くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「レ・ミゼラブル」(クロード・ルルーシュ監督版)

「レ・ミゼラブル」

ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」を相当大胆にアレンジした作品で、ナチスドイツのユダヤ人迫害の歴史を中軸に、劇中劇として原作を読み聞かせる場面、さらに映画化された原作さえも登場させて、主人公アンリにジャン・バルジャンを重ね、さらにストーリー展開に原作を重ね合わせていく作りで、かなり凝った作品だった。それでも、交錯するドラマは得意なクロード・ルルーシュ監督、そのあたりが流石に手際良くて、三時間ほどの作品なのにしっかりと見せてくるからすごい。見応えのある映画だった。

 

二十世紀の幕開けを祝うパーティの席、一人の男アンリ・フォルタンが、警察がやってくると、ダンスをしている一人の伯爵のところへ駆け込んで来る所から映画は幕を開ける。そして、馬車でその場を脱出するが、どうやら伯爵というのは偽物らしく、途中で馬車を止めて、自分が死んだら金も全て与えると言って自殺する。驚いたアンリが困っていると森の中から警官が現れ男は逮捕される。そして状況証拠から有罪となり投獄される。

 

フォルタンには妻カトリーヌと、息子アンリがいた。二人はノルマンディ海岸の居酒屋でギヨームに引き取られてこき使われながらも生活を続ける。フォルタンは何度か脱獄を試みる。カトリーヌは再審のための金を稼ぐべくギヨームの手引きで売春まで始める。フォルタンは、井戸を抜けて脱獄する計画をエッフェル塔の建築に関わった男と計画するが、官吏に裏切られ、失敗して自ら井戸に沈んで死んでしまう。その知らせを聞いたカトリーヌは絶望して自殺してしまう。

 

時が流れ、父と同じ名前をもらったアンリはボクサーとなってチャンピオンとなりギヨームから独立し、十年以上チャンピオンの座を守った後引退し1931年運送屋の仕事をはじめる。その頃、バレリーナのエリーズは弁護士のアンドレ・ジマンと結婚したが、アンドレはユダヤ人だった。間も無くして第二次大戦が勃発、ナチスドイツはユダヤ人弾圧をはじめ、ユダヤ人だったアンドレ達はノルマンディに引っ越す事にする。その際運送したのがアンリだった。

 

しかし、ノルマンディーも安全ではないと考えた夫妻は、アンリに頼み検問を巧みに潜ってスイスを目指す、アンドレとエリーズの娘サロメは念の為修道院の寄宿学校へアンリの娘という設定で預け、両親はスイスへ脱出するべく手配をする。輸送の途中、アンリが古本屋で買った「レ・ミゼラブル」をアンドレ達に呼んで聞かせてもらう。アンリは文盲だった。話を聞くうちにアンリは小説のジャン・ヴァルジャンのように生きていく決意をする。

 

アンリはジマン夫妻を送り届けた後、帰路に着いたが、ユダヤ人を運んだという情報がペタン派の刑事に知られ捕まり拷問にあうが白状せず、同じ房にいた強盗団に助けられ脱出する。ジマン夫妻は、スイス国境まで手引きされたが、逃し屋がドイツ軍と通じていて、アンドレは重傷を負い、エリーズは捉えられてしまう。重傷を負ったアンドレは、地元の農家の夫婦に助けられる。エリーズは慰安婦になるように連れていかれるが、その場にいたペタン派刑事に助けられる。

 

アンリは助けられた義理から強盗団の手下となり、空襲で避難した家から盗みをする仕事をしたり、政府の輸送金を略奪したりする。しかし、連合軍がノリマンディに上陸するという情報を得た彼らはレジスタンスとなりノルマンディに向かう。ノルマンディで、ギヨームが営んでいた居酒屋は今は息子が経営していて、そこにマリウスという名の青年も働いていた。アンリ達がノルマンディについた翌日上陸作戦が行われて、アンリはドイツ軍のトーチカ爆破を成功させて英雄になる。

 

アンドレは農夫婦の家にいたが、農夫婦がアンドレのスイスの金を目当てに、ノルマンディ上陸を隠し、さらにサロメさえも亡くなったという情報を与えてアンドレを拘束していた。しかし、引き出せる金を全て引き出した農夫婦はアンドレを殺そうと毒をスープに入れるが、アンドレに恋心を抱いていた妻が夫を銃で撃ち殺し、さらに息のあった夫に首を絞められて妻も死んでしまう。アンドレは、突然音沙汰がなくなった農夫婦を不審に思い、部屋から出て、ドイツが負けたことを知る。

 

アンリはギヨームの居酒屋を買い、サロメを引き取る。アンリは地元で福祉などに尽力し、市長から後任を依頼されるまでになる。そこへ、自分を助けてくれたかつてのペタン派の刑事と結婚したエリーズがやってきてサロメと再会する。さらにアンリの昔の仲間が警察に追われて駆け込んで来る。一方ペタン派刑事も、アンリの顔に見覚えがあり、応援を要請して居酒屋を取り囲む。そしてアンリを逮捕しようと突入するが、アンリの仲間が乱入して刑事を拘束する。錯乱したかつての仲間の姿を見たアンリは、刑事を助けるために仲間を撃ち殺し、アンリは逮捕されていく。

 

途中、刑事は、アンリを逃すべく車を停めるが、アンリは、刑事が戦時中ドイツ軍に協力したことを証言されたくないからだろうと、刑事の目論見を無視する。そこで刑事はその場で自殺する。アンリは、他の警官達の嘘の証言で、刑事を撃ち殺した事になってしまい投獄されてしまう。その頃、全てを知ったアンドレがノルマンディの居酒屋にやってきて、エリーズ、サロメと再会する。そしてアンリの弁護を引き受ける事にし、アンリの無罪を勝ち取り、数年後、アンリは市長となり、この日、マリウスとサロメの結婚式が行われていた。こうして映画は終わる。

 

主人公アンリや刑事が、「レ・ミゼラブル」よろしく改心し、行動を変化させていくドラマティックな展開と第二次大戦の物語が交錯した作りが、なかなかの迫力で迫ってきます。非常に中身の濃い見応えのある作品に仕上がっていました。ゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞も納得の一本でした。