くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「オーロラの涙」

「オーロラの涙」

辛い映画だった。日本がそれなりに安定した国になっているがゆえに、こういう現実を目の当たりに見せられても、正直、受け入れられないほどに違和感がある。信じられない物価と、信じられないくらいの低賃金、日常、娯楽に手を出すこともできないほど切り詰められながらも、とにかく生きていく。当然、体調が優れなくなり、転職を考えるも、なかなかうまくいかない。そんな姿を淡々と、時に長回しのカメラを駆使しながら描いていく。こういう映画を見ると気持ちが荒んでしまう。そんな一本だった。監督はローラ・カレイラ。

 

スコットランド郊外の物流センター、ピッカーとして働くポルトガル移民のオーロラの姿から映画は幕を開ける。単調な仕事を繰り返し、同僚との休息時間の会話くらいで、一日が終わると、疲れて、移民労働者達のシェアハウスに戻る。シャワーを浴びていて突然電気が止まると、電気代を振り込む担当は誰だったかと声が飛ぶ。

 

食事と言っても、スナック菓子、食パン程度で、まともなものを食べることもできず、シェアハウスの住人が作った料理を分けてもらったり、職場の慈善事業で配るケーキをトイレで食べたりしてしのぐ。そんなオーロラはある時、スマホを落として壊してしまう。職場との連絡手段として唯一の利器を直すために、99ポンドという金を払わざるを得なくなるが、当然それの金は生活費に食い込んでしまう。

 

少しでも生活水準をあげるために福祉の職場に転職するべく面接に行くが、自分をアピールする物が何もなくて黙ってしまう。公園の夕方、監視員の老人が回っていると、公園の真ん中でオーロラは気を失っている。老人がオーロラを抱き起こすと、しばらくしてオーロラは気がつき、歩いて去って行く。そして、またいつもの職場に戻ると、システム障害で仕事ができない人たちがバレーボールをしていて、オーロラもそれに加わる。ボールを弾く職員は様々な人種が入り乱れ、この職場の姿を一気に見せていく。そして映画は終わる。

 

これという大きなドラマはなく、ひたすらオーロラの生活の現実を描いていくだけの映画で、こだわった映像演出があるわけでもなく、ただただ、監督が言わんとしたいことをぐいぐいと見せつけて来る。その重苦しさにげんなりしてしまう映画だが、考えるべき一本でもあった。