くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「白の花実」「マッド・フェイト 狂運」

「白の花実」

何ともテンポの悪い映画だった。特に前半、見ていられないほどに稚拙な演出と脚本に参ってしまった。終盤、説明会場面あたりからようやく映画らしくなって、訴えたいメッセージの何かが見えた気がしたけれど、結局ラストも独りよがりの映像に終始し、仕上がりは凡作以下の出来栄えだった気がします。監督は坂本悠花里。

 

一人の少女が塔の階段を登り、展望台に立ったところから、車の後部座席でうずくまる杏菜の姿に変わって映画は幕を開ける。人と接することが苦手な杏菜は、この日両親に連れられて、全寮制の女子校へ転校するべく見学に来た。学内を案内されても言葉を発することがない杏菜だったが、生徒たちのダンスレッスンの場に案内された際、「幽霊が見える」と言葉を発する。不平不満ばかり言葉にする杏菜がこの学校の入って一年が経った。ルームメイトの莉花はダンスレッスンで中心的な存在だった。しかし、程なくして莉花は展望台に登り、自ら命を断つ。

 

杏菜は、たまたま自分のカバンに莉花の日記が紛れ込んでいたのに気がつく、途端、光のようなものが現れて杏菜に取り込まれてしまう。それは莉花の魂だったのか、杏菜は莉花の日記を読み、魂の声を聞くようになる。莉花には親友の栞がいた。栞には近づきにくい存在だった杏菜だったが、栞は次第に杏菜と親しくなっていく。そして、莉花がなぜ亡くなったのか、日記を読み、明るい莉花の裏にあった苦悩を理解するようになっていく。

 

ある日、杏菜と栞が寮に戻って来ると莉花の父親が来ていた。杏菜が残したものを探しに来たというが、その雰囲気は異常なものがあった。莉花の日記の中にも、家に帰った際、父が部屋にやって来ることに恐怖を感じる旨の書き込みなどもあった。しかし、具体的なものは何もわからないまま、莉花の事件に関し第三者委員会のメンバーによる面接が行われる。杏菜も栞も莉花の日記のことは言うことはなかったが、謎の動画が学校に届けられる。それは、莉花がいじめに合っているかのような動画だった。

 

やがて父兄を交えての説明会が行われ、第三者委員会と学校側は莉花へのいじめはなかったと説明するが、澤井先生は、この学校の問題ある何かを訴えようとする。杏菜は、亡くなった人間の事を興味本位で推測する自分達はどこかおかしいと声を上げて会場を出ていく。後日、杏菜は栞に、杏菜が持っていたらしい栞の写真を手渡す。栞は留学が決まり、この学校を出ていくことになっていた。湖の中、一点の光が空に登っていき、月の如く輝く姿を杏菜が見つめて映画は終わる。

 

結局、何を言わんとしたいのかを匂わすばかりで、映像で語る事をせず、中途半端な演出で独りよがりにエンディングを迎える作りは何とも下手くその極みである。監督の坂本悠花里には映像演出も演技演出も脚本力もそれほどではないのではないかと考えてしまう一本だった。

 

 

「マッド・フェイト 狂運」

独特の映像美学で描くクライムスリラーという一本。導入部分は、なかなかと惹きつけられるのですが、次第にスプラッター色が絡んできてストーリーが支離滅裂になっていって、どれが中心の話かわからなくなっていくともう混沌とした流れになってしまった。散りばめられるコミカルなシーン以上に、殺戮シーンが目立って、さらにサイコパスも絡んで、絡む人間ドラマもそっちのけになっていく展開に唖然としたまま、ラストは、戦場にかける橋のマーチで締めくくる。面白かったのか、グロかったのか頭が混乱する映画だった。監督はソイ・チェイ。

 

夜の墓地で、占い師のホイが、顧客で、身近に死が迫っているメイを埋めている場面から映画は幕を開ける。擬似的に死んでしまうことで運気を変えようというホイの作戦だったが、雨が降ってきて、儀式の紙が燃え切らず、メイも我慢できずに逃げ出して通りかかったタクシーで帰ってしまう。

 

