くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「異聞猿飛佐助」「追いつめる」

「異聞猿飛佐助」

忍術娯楽時代劇の様相なのですが、何ともゆるい脚本と演出で、異様に長く感じてしまった。監督は篠田正浩なので、随所に映像美学的なショットはあるもののストーリー構成がかなり複層していて、明確な勧善懲悪というより、二転三転する敵味方の丁々発止の流れがかなり読みづらい。しかも、次々と登場人物が入れ替わり、殺されていくので、主人公は猿飛佐助とわかるものの、物語を追いかけるのに疲れてしまう。ラストで佐助が全ての流れを説明してエンディングを迎えるのだが、この辺りをもう少し鮮やかに処理して欲しかった。

 

関ヶ原の戦いが終わって十四年、豊臣方と徳川方の情報の探り合いで、双方の乱波、つまり忍術使い的なスパイ戦が繰り広げられているというナレーションから映画は幕を開ける。豊臣方の忍者が徳川方の高谷左近、郡山帯刀に殺される場面から、物語は猿飛佐助が道中を急ぐところに旧知の忍者稲村光秋が近づいてくる。郡山帯刀が豊臣方に寝返る手引きをしていると言い、諏訪城を無事抜けるために助けて欲しいという。光秋は、若いバテレン小林弥四郎を役人に売ってその騒動に紛れて関所を抜けるつもりだという。

 

弥四郎が引っ立てられる様子を見ていた佐助らは、じっと見つめる甚内と喜和の姿を認める。光秋は豊臣方徳川方双方に情報を売りながらしのいできたのだという。佐助は光秋が襲われている現場に出会し光秋を助け同じ旅籠に泊まるが、光秋はそこで殺されてしまう。殺害の容疑をかけられた佐助は逃げる途中喜和と出会う。彼女は女間者だった。宿の娘お美代に常真寺に行くように耳打ちされていたのでその寺に向かうと、豊臣方の是村重之が帯刀の行方を追っているのを知る。

 

宿に戻った佐助は喜和が殺された現場に遭遇、さらにそばにいた左近から帯刀の身柄を申し受けたいと迫られる。隙を見て逃れた佐助は玄蕃の配下に襲われ、堀川和孝の屋敷に助け出される。甚内こそ和孝だった。彼は徳川方の玄蕃に対し豊臣方についていた。野尻鷹之介は真田幸村の配下だったが左近とも通じているので不審に思う。光秋の死後、帯刀の行方を知るのは佐助だけになり両派は佐助を追い始める。

 

お美代と常真寺に向かう途中、お美代は玄蕃に攫われるが、左近の配下の助けもあり佐助はお美代と弥四郎を助け出す。そして和孝と帯刀が親子であること、弥四郎が帯刀の息子だと知る。

 

やがて諏訪大社の祭りの日、帯刀がそこに現れるという謎を解いた佐助たちはついに帯刀に会う。ところがそこに左近が現れる。佐助は左近と一騎打ちし、左近を倒す。帯刀は甚内、お美代らと共に諏訪を目指す。佐助が、先で待つ霧隠才蔵を呼びにお美代と道中、先に向かうが、その隙に甚内らは謎の手裏剣で殺されてしまう。

 

佐助とお美代のところに鷹之介がやってくる。全ては鷹之介の仕業だった。鷹之介は、豊臣方、徳川方の忍者を取りまとめて日本の忍者の棟梁になりつもりだと告白する。そこに手裏剣が飛んできて鷹之介も死んでしまう。佐助はお美代に求婚し、彼方から霧隠才蔵がやってきて映画は終わる。

 

とにかく、誰が味方で誰が敵か右往左往させられるストーリー展開で、手際よく整理されていたら、なかなかの一本なのですが、どうも整理がうまく行っていないので混沌とした流れにしか見えないのがちょっと勿体無い映画だった。ラストでワンカット霧隠才蔵として登場する石原慎太郎に拍手する作品でした。

 

 

「追いつめる」

B級アクションながら、結構面白かった。組織に良いように利用されている刑事とヤクザが、一発逆転で仕返しをしてしまうという展開が爽快な一本、全盛期の田宮二郎と渡哲也がとにかくかっこいいし、悪者は見るからに悪者顔というステロタイプ化した作りも面白い。ストーリー展開も巧妙だし、楽しめる一本でした。監督は舛田利雄

 

昭和四十年、浜崎組の青谷と武上が、これから敵対するヤクザ組織の親分と幹部のいる事務所に殴り込もうとしている場面から映画は幕を開ける。浜崎組を潰そうと躍起になっている刑事の志田は、この殴り込みの現場に駆けつけ、一人の男武上を見つけて逮捕する。しかし武上は、自分一人がした事だと言って引き下がらなかった。青谷の存在がわかれば浜崎組を潰せると考える志田は、執拗に問い詰めるがガンとして武上は口を割らず、やがて送検されてしまう。そして七年が経つ。

 

出所してきた武上だが、浜崎組は七年の間に巨大組織となり、幹部になった青谷は組織の重鎮になっていた。さらに、武上の情婦喜多子も青谷の女になり店を任されていた。親分の浜崎は武上を閑職同然の扱いにする。企業家としての顔の青谷は、兄貴分の奥田と幅を利かせていた。一方、志田は若手の相棒乗松と出所してきた武上を尾行していた。しかし、武上は一向に尻尾を出さず、七年前の事件での青谷の関与を見つけ出せずにいた。

 

志田は焦り、青谷が経営する会社に乗り込んで無理やり逮捕しようとするが、青谷は逃走、その際、志田が発砲した銃弾が乗松を撃ってしまう。乗松は昏睡状態で入院してしまい、志田は刑事を辞める事になる。その頃、次々と失態を繰り返す青谷に、奥田らは海外逃走の手筈を整えたが、青谷は拒否する。そこで、奥田は海運会社社長来水を脅して一時匿い、武上に青谷を説得させようとする。武上は、青谷に、浜崎組に関わってきた汚点を書き出させて、いざという時に保険にするようにとアドバイスし、海外渡航を納得させる。一方喜多子を通じてその手帳を手に入れようと考えるが、喜多子は失敗し殺されてしまう。

 

この日、青谷は武上の説得に応じ、別の船の中にいた。そこに武上と奥田もいた。武上は青谷が手帳を持っているのを確認し、奥田を絡めてまんまと手帳を手に入れる。その頃、青谷が海外逃亡を企てているという情報から、妻遼子の実父来水から、青谷が乗る船を聞き出し、乗松の妻に、自分がこれから向かう先を県警に知らせる手紙を預けて船に単身乗り込む。青谷から手帳を手に入れた武上は志田と一騎打ちになって殴り合い、志田に手帳を奪われるが、最初から武上の作戦だった。

 

手に入れた手帳をもとに浜崎組は起訴されるが、折しも浜崎組組長は肝硬変で亡くなってしまう。その葬儀会場にやってきた志田は、武上と会い、武上が浜崎組を継ぐことを知り、二人の戦いはこれからも続く事になって映画は終わる。

 

やたら殴り合いアクションが繰り返されるものの、ストーリー展開がなかなか面白いし、刑事とヤクザのドラマ部分もしっかり描かれているので見ていて退屈しない。ちょっとしたできの一本だった気がします。