「MERCY マーシーAI裁判」
相当に面白かった。練り込まれた脚本と二転三転する展開、SFタッチの動的な映像作りも見事。今時のメカニカルだけで奇抜な作りを見るだけの映画かと思っていたので、これは掘り出し物のエンタメサスペンスでした。傑作。監督はティムール・ベクマンベトフ。
凶悪犯罪が蔓延する近未来、マーシーと呼ばれるAI裁判のシステムが完成し、犯罪率は急激に低下して成果を表していた。このシステムで最初の犯罪者デヴィッド・ウェブを有罪にしたクリス刑事は、目が覚めるとマーシー裁判所の椅子に拘束されていた。容疑は妻ニコールの殺害で、状況証拠などからほぼ有罪が確定、90分以内にその無実を晴らさないとこのまま処刑されることになる。
マーシー裁判所の裁判官マドックスにクリスは最初ひたすら罵声を浴びせるが、冷静に戻り、真実を追求するため、マドックスが操る様々な映像や検索システムを駆使し始める。外部では同僚のジャッキー捜査官に要請、彼女は空を飛ぶバイクに乗って真相究明を助ける。クリスはアル中で、そのため時々切れてしまい様々なトラブルを過去に起こしていた。ニコールからは離婚を匂わされ、それに逆上したことで殺害した事になっていた。娘のブリットも父を疑い責めるばかりだった。
クリスは、ニコールの浮気を疑い、彼女と連絡ををとっていたシェフの男を追求するが彼にはアリバイがあった。クリスは、ニコール殺害は衝動的なものではなく計画的だと判断、友人グループ、会社の同僚グループに分けて犯人を絞って行く。その中で、会社の同僚グループに焦点を絞り、その中で、ニコールに、会社で発注している尿素の在庫数量の不自然さに着目、それを横流ししているらしい男に焦点を絞る。その男は尿素を精製して麻薬を作ろうとしていると考える。しかし、その男に聴取してみると、薬品を横流ししていたのはニコールの上司のロブだとわかる。
そこでジャッキーに依頼し、ロブを確保せんとするが、ロブは大量の尿素を硝酸と混合し大量の爆弾を作っていることが判明、さらにブリットを人質に取り、トラックに爆薬を積んで、マーシー裁判所へ向かっていることがわかる。ロブは、クリスが最初に逮捕してマーシー裁判所に送ったデヴィッドの兄だった。ロブはデヴィッドの無罪を主張し、犯罪時にアリバイがあることを警察に連絡していたが受け入れられず逆恨みしていた。
途中、爆弾によるトラック破壊が試みられるが、ブリットが乗っているからとクリスは反対する。しかし計画は実行されるが、爆弾は不鉢だった。それはマドックスの仕業だった。そしてトラックはマーシー裁判所へ突っ込む。ロブは起爆装置をにぎったままクリスを呼ぶ。マドックスの分析で、起爆装置の不備が見つかり、マドックスは、電池をうまく外せば止められるとクリスに連絡する。一方マドックスはロブの要請でデヴィッドのアリバイの件を再調査してみたが結局有罪は覆らなかった。
隙を見てリモコンを取り上げたクリスはロブを確保するが、ロブは、アリバイを警察に連絡した際、返事の連絡がなかったのだという。その相手は女刑事だと告白する。ジャッキーが執拗にロブを撃ち殺そうとするが、マドックスが、デヴィッドの証拠品のスマホをチェックすると、ジャッキーが捨てていた映像が見つかる。ジャッキーが証拠隠滅を図ったのだが、それは全てマーシー裁判所の運営をスムーズに進めたいという野心もあったためだった。結局、ジャッキーは逮捕され、マドックスは、どんな事にもミスはあると答えて映画は終わる。
ジャッキーが乗る空飛ぶバイクをうまく使った映像、俯瞰で疾走する大型トレーラーを捉えるスピード感あふれるカーチェイスシーン、そんなクライマックスの映像表現以外に、真相に迫っていくクリスとマドックスのやり取りのハイテンポな展開、そしてラストの大どんでん返しと、微に入り細に入り、非常に良くできた作品に仕上がっています。本当に面白かった。
「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2」
前作をほとんど覚えていないのですが、今回は単純に面白かった。アニマトロニクスたちが襲いかかることの恐怖感は少ないのですが、見せ方が面白いので楽しめます。監督はエマ・タミ。