ここに、最近起こる連続殺人鬼の注意ビラを撒いている刑事は、あるアパートにやって来ると、ここに住む売春婦に借金取立てにきたチンピラと遭遇。刑事がチンピラを追い返し、ビラを留守の部屋のドアの下に忍ばせてその場を去る。実家の弁当屋の配達をしているシウは、雨で配達先の住所が濡れて、手に張り付いた住所に弁当を届けにいく。

 

雨になると異常な殺意を覚える殺人鬼は、この日あるアパートのターゲットの部屋の前にいたが、留守だった。その部屋はさっき刑事がビラを挟んだ部屋だった。しかも、メイの部屋だった。タクシーで戻ってきたメイが自宅に入ろうとすると、殺人鬼が押し込んできて メイを拘束し、ナイフで滅多刺しを始める。その部屋に弁当を届けにきたシウは、中の悲鳴を聞く。借金取りのチンピラも居合わせ、刑事に通報、刑事が向かう。メイを心配したホイが駆けつけ、メイの部屋のドアを破って突入するが、殺人鬼が飛び出してきて逃げる。刑事が逃げた殺人鬼を追うが、途中で足を挫いて殺人鬼を逃してしまう。殺人鬼は殺しの道具をシウの弁当屋のトイレの屋根裏に隠し、服を着替えて逃走してしまう。

 

ホイは、そこでシウと出会い、彼にも死の運気が巡っているからと執拗に迫るが、シウはその場を去ってしまう。シウは、血に対して異常に興奮し、少年時代に猫を殺して留置所に入っていたこともあった。姉のベッドのそばに刃物を並べて姉の顔を傷つけた過去があり、両親はシウを疎んじていた。そんなシウを助けようとホイが悪戦苦闘を始める。しかし、シウは何かにつけて血に飢えていた。

 

ここまでは、真っ当に物語が進むがここからホイがシウを正常に戻そうと悪戦苦闘する場面がめちゃくちゃな展開になる。色を選び、おまじないを描いた部屋に閉じ込めたりする。しかも、実はホイも両親が異常者で、ホイは背中に正常を維持するおまじないを刺青していた。刑事は執拗にシウを追いかけまわし、シウも、かつて自分を逮捕した刑事を殺そうとしていた。その頃、殺人鬼は新たなターゲットの売春婦を狙っていた。

 

シウは、ホイの勧めで、弁当屋で無料で弁当を配る仕事を始めるが、殺人鬼がトイレに隠していた凶器を発見してしまう。シウはそれを持ち帰り、自分の本能に目覚めるままになりそうになるがホイが勧めたおまじないを繰り返して、心を沈める。殺人鬼はそこへ襲いかかりその凶器を取り戻し、その際ホイは大怪我をする。折しも雨が降り出して、ターゲットの売春婦に迫る。シウは車で殺人鬼を追うが途中でホイを撥ねてしまう。

 

売春婦は刑事に命を狙われていると連絡する。殺人鬼は売春婦の部屋に押し込み売春婦に襲いかかるが、ホイがおいた様々な器具で反撃する。そこへ借金取りのチンピラが遭遇、刑事も駆けつけ売春婦と殺人鬼は重傷を負って搬送される。その頃、ホイは遺体安置所にシウを連れていき、善良な遺体をシウに憑依させようとする。そこへ、遺体となった殺人鬼が運ばれ、憑依したのが誰かわからなくなる。

 

シウは、刑事を見かけ、殺そうと警察の車内に放置された殺人鬼の凶器のナイフを持って刑事に迫る。しかし、殺人鬼に憑依されたホイが現れ、刑事をアパートの屋上に拉致して殺そうとする。サイコパスながら、正常になったシウがそれを阻止し、刑事を助ける。そして大乱闘の末、ホイは精神病院に収容され、シウは普通になった。

 

シウは、街に出て、猫を見かけて思わず迫るが、自分を押さえて前に進む。そこに引退した刑事が声をかける。シウは、何事もなく朝焼けの街を歩いて去って映画は終わる。

 

とまあ、二転三転というか、いったい主人公は誰?物語の本筋はどれ?と思ってしまう映画で、全編、笑い飛ばす映画だったのだろうと納得して見終わりました。