「教場Requiem」
原作がいいのだろう、テレビシリーズはそれなりに面白かった。そしてNetflixで配信版の映画が公開されたが、役者のランクを落としたためか、かなり出来が良くなかった。そして、その続きのドラマが映画館で公開。本来、こういうパターンは見に行かないのですが、見る映画もなく、嫌々ながら出かけた。とは言いながら、原作の良さと君塚良一の脚本の旨さで、素直に感動してしまったし二時間を超える長尺でも全く退屈しない。ストーリーの構成はオムニバス調ではあるが、シリーズ当初から存在する殺人鬼十崎の存在が一本の作品として牽引してくるので、損のない出来栄えだったと思います。監督は中江功。
Netflixで配信された前半部分の簡単な紹介と、シリーズを見ていない人への配慮をさりげなく挿入した映像から、風間教場のドラマが幕を開ける。真鍋、洞口、木下の三角関係の物語から、木下がペニシリンアレルギーで、恋人を奪われた洞口が巧妙な計画で木下を殺害しようとしたのを見破る風間の姿。続いて、妹がストーカー被害に遭っている初沢が、生体解剖の現場の写真から、風間が、妹が隣人、実はストーカーは老婆だったこと、を誤って殺してしまった事件の隠蔽を看破する件。
そんな中、205期生が十崎を追う中、警察学校内で十崎に情報をスマホで送っている氏原の存在に行き付き、卒業式で何か事件が起こると判断した205期生が卒業式の現場に駆けつけるクライマックスへ物語は進む。そして現れたのは、十崎ではなく、かつて風間教場の生徒だった平田で、ずっと風間を恨んでいて、十崎に捜査の目を向けさせて、風間への復讐に燃えていた。そして壇上の風間の背後で爆弾が爆発。その後の二発で、会場内は騒然となる。風間も吹き飛ばされその場に倒れる。
平田は、身体中に爆弾を巻いて、最後のスイッチを押さんとして風間たちに迫るが、この事を察知していた風間はスプリンクラーの水に爆弾を無害化する薬品が混入されていて、全て無駄になる。そして平田は逮捕、この日、卒業証書が生徒たちに与えられていく。一人一人に言葉をかける風間の姿から、花壇の花に敬礼して暗転、場面が変わると十崎の妹紗羅が救出され、それを森の中から見ていた十崎の前に風間が手錠を持って現れる。カットが変わると、新しい風間教場のスタート。廊下を歩き教室にやってきた風間は、白杖を畳み、生徒たちに顔を挙げるともう片方の目を失明していてエンディング。
テレビのスペシャル版といえばそれまでだが、秀逸な原作の味はしっかり出ているし、娯楽映画としてとにかく面白い。少々荒っぽく、雑なところが気になるけれど、十分楽しめる、そんな映画だった。
「幻愛 夢の向こうに」
もっとほのぼのしたロマンティックなラブストーリーかと思っていたが、統合失調症の主人公の青年の苦悩が前面に出過ぎたちょっと暗いしかも作りが雑な映画だった。その場その場で作り上げていく感満載で、ラストに向かって物語が流れていかず、脇役がどうにも時間稼ぎにしか見えない登場の仕方をするのはなんともいただけない映画でした。監督はキウィ・チョウ。
繁華街の通りで一人の中年女性が何やら叫び服を脱ぎかける。そこへ一人の女性が駆け寄りショールをかけてやり、さらにジーロックという青年が駆け寄る。その中年女性はジーロックの母リンで、精神疾患のある女性だった。ジーロックも統合失調症の発作を恐れる日々で、福祉施設で子供たちの面倒を見る仕事をしながら、セラピーを受けていた。
後日、ジーロックは、借りたショールが気になっていたが、たまたま電車の中であの時の彼女と再会、しかも、自分の住むマンションの上の階の住人だった。彼女はヤンヤンという名で、ショールを返して以来急速に接近して二人は恋人同士になる。ヤンヤンの父親は酒を飲むとヤンヤンに暴力を振るっているらしく、この日、逃げてきたヤンヤンをジーロックは部屋に泊めてやる。
ジーロックは自身の病気のことをヤンヤンに告白できず悩んでいたが、症状が悪化、ある時、ヤンヤンが父親に暴力を受けていると思い階上のヤンヤンの家に押しかけ、ヤンヤンが幻覚であることが判明してしまう。そして六ヶ月が経つ。ジーロックは大学で臨床心理士を目指す学生イップ・ラムの研究対象者として治験を受けることを承諾する。イップ・ラムはヤンヤンと瓜二つだった。イップ・ラムが論文のためにジーロックとの面談を繰り返すようになるが、次第にジーロックはイップ・ラムに、セラピスト以上の感情を抱くようになる。イップ・ラムのマンションはジーロックの向かいで、お互い部屋が見える関係に位置していた。
一方、イップ・ラムは、大学で、ある教授と不倫関係だったが、次第に疎遠になっていく。福祉施設のジョーがジーロックをイップ・ラムに紹介したのだが、ジョーはイップ・ラムに交際を申し込み、程よく断られていた。イップ・ラムもまた、ジーロックに、相談者以上の感情を抱くようになり、やがて二人は愛し合うようになっていく。
そんな時、二人の関係が、イップ・ラムの指導員教授フォン博士に知れることになり、イップ・ラムはジーロックに接触できなくなってしまう。ジーロックの症状がまた再発し、ヤンヤンがジーロックの前に現れ、それを見かねたイップ・ラムは、彼を病院に入れる。そして三ヶ月が経つ。イップ・ラムはフォン教授の勧めもあり大学側と面談し、今後、福祉施設との規約を遵守し、一才ジーロックと接触しないなら復学を許すと言われる。しかし、イップ・ラムは受け入れず、退院したジーロックに会いにいく。ジーロックは、一旦はイップ・ラムを遠ざけたが、お互い、ファーストキスの高架下で再会して抱き合って映画は終わる。
フォン教授の登場や、男関係が半端なく多いというイップ・ラムの周りに現れる男たち、あるいはその告白シーンなど、不必要な展開が散見され、二人の熱演は別として、映画全体がまとまっていかない作品だった。

