くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「川沿いのホテル」

「川沿いのホテル」

淡々と語られる父と息子、失恋した恋人たち、美しい雪景色の漢江のそばに建つホテルで展開する幻想的に交錯して描くドラマがとにかく心地よくて美しい。シーンとシーンが交錯し、途切れないカメラワークで独特の流れを映画に生み出していく様に酔っていきました。いい映画だった。監督はホン・サンス。

 

詩人のヨンファンは漢江のそばのホテルの部屋で外の景色を見ている場面から映画は幕を開ける。そこへ電話が入り、息子たちが来るという。ヨンファンは死を予感して息子たちを呼んだのだ。部屋に行くという息子に、一階のカフェで会おうと執拗に返事するヨンファン。ヨンファンが部屋を出て階段を降りかけると、カメラは廊下の奥で景色を眺める一人の女性サンヒを捉える。そして彼女は部屋に入っていく。

 

カフェに来たヨンファンは、従業員からサインを求められる。一人で息子を待つが一向に現れない。一方ヨンファンの息子、長男のギョンスと弟のビョンスは、車を駐車場に停めて、約束のカフェで父を待つが一向に現れない。サンヒを訪ねて先輩が車でホテルにやってくる。駐車場に車を停めたが、前に停めた車に見覚えがあった。サンヒの部屋で先輩とサンヒの二人で、最近あった辛い出来事をさりげなく話し始める。どうやら失恋したらしい。

 

一眠りして目が覚めると、一面雪景色だったので外に出てみる。一方ヨンファンも、待ちくたびれて外に出ると雪景色で、そこでサンヒ達に会う。ヨンファンは自分は詩人だと話し、サンヒ達は美しいと何度も話しかけ、なぜか気に入ってしまう。カフェで待ちくたびれるギョンス達の外にヨンファンやサンヒ達の姿が被さる。ヨンファンは、ギョンス達の席にやってくる。三人は久しぶりに親子の会話をする。ビョンスは映画監督で、カフェの従業員からサインを頼まれる。

 

ヨンファンはトイレに立つが、なかなか戻ってこないのでビョンスが探しに出ていく。その声をサンヒらが聞いて微笑んでいる。どうやらサンヒは最近恋人と別れたようである。先輩も最近辛いことがあったようだ。先輩は、ホテルに来た時に、かつて自分が乗っていて事故を起こした車を見つけて、中から手袋を盗んだと告白する。二人が少しまどろんで目が覚めると夜になっている。サンヒ達は近くのレストランへ食べにいくことにする。近いということで歩いてきたが寒かった。やっと辿り着いたが、そこに、先輩がかつて乗っていた車が停まっていた。その車はギョンスらが乗ってきた車だった。

 

店では、ヨンファン、ギョンス、ビョンスらが食事をして飲んでいた。サンヒ達も中で食べて飲んでいる。やがてヨンファン達は帰ることにして、外に出るがヨンファンはトイレによるからと離れ、ギョンス達は外でタバコを吸っていたがなかなかこないので見に行くと、飲みすぎたから歩いて帰るとメールが来ていた。ギョンス達は車で帰る。サンヒ達も帰ろうとしていたが、そこにヨンファンが現れ、一編の詩を披露する。そして焼酎を飲む。

 

翌朝、ギョンスたちはカフェで酔いを覚ましていたが父が降りてこないので、帰る挨拶をしに部屋に行くとヨンファンは亡くなっていた。サンヒの部屋では二人でベッドでまどろんでいたが、サンヒが泣き始めて映画は終わる。

 

ヨンファン達親子とサンヒたちのドラマがカメラワークだけで交錯して行き、さりげなく交わりながら、セリフの端々にオーバーラップしていく展開がとっても心地よい。仰々しいドラマは起こらないが、時々、音楽が突然挿入されたり、急なカット割りが行われたりと映像演出が素晴らしい。ホン・サンス作品としては非常にレベルの高い一本だった気がします。