くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「架空の犬と嘘をつく猫」

「架空の犬と嘘をつく猫」

ある家族の三十年に及ぶ物語を五年ごとに区切って淡々と描く作品。出会いがあり、再会があり、過去の罪悪感があり、夢物語がある。そんな様々が、これという劇的な展開もなく、それでいてありえない展開も交えて語る筆致がちょっと面白い映画だった。監督は森ガキ侑大

 

1988年、九州のとある街でしょうか、一匹の犬と少年が草原をかけていくショットのあとタイトル、本編が始まる。羽猫家の長男、小学生の山吹が友達と日々暮らしている。弟が事故で亡くなったらしく、母雪乃は弟が生きているかの如く振る舞っている。そんな母に山吹は嘘の手紙などを作って生きているかのような芝居をしている。一方姉の紅はそんな母が嫌いで何かにつけて反抗していた。祖父は、裏山に遊園地を作るなどと言い出す。父はそんな母に耐えきれず愛人のところへ入り浸る。祖母は骨董店を営んで山吹達を見守る。

 

山吹と友達はいつも犬のいるクラスメートの女の子頼の家に遊びにいっていたが、引っ越して街を去っていった。去り際、頼は山吹に手作りのマスコットをプレゼントする。やがて中学になった山吹は雨の日、年上のかな子と知り合い、初恋に目覚める。かな子の母は男好きで、恋人を次々と替える女性だった。

 

大学生になった山吹は居酒屋のバイト先で頼と再会し付き合うようになる。頼は、身寄りのない子供を預かる施設でも働いていて山吹はそこを手伝ったりするようになる。そんな時、山吹はかな子と再会する。山吹とかな子の姿を見た頼は嫉妬で寂しくなるが、かな子には恋人がいた。しかし、何かにつけて優しい山吹を頼ってきた。紅は家を出ていった。

 

就職した山吹は、頼と婚約する。山吹は紅が働く写真館に出向き、婚約を報告するとともに、弟を殺したのは自分だと涙を流す。幼い頃、自分の後をついてきていると思っていた弟は、山吹の行く方向を反対に走って用水に落ちて亡くなっていた。そんな山吹に紅は、それは山吹のせいじゃないと慰める。折しも祖母が病気で倒れ入院する。紅も雪乃も見舞いにやってくる。

 

間も無くして祖母は亡くなるが、その葬儀の日、お腹が大きくなったかな子が山吹に助けを求めにくる。母の恋人との子供を妊娠して逃げているのだという。泊めて欲しいというかな子に山吹はキッパリと断る。頼は、そんなかな子に優しく接してやる。子供ができない頼は、妊娠しているかな子を放って置けなかった。

 

時が流れ、山吹は仕事をクビになる。そんな山吹に頼は、かつて施設で山吹が子供達にお話を聞かせたこと思い出し、童話を書いてはどうかと勧める。そして山吹は童話を書き始めたカットが映される。母雪乃も、亡くした息子のことは吹っ切れ、山吹が書いてきた嘘に手紙のことも知っていたと話し、夫淳吾と出かける姿、山吹達の今の生活などが描かれて映画は終わる。

 

本当にこれというものはなく、五年ごとに区切られたストーリーをただ描いていく。身近なようで作り話の世界、それでいて、どこか親近感を持ってしまう作品。そんな映画だった。