「クライム101」
傑作ノワールという一本。とにかく面白い。原作がいいのかもしれないが、次は何が起こるのかと全編サスペンスに満ち溢れていて、派手なカーチェイスとかはそれほどないのだが、交錯する人物たちのドラマが絡むようで絡んでいかない展開に手に汗握ってしまいます。そして、なんといってもスティーブ・マックィーンの「ブリット」や「華麗なる賭け」を引用したセリフがしっかりラストに生きてくるからもう最高に楽しい。出だしの高級感から、B級ノワールに転換して、そのあとは粋なラストで締めくくる。これぞ王道の娯楽映画でした。監督はバート・レイトン。
夜のロサンゼルス、カメラが逆さまに夜景を捉えてゆっくりと回転していく。背後に少女のナレーションが流れて映画は幕を開ける。デーヴィスは、シャワーを浴びて身繕いを整え、愛車ムスタングに乗って出かけようとしている。二人の男が乗った車がハイウェイを走っている。一人は拳銃を持っている。二人は宝石の運搬人らしい。ここに、一人の保険会社の社員、シャロンはこの日大富豪モンローの家で娘の結婚式の保険のセールスをしているがモンローに見下げられて、契約が進まない。
デーヴィスの車は途中で止まり、後ろから来た車の運転手に銃を向けて自分の車のトランクに拉致して、冒頭の二人が乗った車の後をつけていく。拉致した男は二人の護衛人らしい。途中、白のベンツに乗ったシャロンの車が隣を走っていく。二人が乗った車は宝石店に寄り、この日運搬のためのダイヤを受け取るが、店主の男は、渡したのは偽物で本物は足首に巻いて運ぶように指示、さらにピストルで護衛している男に、古臭いからと最新のピストルを貸し与える。デーヴィスは、護衛人に扮して二人の車の後を走っていく。
二人は、ダイヤを目的地の宝石店に届けようとするが、駐車場に停めた途端、隣にデーヴィスの車がついてピストルを向けられる。デーヴィスは、ピストルと携帯を取り上げて、男から足首に巻いたダイヤを奪い、車に乗るが、古いピストルを持っていた男がデーヴィスにピストルを向けて発砲、デーヴィスの顔のそばを銃弾が横切るがデーヴィスは、そのまま逃走する。そして、予定していた地下駐車場に停めてカバーを被せ、隣のムスタングに乗り換えて帰る。そして奪ったダイヤを売人のマネーに届けるが、さっき撃たれた時に頭を銃弾がかすっていたことに気がつく。マネーは次の仕事の依頼をするが、デーヴィスは、不吉な予感がするからと断る。
強盗事件を捜査に来たルー刑事は、ここ四年ほどハイウェイ101号線に沿って強盗事件が起こっているという独自の見解で捜査を進め、今回も同じ犯人だと進言するが、上司は受け入れてくれなかった。実はデーヴィスは、誰も傷つけない、証拠は全く残さないというのを心情に強盗を繰り返していたが、ハイウェイ101号線を拠点にしているとは気がついていなかった。出世の見込みもないが、家庭を顧みず仕事を続けるルー刑事は、妻に愛想を尽かされ離婚することになり、気分転換にヨガを始めるがそこでシャロンと出会う。そして、どんなに取り繕っても人それぞれ癖があるものだという観察眼の話をし、ルー刑事は、自身の考えに確信し、強盗事件のデータベースから、101号線を犯人が拠点していると説明するがやはり受け入れられなかった。
一方、デーヴィスは、路上でマヤという女性に追突され、それが縁で交際するようになっていたが、デーヴィスの過去が全く見えないことにマヤは不審に思い出していた。次の仕事をデーヴィスに断られたマネーは、かつての知り合いの大物犯罪者の息子オーマンに仕事を依頼するが、チンピラのようなオーマンは宝石店に押し入ったものの、雑な仕事をしてしまう。それを知ったデーヴィスはマネーに反抗的な言葉を浴びせる。
