くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「大悪党作戦」「長安のライチ」

「大悪党作戦」

典型的なプログラムピクチャー。あれよあれよと登場人物が増えてきて、さらに物語もどんどん膨らんで、冒頭のあれやこれやは吹っ飛んで、ラストはひたすら雪山を転げ回りながらの銃撃戦、そしてあっけないエンディング。単純そのものに楽しめる娯楽映画だった。監督は石井輝男

 

競馬場、一人の男轟が、背後から顔を斬りつけられる。斬ったのは筧という男で、そのまま車に乗せられ、郡のアジトの部屋にやってくる。郡というのは犯罪のプランナーで、明日、競馬場から一億を強奪する計画を立て轟らメンバーを集めていた。轟が顔に大怪我を負った事で、実行に参加すると目立つばかりなので外すことにし、筧を加えて、計画実行を練り直す。リカは筧の真意を探ろうとホテルに誘うが聞き出せなかった。そして実行の段階となる。

 

馬券売り場の中で働く女真弓が中へ引き入れるドアを開けると筧と南が突入、警備員で潜入している男角が段取りをし、筧らは金を詰めて脱出する。実は筧の仲間の槙一味はこの金の横取りを考えていて、強奪した後の金を奪おうとしていたが、南らはトイレの窓からアイスクリームやに扮した男沖に金を渡して持ち出してしまう。沖は、途中でラリーカーに乗っている女路子に金を渡す。槙一味は沖を問い詰めて金の行き場所を聞き出し後を追う。

 

郡や轟が車で路子と恋人の角が乗った車を追う。しかし、路子と角は最初から金を奪うつもりだった。郡の車を上手く巻いて、自分たちは立山連峰へ逃げる。郡達も路子らの後を追って立山連峰へ向かう。郡達は雪山で路子らに追いついたが、そこに槙一味が現れ三つ巴の銃撃戦となる。銃撃戦の中、角は撃たれて谷底へ落ち、槙一味は、路子らを人質に取り、南が確保した金と引き換えにしようとするが、筧らと乱戦する中で南は撃たれて重傷を負う。金を諦めた南は、轟やリカらをゴンドラで逃し、自ら槙一味に立ち向かう。

 

そんな様子を麓から双眼鏡で郡が見ていた。折しも工事現場ではダイナマイトが仕掛けられ、爆破される。槙達はダイナマイトで金ごと吹き飛ばされ、何もかも白紙になってしまった様子を苦笑いして郡がその場を去って映画は終わる。

 

結局、警察がつかんだ偽ラリー車を追うくだりはどこかへ吹っ飛び、雪山で銃撃戦を繰り広げた男女の行方も、ゴンドラで逃げた轟らもどうなったかわからないままにあっさりとエンディング。とにかく面白ければいいだろうと、その場その場でシーンを作り上げたような映画で、意味のない由利徹のギャグシーンや、延々と続く雪山での転がり撃ち合う場面のクライマックスは、意味もなく面白い。映画の原点とはこう言うものという一本だった。

 

長安のライチ」

もっと真面目な映画かと思っていたら、単純にエンタメ映画だった。CG特撮を多用する一方で、人間関係や権力関係はよく把握できなかったが、宮廷内の丁々発止の権力争いを描きながらの主人公の右往左往を語っていく。そこに友情があり、人情があり、家族愛が挿入されるというちょっと面白い映画でした。監督はダー・ポン。

 

唐の都長安楊貴妃の誕生日を祝う日が近づいているある日、宮廷内の官吏は、新鮮なライチを献上すれば喜ばれるがという計画が持ち上がっていた。しかし、産地嶺南から長安まで腐らせずに運ぶのはほぼ不可能だった。しかし、誰かに指示することになり、失敗しても問題にならない下級官吏の李善徳にその命令が下される。しかも命令書は、蜜につけたライチと改竄されていた。李は、重要な任務を命令されたと思い、嬉々として喜ぶが、改竄されている部分をめくると生のライチと書かれていて驚愕する。しかし、大勢に見送られ、一路嶺南へ向かう。

 

嶺南に着いたが、長安まで生のライチを運ぶことなど不可能だと一括される。李は四苦八苦して、まず様々な経路を使ってライチを運んでみて、どの経路なら腐らせずに運べるか試すがどれも上手くいかない。そんな李を林巴奴という奴隷が見張っていた。心優しい李は林も人間として扱い酒を振る舞ったりするので林はすっかり李に惚れ込んでしまう。

 

そんな李は、地元の官吏に襲われるが、林巴奴が大奮闘して李を助ける。その時、李は、ライチをもぎ取らずに枝ごと途中まで運べば鮮度を保てるのではないかと考える。しかし、そのためには膨大な資金が必要だった。長安に戻った李は宰相の楊国忠に提案する。楊国忠は、大金と李が考える計画の全てを支援すると約束、李は早速、ライチを輸送する行動を開始する。しかし、切り倒す木は十本のはずだったが、念の為と称して二百本もの木が伐採されていく。農民達は悲しみと李への恨みをあらわにし、李は苦悩する。さらに、皇帝に推挙してほしいという地元商人の友人の思いも叶えられず、友人も離れていく。

 

しかし、大量のライチの枝が積み込まれた馬車は出発することになる。途中の宿場で何度も馬と馬車を新しくして突き進むが、ある宿場に着いた時、そこの住民が皆離散している現場に遭遇する。楊国忠からの指令で、ライチ輸送のため多額の税が課せられたため皆、村を捨てたのだ。その後の宿場も皆離散していた。途方に暮れた李だが、有志だけでさらに前に進み、予定していた船着場から船を南下させて船に乗せ輸送することにする。

 

途中、次々と落馬したりして減っていく一方、目的地に船は一艘も来なかった。絶望する李の前に、友人の商人が一艘の船で駆けつける。残った者が船に乗り、長安を目指すが、長安では、李がうまくことを運んでは面白くない魚朝恩が、崖を通るところで刺客を放ってくる。次々と崖下に落ちたり殺されたりする中、林巴奴も、李善徳を救って崖下に落ちてしまう。一騎になった李は長安を目指し駆け抜けて、ついに楊貴妃の祝日にライチは間に合う。

 

しかし、楊国忠の前に来た李善徳は、皇帝の慰みに庶民を犠牲にした楊国忠の行いは許せないと糾弾する。皇帝から祝いの品物はもらったが、李善徳の心は晴れなかった。李は、嶺南に追放され、そこで農民となってライチを栽培するようになる。そんなある日、友人の商人の弟が訪ねてきて、長安安禄山の反乱で崩壊してしまったことを知る。勉学に励んで官吏となった李善徳の過去が回想されて、涙ぐむ彼の姿で映画は終わる。

 

前半はコミカルな展開で、次第にシリアスなスペクタクルに変わり、ラストは、歴史の流れを描く人間ドラマの切なさで幕を閉じる。決して出来のいい映画ではないかもしれないが、なかなか面白い作品でした。