くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「しあわせな選択」「スペシャルズ」

「しあわせな選択」

もっと面白いのかと思ったが、導入部が如何ともし難く入り込めず、中盤まで、空間と人物関係をつかめないままだった。だんだんと物語の全体が見えて来ると、終盤に至る中、凝った映像演出の面白さもあり、映画の楽しさを堪能できる作品として締めくくられた。思い切って前半部分を大きくカットして行けば後半が引き立ったかもしれないが、これは意図したものだろう。期待が大きかったのもあるけれど、それなりに楽しめました。監督はパク・チャヌク。

 

森の中に佇む大邸宅の庭でバーベQを準備しているマンスの家族の姿から映画は幕を開ける。妻のミリ、息子、娘、二匹の大型犬と、いかにも成功者という構図である。大手製紙会社に勤めるマンスは、成績優秀で表彰されたこともある社員で、この日、会社からの慰労でうなぎを手に入れたので家族で楽しんでいた。マンスはミリに誕生日プレゼントなども渡し幸せの絶頂だった。ところが、会社が大手企業に買収され、人員削減の中、マンスも解雇されてしまう。

 

優れた技術を持っていると自負するマンスは、三ヶ月以内には再就職するつもりだったが、一向に再就職先が決まらず一年が経った。そして結局近くのスーパーで働いていた。退職金も底をつき始め、妻のミリは節約家計を提案する。家を売り、テニスやダンスもやめ、二匹の犬も実家に預け、娘のチェロの学費のみにし、ミリは歯科助手となり、食事も質素にするという。しかし、娘のチェロの教師は彼女には才能があるからもっといい先生についた方がいいとアドバイスする。

 

マンスは、マネージャーのソンチェルに冷たい態度を取られ、この男を殺せばこの役職につけると考え、植木鉢を落としてる殺そうと考えるが、殺しても後釜がくるだけと思い断念する。そして、どれくらいの奴が自分と同じ就職先を狙っているか探すことにする。マンスは、自分と同様の製紙会社への再就職を目指しながら、ひとときのアルバイトで生計を繋いでいる二人、ボクモとシジョを、偽の会社の募集をかけて、詳細を調査して特定する。

 

マンスは彼らを殺して仕舞えばいいのではないかと思い、祖父が北朝鮮での戦線で手に入れて持ち帰った拳銃を使うことを考える。壁に飾っている拳銃を偽物とすり替えて、持ち出し、最初のターゲットボクモの家に向かう。しかし、途中で毒ヘビに噛まれてしまい、ボクモの妻サラに、血を吸い出してもらう。その後もボクモを狙っていたマンスは、サラが不倫している現場を見てしまい、なんとかボクモに知らせようとするもうまくいかず、不倫を知って自暴自棄になったボクモを撃とうとするが背後からアラが現れ、三人の三つ巴となり、アラが銃を手にしてボクモを撃ち殺す。アラはマンスを通報せず、アラはボクモを庭に埋めてしまう。

 

続いて、次のターゲットは靴屋で慣れない仕事をしているシジョだった。マンスはその男を帰り道で待ち伏せて殺して、車のトランクに入れて帰り、庭に埋めようと穴を掘るが疲れて眠ってしまう。そんな頃、マンスの息子が、友達とその友達の父親のスマホショップへ盗みに入り警察に捕まる事件が起こる。翌朝、警察は息子を逮捕しに来る。警察は、マンスが面接に行っている会社に同じく応募した二人が行方不明になっていると言ってマンスに警告します。マンスは、息子の友達の父親が店で不倫しているのをネタに脅して、息子を助ける。

 

ミリはマンスの行動に不審を抱き始めていたが、息子が二階からマンスが温室で何かしているのを見てしまう。マンスはシジョの死体を切り刻もうとしたが出来ずに、ワイヤーで縛って小さくしていた。そして、その死体を庭に埋めてりんごの木を植えてしまう。ミリは息子にそのことを聞き、一人でりんごの木のそばを掘り起こし、何かを見つけるが、息子には、豚の丸焼きだと答える。

 

マンスは、最後のターゲットである製紙会社の班長の家に向かっていた。そして班長の家で酒を飲み、班長を酔わせて庭に埋めてさらに口から食べ物と酒を押し込み、掘り出して顔をラップで巻いて窒息死させてしまう。この頃、マンスも警察に疑われ始めていたが、アラが、夫が最近鬱になって行方不明になっていることを証言し、マンスの疑いは晴れる。

 

