「神社 悪魔のささやき」
低レベルのB級スプラッターホラーかとあっけに取られる出だしだったが、次第によくわからないまでも物語が深く掘り下げられていくと、これはこれで最後まで見ることができた。とは言っても、監督は熊切和嘉というだけで見に行った作品としてはがっかりな映画だった。
ソウル、ムーダン(韓国の祈祷師?)であるミョンジンが、何やら祈っている場面から映画は幕を開ける。背後に気配を感じて振り返ると何者かが笑っているが、次のカットで消えている。舞台は神戸に変わる。山中の廃神社を紹介する日韓文化交流プロジェクトを進める学生ユミ達は、この日ある神社へ向かう。そこで羅刹の文字がある石碑や、謎の首の石像などを見つけ、不気味な空気を感じていたが、突然学生の一人が狂ったように暴れて目を突き刺してしまう。
学生達の下宿先のサトウは、ユミらが戻らないので心配していたが、夜になって、一人の男子学生が戻る。しかし、意味不明の言葉を叫んで暴れ始め、自ら死んでしまう。翌日、近所で教会を営むハンジュもやってきて、不可思議な出来事の謎を捜査するが、出口が見えない中、ユミはかつての先輩で、祈祷師でもあるミョンジンを呼ぶ。
ミョンジンは早速神戸にやってきたが何も見えず、ユミやハンジュ達と廃神社へ行ったものの、謎は見えなかった。ただ、羅刹の石碑から、おそらく強大な悪鬼羅刹を信仰する集団がかつてこの地にいたのではないかと推測する。その帰り、ユミとミョンジンはハンジュの教会へ立ち寄るが、ハンジュは一旦姿を消して再度現れたときには、不気味な空気を漂わせ、さらにサトウも現れユミ達を襲ってきた。サトウはハンジュの義母だった。
ハンジュにはかつて京子という妻がいたが、妊娠時に急死し、神を信じなくなって悪鬼羅刹に身を捧げ、京子を甦らせるために五つの魂を手に入れようとしていた。京子はサトウの娘だった。そしてあと一つに迫ったハンジュは、ミョンジンを襲ってくる。しかし、最後の最後サトウは自ら猟銃で自殺し最後の魂を捧げる。ところが悪鬼の魂は京子の死体ではなくユミに取り憑いた。裏切られたハンジュは炎に包まれる。
ミョンジンはユミをなんとか救い出し脱出するが、ユミに悪鬼が乗り移り、学生時代、ユミに恋焦がれていたミョンジンが、恋敵のゴリョンを呪い殺したと問い詰められてミョンジンが苦悩したりする。しかし、最後の最後悪鬼を倒し、ユミと共に脱出。しかしハンジュに取り憑いた悪鬼の行方は不明だった。韓国に戻ったミョンジンは、祈祷室で美食を貪っていて、向かいにハンジュ?らしい人物が笑っている。悪鬼はミョンジンに移ったのか?不思議なラストで映画は終わる。
人間の奥底に潜む悪意の存在を悪鬼退治というホラー仕立ての物語に昇華させた意図はなんとなくわかるが、この手の映画にここまでシュールに掘り下げるのはどうかというのもある。前半のスプラッターホラー的なシーンの連続が作品のクオリティを引き下げた感もあり、韓国スターのアイドル映画だと割り切ってみるのも一興と思えるのですが、作りようによっては面白いクオリティに仕上がった気もするのでちょっと勿体無い映画だった。
凄惨なラストシーンに圧倒される恐ろしい作品だった。恐ろしいというのは覚醒剤の恐怖を徹底的にしかも手加減することなく描いていく怖さである。もちろん、演じたエレン・バースティンも、ジェニファー・コネリーも素晴らしいのだが、ここまで悲惨なラストだと、気持ちが萎えてしまう。それほど圧巻の作品でした。監督はダーレン・アロノフスキー。
夏、一人暮らしのサラは、テレビが大好きで、彼女がいつも見ているクイズ番組の場面から映画は幕を開ける。そのテレビを強引に持ち出そうとする息子のハリー。テレビを質に入れて遊ぶ金欲しさであるが、サラはまたテレビを受け出してしまう。そんなハリーは、友人のタイロンと、ドラッグを仕入れて水増しして再度売り捌いて稼ぐ商売を考えつく。恋人のマリオンと三人で商売を始めるが、なかなか順調な滑り出しだった。三人は仕入れたドラッグの品質を調べようと自ら試してみる。
一方、一人暮らしのサラにある日テレビ局だと名乗る人物から電話が入る。クイズ番組に出演する抽選に当たったから近々出演してもらうので、送った書類を送り返して欲しいという物だった。サラは嬉々とし、早速、亡き夫と過ごした頃に着ていた真っ赤なドレスを着てみようとするが、体型が変わっていて着れない。友人にダイエットの本をもらい、極端な食事制限を始めるが効果がない。そんな時、ある知り合いから、美容外科を紹介され、診察を受ける。そして、食欲がなくなる薬を処方される。薬の効果は絶大で、サラはみるみる痩せていくが、それは覚醒剤だった。
ハリーの仕事も順調で、ある時、サラの元を訪ね、サラが薬を飲んでいる事を知り、どうやら覚醒剤らしいのでやめるように忠告するがサラは一向に聞こうとしなかった。ハリーは儲けた金でサラに新しいテレビを買ってやる。
秋、いつものようにタイロンはドラッグを仕入れに行くが、相手は白人で、突然発砲され、取引が反故になった上、金も奪われてしまう。資金がなくなった上、ハリーもマリオンもドラッグ中毒になっていた。ハリーは、資金を調達するため、以前からマリオンの体が目当てで近づいていた中年男アーノルドに頼むことになり、マリオンは抱かれるために出かけていく。しかし、次の取引もうまくいかず、ハリーとタイロンはカリフォルニア迄出かけることにする。しかしその頃にはマリオンもハリーも禁断症状に苦しむようになっていた。しかも、サラも、冷蔵庫が襲ってくるような幻覚に囚われ始め、薬の量もどんどん増え、とうとう、家を飛び出してテレビスタジオへ向かってしまう。
禁断症状に苦しむマリオンは、以前から、女性の体と引き換えに薬をくれる男に連絡して、屈辱的な行為を受け入れてしまう。ハリーは、車で向かう途中、耐えられなくなり、タイロンに勧められて病院へ行く。サラはテレビスタジオへ行って支離滅裂な状態になって病院へ搬送され、治療をする事になるが、食べることもできず、とうとう電気ショックによる治療へ進んでしまう。
ハリーは、注射を打っていた腕が壊疽してしまい、とうとう腕を切り落としてしまう。タイロンは病院で警察に逮捕されそのまま収監されてしまう。マリオンは、さらに過激なパーティに行かざるを得なくなり、そこで男達に散々弄ばれて帰ってくる。サラはとうとう廃人になってしまい、精神病院で幻想を見て過ごすようになる。こうして、皆が破滅していって映画は幕を閉じる。
とにかく、クライマックスに圧倒されてしまい、薬の恐怖を目の当たりにしていくラストがあまりに凄惨で残酷。こういう辛辣な視点を貫いていく演出とそれに応えた役者陣の気迫に頭が下がる作品だった。
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