1982年、フレディー・ファズベアーズ・ピザでパーティが行われている。一人の少女シャルロットは、落とし蓋が落ちてアニマトロニクス達が出てくるのを待っているが、なかなか蓋は落ちない。幼いヴァネッサはシャルロットを誕生会に誘う。シャルロットがふと目を挙げると一人の男の子が黄色いクマ=ウィリアム・アフトン(ヴァネッサの父で前作の犯人)に連れ去られて舞台裏に消えてしまう。シャルロットは、大人たちに少年を助けてくれるように頼むが相手にされない。仕方なく自分が行こうとするが、近くにいた友人ヴァネッサが引き止める。それでも舞台裏に向かったシャルロットはそこで黄色いクマに今にも殺されそうな少年を発見し、抱き上げて逃げる。後をクマが追ってくる。シャルロットがなんとか会場まで出てきて少年を両親に引き渡すが、シャルロットはクマのナイフを背中に刺されて死んでしまう。そして二十年が経つ。
前作のフレディ事件の一年後、マイクはこの日ヴァネッサとデートの予定だった。妹のアビーはこれからスクールバスに乗る予定だが、アニマトロニクス達に会いたかった。バスの運転手ジェレマイアは、マイクの友人で、ヴァネッサとのデートも知っていたが、ヴァネッサは狂っているからよしたほうがいいと忠告する。しかし、マイクはヴァネッサと食事をする。
ファズベアーズ・ピザは心霊スポットとしてネット上の都市伝説となっていた。この日幽霊ハンターなる若者たちはそのファースト店の元警備員マイケルに誘われて取材にやってくる。マイケルが中に案内して若者三人が入るが、次々とマリオネットに殺されてしまう。マイケルはシャーロットの生還を喜ぶ。
アビーは学校でロボット制作の授業に出ていたが、担任のバーグ先生は何かにつけてアビーを避けものにして嫌っていた。この日もロボットコンテストに参加するのを無理やりやめさせられ家に帰ってきた。マイクがヴァネッサとの食事から戻るとアビーがフレディの店に行った事を知り後を追う。そこでアニマトロニクスと会話できるおもちゃを持ち帰る。一方ヴァネッサは事件以降頻繁に父が追ってくる悪夢を見るようになっていた。
アビーは、なんとかロボットコンテストに出たくで持ち帰ったおもちゃと会話して、初代フレディの廃墟に行きチカと再会する。自作でロボットを作る。それはチカに手伝ってもらったものだった。アビーはロボットを作ってコンテスト会場に行くがバーグ先生に壊されてしまう。ショックを受けたアビーはピザ店でチカに相談する。マイクはシャルロットの父に会い、シャルロットの父が調べた事を知る。そして父の資料のアトラクションとアビーの絵が同じだと気づきアビーが危ないと知る。その際、シャルロットが眠れるように使っていたオルゴールをもらう。
アビーはチカを連れて行こうと考えるが、そのためには外に出ても電源が切れないようにパスワードで解除する必要がある。その頃、ヴァネッサもフレディの廃墟に行ったがシャルロットに逢おうとしてマリオネットに捕まってしまう。マリオネットは、ヴァネッサに、アビーを殺されたくなければパスワードを教えるように言い、それを知らないアビーはシャルロットが憑依したチカの言う通りにパスワードをパソコンに入力する。アビーはチカとコンテストに行くがバーグ先生に罵倒されてしまい、チカはバーグ先生の頭を砕いてしまう。
アビーを心配するマイクはフレディの廃墟にやってくる。そこで捕まっているヴァネッサを救出する。マイクはコンピュータをハッキングしてアニマトロニクスを止める。一方ヴァネッサはマイクの家にいるらしいアビーの元へ急ぐが、シャルロットのマリオネットが試作品のマリオネットを再起動させてヴァネッサを追う。
車を襲われたヴァネッサはなんとかマイクの家に着くが、シャルロットが襲いかかってくる。マイクは、Wi-Fiの遮断に成功し、アニマトロニクスは一旦止まってしまうが、シャルロットは、新たに再起動させる。シャルロットはアビーの体に乗り移りヴァネッサに襲いかかってくる。間一髪、マイクが駆けつけオルゴールを鳴らすとシャルロットはアビーから離れる。しかし試作品のマリオネットたちが襲いかかってくるが、マイクは以前の廃墟のアニマトロニクス達の呼びかけマイクたちを守るために現れて試作品を全ては倒される。そして自らの電源も切れて止まってしまう。そして最後の一体が止まる時、自分たちがいなくなったらもうアフトンの霊は抑えられないとマイクに忠告する。