マンスは念願の再就職を果たすが、今の工場は、AIによって管理され、ただAIを監視するだけの仕事だった。とはいえ自宅は無事取り戻し、二匹の犬も帰ってくる。今まで、娘はチェロを断片的にしか演奏しなかったが、この日連続して弾いているのを家族が耳にする。こうして映画は終わって行く。

 

終盤の細かいカットとモンタージュの演出がなかなかの見せ場で、畳み掛けて一気にラストから、娘のチェロ演奏というエンディングはさすがに見事でした。中盤、若干もたついた展開が見られ、パク・チャヌク作品としては中レベルの一本ですが、まあまあ面白かったです。

 

 

「スペシャルズ」

まず、リアリティは完全に無視しないとこの映画は見られない。そもそも、銃撃戦が繰り返されるのに警察の姿は一切出さない。当たり前のように反社が街のダンススクールに入れる。一体いつの時代の映画やと思ったらこの作品は見れません。出来栄えは中の下で、ゆるゆるな展開と、先がわかる甘い脚本にまいりますが、こういう脱力映画もあっていいかという一本だった。監督は内田英治。

 

夜の高速、三台の車が疾走している。後から追ってきた黒いワゴンから、銃が発射され、三台の車が次々と銃撃されて、最後に、いかにもヤクザの親分的な男が撃たれる。しかし、ワゴンから出てきた殺し屋の熊城が、また偽物だったと呟いて映画は幕を開ける。熊城の組は、敵対する本条会の組長を殺そうと殺し屋を送っていたが毎回偽物だった。

 

そんな時、熊城の組の若衆の一人が、自分の娘が通うダンス教室に、本条会の親分の孫が通っていて、毎回本条本人が送り迎えに来るという情報を知らせる。熊城は、本条の孫娘は次のダンス大甲子園に出場する予定で、そこには本条本人が必ず来ると推測、そのダンス大会に出て、本条を射殺する計画を立てる。そして、ダンス経験のある殺し屋を集めて、多額の報酬をネタにしてダンスを始める事にする。

 

集まってきた殺し屋の一人ダイヤは、児童養護施設で働き、いまはダンスをやめていた。しかし施設が取り壊される事になり大金が必要だった。集まった殺し屋それぞれに様々な過去があり、なかなか一つにまとまらない上に、ダンスレッスンも、行く先々の教室で追い出されてしまう。そんな時、ダイヤが働く児童養護施設の明香と出会う。明香の夢は将来ダンサーになる事で、ダンス教室に通っていた。

 

熊城の頼みもあって明香は熊城達にダンスを教えることになる。最初は話にならない状況だったが、次第にみんなダンスの面白さを感じ始める。このくだりが実に雑。明香は後一人いればフォーメーションを組めると言ったので、熊城はかつての刑務所仲間の兄貴村雨をスカウトする。そして五人のダンスチームはスペシャルズと名付けられ、地元予選に参加、なんとか決勝戦に望める順位を勝ち取る。

 

そしてダンス大甲子園、熊城は本条が客席に座ったのを確認して、ステージで決行することにするが、他のメンバーはこのままでダンスを踊り切りたいと言い出す。さらに、当日遠足を企画させて明香を来れなくしていたが、明香は無理を言って会場にやってきた。本条を前に、スペシャルズのダンスが始まり、熊城は銃を抜こうとするが、メンバーが阻止、とうとう最後まで踊り切ってしまう。その頃、熊城の組の組長風間が本条会に襲われていた。

 

スペシャルズのダンスが終わり、点数が発表されんとした時、突然本条が孫を連れて逃げ始める。そしてステージに立っているのは殺し屋だという風間の叫びが聞こえてきて、場内は銃撃戦となる。スペシャルズそれぞれも銃弾を浴び、明香をかばって逃げようとするが、村雨が最後の盾となってステージで死んで行く。なんとか迎えのワゴンに乗ったメンバーだが熊城は重症だった。

 

後日、本条と風間は勝手に手打ちをして、この日酒を交わしていた。そこへスペシャルズの殺し屋が現れ、風間を撃ち殺し、ダイヤは本条に銃をつきつけて、取り壊されようとしていた児童養護施設を買い取るように迫り承諾させる。岸壁で、スペシャルズは別れを言い合っていたが、突然ダイヤに電話が入り、解散中止と叫んで映画は終わる。

 

とにかく、リアリティもクソもない、適当そのものの作品で、五人のメンバーの過去も中途半端にしか描かず、と言ってダンス練習シーンも一部の場面だけミュージカル仕立てで面白いが他は非常に稚拙で適当。これと言って見るべきところのない映画だった。