「サリー」
ほのぼのと癒される映画でした。これという劇的なものも、宣伝文句にあるロマンス詐欺のこともさらりと流して、ひたすら主人公の家族や周りの人達のあったかい物語を綴っていきます。決して大傑作とかそんな大層なものではなくて、その辺に転がっておいるような一本、そんな映画でした。監督はリエン・ジエンホン。
鶏を育てて生活しているフイジュンのところに、兄の娘、つまり姪のシンルーがやってくるところから映画は幕を開ける。今時の女子高生?風のシンルーは食事中もスマホをいじり、マッチングアプリで出会った人と遊んだりしている。三十歳を過ぎて未だ独身の叔母のフイジュンに、シンルーはマッチングアプリを勧め、勝手にサリーという名で登録してしまう。
最初は乗り気でなかったフイジュンだが、さりげなくアプリを触っているうちに、フランスで画廊を営むマーティンと知り合う。最初は普通に楽しい会話だったが、アパートを借りる頭金を出して欲しいとマーティンはフイジュンにお金を要求してきた。シンルーや弟のウェイホンらは、ロマンス詐欺だからとフイジュンに忠告するが、フイジュンは、自身でパリに出掛けて直接会うことにする。
パリツアーを使ってパリにやってきたフイジュンは、ツアーで知り合ったパリ通に女性から、一時滞在のアパートを紹介される。そこで、フイジュンは、マーティンが送ってきた画廊の写真を見せて、その場所を教えてもらい出かける。画廊に着いたフイジュンは、マーティンとのチャットの中で紹介された絵を発見、まんざら嘘ではなかったと思っていると傍にマーティンが現れる。しかし、それはマーティンではなく、自分の写真を他人が使ってあちこちに恋人を作っているらしいと教えられる。
真相がわかって、どこかスッキリした気分のフイジュンは、バーで一人の男性と知り合う。そして一夜を共にするが、結婚しても良いという相手に、フイジュンは、返事をせずに部屋を出ていく。そして台湾に戻ると、弟ウェイホンの結婚式の準備が進められていた。ウェイホンに頼まれてフイジュンは結婚式の主催者になり、家族や親戚、兄達と楽しく過ごす。シンルーは、これからずっとフイジュンと暮らしたいというが、大人になってから決めれば良いと兄の元に返す。
ウェイホンは、鶏肉店を始めることにし、フイジュンは、これまで通り鳥の飼育に戻る。彼女の周りには、所狭しと鶏が群れていた。こうして映画は終わる。
フイジュンの鶏小屋に、一羽の真っ白なオスの鶏がうろついていたり、シンルーがドブで拾ってきたという愛犬がさりげない仕草を見せたりと、絵作りがコミカルで楽しい。終始ほのぼのした台湾の家族の姿を見せてもらう一本で、こういうのを見ていると、台湾というのは良いところだなと思ってしまう、そんな映画だった。