナの結婚相手は、アナが早く帰宅した日に別の女を抱いていた。失意に暮れるアナはヤコブの泊まっているホテルへ行き、気持ちを落ち着かせる。ヨルゲンは、会社役員のパーティを開き、その場でヘレネたちに感謝の気持ちを伝える。間も無くしてヨルゲンは亡くなってしまう。

 

ヤコブはこの日、インドの孤児院にやってきた。プラモドと再会し、もうここに戻れないからデンマークで一緒に暮らそうというが、プラモドはここに残るとヤコブに告げる。こうして映画は終わっていく。

 

盛りだくさんのドラマが一気に展開する作りですが、非常に手際良い演出と、目のクローズアップによって心の変遷を見事に表現していく手腕が素晴らしい。なかなかの傑作でした。