「平場の月」
これという面白さもなく普通のラブストーリーという映画でした。登場人物それぞれがイキイキしていないので、切ないドラマが胸に響いてきません。ミスキャストといえばそれまでですが、もうちょっと工夫した演出があってもいい気もします。そんな平凡な映画でした。監督は土井裕泰。
夜、自転車に乗った青砥が、薬師丸ひろ子の歌を口ずさみながら一軒のアパートの前に来る。窓で一人の女性須藤が外を眺めている。「あの時何を考えていた?」という青砥の一人セリフで映画は幕を開ける。
印刷工場に勤める青砥は病院に入院している母を見舞いに行き、自身の胃の検診を受けた帰り、病院の売店で中学時代の幼馴染須藤と再会する。前夫が亡くなり、その後一人になってこの町に戻ってきたのだという。そして自分の大腸の生検を受けて結果待ちだと話す。
映画はそこから中学時代、須藤に告白する青砥の友だちの話や須藤の中学時代の家庭環境の話を挿入しながら、現代と交互にストーリーが展開する。青砥は生検結果はなんともなかったが、須藤は癌が見つかり手術をすることになる。青砥と須藤は、時々飲みに行ったりしながら親しく付き合うようになる。
須藤の手術は無事終わったが胃瘻を施すことになり須藤は気にかける。青砥は須藤と体を合わせ、結婚を考える。須藤は手術の後化学療法を続けながら落ち着いてから、誕生日に温泉でも行こうと約束する。三ヶ月目の検診はなんともなかったが六ヶ月目の検診で須藤は転移が見つかったが青砥に話せなかった。
結果が出た日、青砥は正式に須藤にプロポーズする。しかし須藤は、今日を限りに会わないと宣言して青砥と別れる。そして一年がたった。青砥は、一年後の須藤の誕生日に温泉に行くという約束だけは果たすつもりでいたが、会社で同僚から、須藤が一ヶ月前に亡くなったことを知る。慌てて須藤のアパートに行くと須藤の妹が片付けをしていた。そして、須藤の最後の言葉を伝える。
この日、会社の同僚の昇進祝いの酒の場だった。いつも須藤と飲んでいた居酒屋で、青砥は涙が止まらなかった。こうして映画は終わる。
とまあ、最初で大体のラストがネタバレしてしまう雑な脚本で、脇役も何故あれだけのメンバーを集めたかの意味もわからず、どうにも至る所に甘さが見え隠れする映画だった。原作があるのでなんともいえないけれど、映画としては非常に平凡な一本になっていた気がします。
「素晴らしい風船旅行」
さすがに名作。これというお話があるわけでもなく、ファンタジックな寓話という映像作品で、見ていて、単純に楽しい。監督はアルベール・ラモリス。
パスカルの祖父が、気球の設計の説明を仲間にしている場面から映画は幕を開ける。そして、完成した気球でフランス一周に旅立つが、一度は乗ることを断られたパスカルは無理やり気球にぶら下がり、結局祖父と一緒に気球の旅に出る。様々なフランスの景色を眼下に見ながら旅を続ける。後を車でベチュヌが追ってきて、時々地上に降りながら旅を続ける。
気圧の関係で、最初の気球は途中で破裂して、車に積んできた予備の気球で飛び立つ。とうとうアルプスモンブランを超えることに成功。途中、村の女性を乗せたまま飛んでしまった気球を追ったりというトラブルもあったが、気球は順調に飛んでいく。降り立った村でベチュヌが闘牛に夢中になっている間にパスカル一人乗せて気球が飛んでいってしまう。祖父とベチュヌが車で追いかける。パラシュート部隊の飛行機に乗ったベチュヌがパラシュートで降りて気球に移ろうとするが失敗、海岸線まで行ったパスカルは、砂浜でなんとか飛び降りるも気球は海の彼方へ飛び去っていって映画は終わる。
とにかく寓話の世界で、映される美しい映像と、たわいないトラブルの数々やエピソードを楽しむ作品。そしてラストのファンタジックなエンディングに、不思議なため息が出て映画を見終わります。素敵な一本、という言葉がぴったりの作品でした。

