くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「私たちの一日」

「私たちの一日」

全く交わらない二つの空間で起こる人生の儚さや、未来への模索、生きる今の意味などを淡々と語りかける一本。オープニングからスッと画面に引き込む手腕は見事だし、これという登場人物を軸に展開するわけではない流れが不思議な空気感を生み出していく。監督はホン・サンス。まさにホン・サンスでした。

 

友人ジョンスの家に居候している休業中の俳優サンウォン、友人のカットからカメラがパンして戻ると、寝起きのサンウォンの姿になる。ジョンスの飼い猫ウリは何故かサンウォンに懐いて、しかもよく食べるので太っている。そんな二人の家に、若い客たちが訪れ、時に入浴グッズを持ち込んだり、演技への疑問を投げかけたりしに来る若者もいる。

 

アパートで一人暮らしをしているホン・ウィジュ、彼のところに大学生のギジュがドキュメンタリーを撮影にやってきていた。何故詩人になったのか、詩人であることの意味を問いかけたりする。俳優を目指すジェヴォンという青年が訪れ、ホン・ウィジュが詩人になったことの意味や、生きる事の楽しさ、俳優を目指すための知恵などの問いかけをする。

 

ジョンスの家の猫ウリが突然居なくなり、ジョンスは狂ったように探し回る。サンウォンは、ポスターを貼って探したほうがいいと提案し、礼金も多めにしたほうが良いと勧めたりする。訪れていた若者ジスは、サンウォンらが猫を探しに行った間に帰ってしまう。後日、猫は近所で見つかる。サンウォンとジョンスは、祝杯をあげる。

 

酒を医者に止められているホン・ウィジュは、ギジュの勧めでノンアルコールを飲み、ジェヴォンも参加していたが、ジェヴォンは物足りないと焼酎を買ってきて3人で飲み始める。ジャンケン遊びをし、負けたものが酒を飲むなどとゲームをしていたが、ギジュは帰る時間が来て、ジェヴォンも一緒に帰ることになる。ホン・ウィジュは、ギジュにギターをプレゼントし、ギジュとジェヴォンはホン・ウィジュの家を出る。残ったホン・ウィジュは、屋上で一人で酒とタバコを嗜み始めて映画は終わる。

 

二つの空間、それぞれの人々のたわいない会話、酒、コチジャン、猫、俳優業などなどを絡ませて淡々と会話劇が展開する。人生の目標をどうして決めたか、そしてこれからどうして決めるか、今生きていく中での楽しみ、そんなたわいないようで誰もが日々心の隅で気にかけていることをさりげなく問いかけてくる作品。ホン・サンスならではの一本だった。