シャロンは、会社のパートナーになる約束をされていたが一向に現実にならず不満が募っていた。しかも、モンローとの仕事も別の新人に奪われ、さらにその新人が契約を成約し、シャロンの立場はさらに惨めなものになっていく。凄腕のハッカーとの付き合いでターゲットを決めていたデーヴィスは、シャロンに目をつけ、ハッカーに調査を命じ、近づいていた。そして、偶然を装って知り合ったデーヴィスはある計画を持ち出す。その頃、ルー刑事は冒頭の強奪事件で使われた車を発見、中から少量の血液反応を見つけてDNA判定の結果、デーヴィスの存在を突き止める。そして、育ての母に接触し、デーヴィスと接点を持つ。
デーヴィスがシャロンに持ちかけたのは、モンローの娘の結婚式で海外から持ち込まれる1100万ドルの宝石をターゲットにして引退してしまうというものだった。しかし、シャロンは一端は断る。ところが、会社での扱いを見る中、彼女がパートナーになることはあり得ないと判断し、デーヴィスの申し出を受ける意味の浜辺での写真をインスタにアップする。
デーヴィスは、シャロンに、海外からダイヤが持ち込まれる飛行機の便と、護衛の人物の情報を手に入れさせる。その頃、デーヴィスの動きに不審を持っていたマネーは、オーマンに後をつけさせていた。そして、デーヴィスの仲間のハッカーから、シャロンの事を聞き出す。そしてシャロンを襲い、デーヴィスの計画を知る。オーマンに乱暴されたシャロンは、ヨガ教室でルー刑事に、今回の計画を全て話す。ルー刑事は、証拠保管所へ行き、冒頭のダイヤ強奪事件で押収した偽ダイヤを確認に行く。
モンローの娘の結婚式の日、デーヴィスはしばらく会えないとマヤに話すが、マヤは納得できず別れていく。シャロンは、会社で啖呵を切って退社してしまう。ダイヤを持ち込むフランクという男を空港でデーヴィスが、護衛の男に扮して出迎えるが、その男はフランクに化けたルー刑事だった。二人は車内で、スティーブ・マックィーンの映画の話をし、デーヴィスは、「ブリット」が好きだというと、ルー刑事は「華麗なる賭け」が好きだと答える。
二人はそのまま、モンローの控え室にやってくるが、部屋に入った途端、デーヴィスは銃を向けてルー刑事が扮したフランクにダイヤの入った鞄を開けさせ、さらに、それを買い取るためモンローが準備した現金を金庫から出させる。しかしルー刑事は、カバンの中にピストルを隠していて、デーヴィスと銃で向かい合うことになってしまう。
その頃、ホテルのボーイに化けたオーマンもモンローの部屋に向かっていた。そしてモンローの部屋に突入したが、そこでデーヴィスとルー刑事と鉢合わせする。オーマンはルー刑事に銃を向け、さらに逆上してモンローを撃って怪我をさせてしまう。これまで銃を撃ったことがないルー刑事、人を傷つけない事を心情にしているデーヴィスと三人膠着状態になるが、隙を見てデーヴィスがオーマンを撃ち殺してしまう。
ルー刑事は、デーヴィスの銃を取り上げ、そのまま出ていくように指示、さらにモンローに、駆けつける警官に自分が話す内容に同調するように命令し、現金は金庫に戻し、カバンのダイヤも金庫に保管させるが、そのダイヤはルー刑事が証拠品保管庫から持ち出した偽ダイヤだった。
ヨガ教室にやってきたルー刑事は、ダイヤをシャロンに与える。シャロンの携帯にデーヴィスから連絡が入り、一枚の写真をルー刑事に示す。ルー刑事がその写真の駐車場に行くと、幌に被ったムスタングが停まっていて、キーがついていた。ルー刑事はその車に乗り嬉々として走り去る。デーヴィスは一旦、ロサンゼルスを離れようとするが、引き返し、マヤのオフィスに、「まだやり直せるか」とメモを書き、自分の幼い日の家族写真を届ける。こうして映画は終わる。
久しぶりに粋なラストシーンに拍手してしまった。散りばめられたセリフや小道具の数々も楽しいし、少々、雑な所もないわけではないけれど、二時間余りあるにも関わらず、画面に釘付けになってしまうほど面白い。すっかりエンタメノワールを堪能させてもらいました。何度も書くけど、めちゃくちゃ面白かった。