マイクはアビーが危険にさらされたことでヴァネッサに、一才関わらないでくれと捨て台詞を残して去って行く。それを見送るヴァネッサに、シャルロットが乗り移り映画は終わる。エンドクレジットの中、シャルロットの父が、自分はアフトンの共同経営者だった事、フレディーズのピザ店に気をつけろと言う声が出て暗転エンディング。
少々込み入りすぎたきらいはあるが、なかなか見せ場の連続で面白く仕上がっている。ドロドロしたホラーというより、どこかテクニカルな設定も加味した新鮮さが楽しい一本でした。
「安楽死特区」
安楽死というものについて賛成でも反対でもないけれど、そもそも安楽死自体は、高度な知能を持った人間の傲慢な知識程度にしか考えていないので、この作品の物語とかメッセージとかは傍に寄せて感想を書きたいと思います。映画としては流石に優れた作りになっている。脚本もいいし、おそらく原作もしっかり描かれているのでしょうが、ラップを取り入れた軽いタッチのリズム感と、美しい映像を意識した絵作り、ラストのシュールに笑い飛ばすようなノリの後、実際に安楽死を選び寸前でやめた実在の女性との対談で締めくくる作りは少々鼻につくとはいえ、なかなかの仕上がりだと思う映画でした。監督は高橋伴明。
刑法二百二条の条文が語られ、ステージでラップを披露している主人公章太郎の姿から映画は幕を開ける。時折チベットの砂曼荼羅を描くカットが挿入され、軽快なリズムでステージを捉える一方で、近未来の日本、安楽死特区が開設され、ヒトリシズカという名の施設が作られたことが描かれる。
章太郎は若くしてパーキンソン病を患い余命半年と宣告された。パートナーの藤岡歩はジャーナリストで、安楽死特区についての記事を書くべく準備していた。歩は緩和施設を訪れ、一人の老婦人と出会う。その後ヒトリシズカを訪ねた歩は、認知症で安楽死を望む婦人真矢と出会う。歩は章太郎と一緒にヒトリシズカに入所し、施設の中から安楽死について問いかける記事を書くことを考える。
章太郎らはヒトリシズカで、末期がんで安楽死を希望している池田とその妻と出会う。映画は、章太郎と歩が、池田夫婦や真矢との交流を進めて行く姿を描いて行く。施設の主治医尾形は、心臓外科医で、これまで奇跡の治療を行ってきた医師だった。ヒトリシズカのスタッフと章太郎らとの面談の中で、スタッフは、章太郎に安楽死の意思はなく、申し込み時の誓約書は虚偽だった事を指摘されるが、章太郎らはしばらく入所を続けたいと申し出る。
やがて池田の安楽死の日が近づくが、章太郎は池田と話す機会があった。やがて池田は妻に看取られて安楽死を迎える。その後の面談で章太郎は安楽死を望むとはっきりと意思表示したため歩はショックを受けるとともに尾形らに詰め寄り、失語症になってしまう。歩は、たまたま、妻との離婚が決まった尾形や施設の医師鳥居と夜の町で出会い、飲んだ後、歩が部屋に戻ると部屋の前に真矢がいた。
真矢は章太郎の部屋に入り、自分の子供が幼くして死んだ事を歩らに話すが、歩は、息子さんはしっかりと幸せに生きたと真矢を励ます。そして失語症は回復する。間も無くして、章太郎の安楽死の日がやってくる。自分で薬を飲む事ができず、歩の介添が許可されるが、歩は、自ら口づけをして章太郎を窒息させて死なせてやる。真矢は安楽死をやめて施設を出て行く。
章太郎の遺体を乗せた車が焼場に向かう途中、真矢たちが出迎える。そして参列者でラップを踊り始める。漫才師で三味線を弾いていた真矢が先導していく。白装束の章太郎も現れ歌い踊る。しばらくすると章太郎の姿は消えて映画は終わっていく。エンドクレジットの後、かつて安楽死のためにスイスに行き、薬を口に含んだ途端親に号泣されて思いとどまった女性と対談する映像で映画は締めくくられる。
原作者も脚本家もそして監督自身も果たして安楽死を容認するのかどうかは当然はっきりとは語っていない。ただ、対談した女性は、また来ればいいと思いとどまったこと。今も行く意思はあるという言葉で締めくくられている。そういう映画だった。
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