「クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント」
誰が主人公というわけもなく、クリスマス・イブの一夜の喧騒を淡々と視点を変えて描いていく。映像はファンタジックな色合いを持って、さりげない賑やかさが、とても身近な雰囲気を醸し出す一方で映像作品としての面白さも見せてくれる一本。監督はタイラー・タオルミーナ。
軽快な音楽に乗せて、大勢が乗った車が、クリスマス・イブのホームパーティに向かっているシーンから映画は幕を開ける。着いた家は古風な出たちで、登場人物のそれぞれがどういう関係なのか、家族なのか親戚なのか友人同士なのか混沌としたままににぎやかに幕を開けていく。
所狭しと並べられたご馳走を食べながら、たわいない会話の連続、プレゼントが開封され、大人も子供もそれぞれに楽しんでいる。テレビゲームをしたり、ピアノを弾いてみたり、時間になるとネオンが散りばめられた消防車が走り去る恒例イベントが行われ、みんなで見に行って、また家に入る。若者たちはいつのまにか車で出掛けて思い思いのカップルで楽しむ。店の廃棄ドーナツをゴミ箱から盗む少女は袋一杯にサンタクロースまがいの格好で森を歩き、気楽な警官たちはパトカーに乗り、迷子の犬を乗せ、ドーナツ店の事件を聴取したりする。
どの場面をとってもクリスマス・イブ以外の何者でもなく、そこにシリアスなドラマは一切展開しない。一夜のお祭り騒ぎが延々とカメラを通して描かれて映画は終わる、
エンドクレジットで登場人物の紹介があるものの、本編の中でほとんど意味をなしていない。ある意味かなり個性的な映画でした。
「ハム・オン・ライ」
監督が日頃感じた何かを映像として表現したという感じの一本で、具体的に何を描かんとしているのかは、物語も含めて全くわからない映画だった。絵作りは美しいし、凡作とは言わないけれど、個性あふれる一本という作品でした。監督はタイラー・タオルミーナ。デビュー作
公園、使い捨てライターで火をつけようとするがなかなかつかず、ようやくついたところで爽やかな音楽と共にタイトル。思春期の美しい少女ヘイリーが着飾っている場面から映画は幕を開ける。この町では一定の年頃になると、人生で一番大切な日という一日があり、ティーンエイジャーたちは、街のデリカテッセン、モンティーズという店に集まることになっていた。ヘイリーも友人のグウェンやトリッシュたちとその店に向かう。
若者たちも続々と集まってきて、たわいない会話を交わしながらやがてダンスが始まる。そして突然曲の雰囲気が変わると、男性はこの人と思う女性にアプローチ、女性は了解の合図をすると二人はカップルになっていく。ところが一人の青年が誰からも了解の合図を得られず、店を出ていってしまう。ヘイリーは思わずその青年の後を追う。やがてカップルになった男女は踊り、語らい、明るい不思議な光に見つめられて口づけを交わす。そして街を出て何処かへ消えてしまう。
ヘイリーは、結局この街に残され、トリッシュやグウェンに電話をするが連絡がつかなくなる。上手くいかなかったことを知ったヘイリーの両親はヘイリーを気遣う。カップルになった男女はこの街の退屈な生活から解放され、選ばれなかった人たちは空虚な故郷に取り残される。ヘイリーは公園に座り、なんのこともなく流れる景色を見て映画は終わる。
オープニングとラストが同じシーンで終わる作り、ヘイリーの部屋にある風船がふわっと浮かぶシーンなど至る所にシュールな演出が施され、何かを言わんとしている気はするけれど、具体的なものは最後まで掴めないままに映画が終わりました。不思議な魅力のある作風の一本でした。