くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「カミング・ホーム」「東京逃避行」

「カミング•ホーム」

ほのぼのしたヒューマンファンタジーという作品で、人生の晩年にこんな日がきたらある意味素敵だろうなという映画だった。監督はマーク・タートルトープ。

 

ペンシルバニア州の小さな街に済む70歳を超えるミルトンは、認知症への不安もありながら一人暮らしをしている場面から映画は幕を開ける。この日も街の集会に行き、毎回街のスローガンの提案と横断歩道の要望を訴えては家に帰る。集会場では、近くに済む同年代のサンディやジョイスと二言三言交わすだけで、娘のデニスが時々様子を見に来るだけだった。

 

ある深夜、ベッドで寝ていたミルトンは、裏庭で大きな音がして目が覚める。そして庭に出ると、UFOが不時着していた。警察に連絡をするも信じてもらえず、仕方なく放置していたが、翌日、エイリアンらしき人が庭に倒れていた。とりあえず水をおいて毛布をかけてやるが、どうやら、ミルトンの気持ちが伝わったようだったので家に入れて暮らし始める。りんごを食べるようなのでスーパーでリンゴを買ったが、店員から不振な目で見られ、それを聞いたデニスもミルトンの認知症の検査を受けさせたりする。

 

ミルトンにかすかに好意を持つサンディはミルトンの家を訪ねて行き、エイリアンと遭遇する。サンディは口外しないからと、エイリアンにジュールスと名付けミルトンとエイリアンの三人で話をしたりするようになる。ミルトンとサンディが怪しいと思っていたジョイスはこっそり二人をつけて行ってエイリアンと出会う。三人はエイリアンの存在を極秘にして、ジョイスは、これまでの人生をエイリアンに語り聞かせたりする。

 

サンディは若者との交流会をすべきだと以前から訴えていて、この日一人の若者がやってきたが、実はサンディの宝石目当ての泥棒だった。盗む現場を見たサンディは若者に襲われ、首を絞められる。その頃、エイリアンはミルトンやジョイスと話をしていたが、サンディの危急が見えたエイリアンは泥棒の頭を超能力で吹き飛ばしてしまう。サンディは何が起こったかわからないし、警察も信じなかったが、エイリアンが助けてくれたことを確信する。

 

エイリアンは、宇宙船を修理していたが、猫の絵を書いてミルトン達に見せるようになる。どうやら七匹の猫の死体が必要らしい。ミルトン達は道路で死んでいる猫を集め始める。その頃、未確認飛行物体がペンシルバニア州に落下したということで調査していた国家安全保障局はミルトンらの電話を傍受し、尾行していた。しかし、猫の死体を集める不振な行動に困惑していた。

 

あと一匹に迫ったミルトン達だが、最後の一匹はジョイスが飼っている老猫を安楽死させてやることにする。エイリアンは超能力でジョイスの猫を安楽死させ、全ての猫が揃ったところで不思議な布をかぶせると、猫達は一つになってエネルギーの塊のようなものに変わる。それをエイリアンがUFOにセットしたら、宇宙船が稼働し始める。その信号をキャッチした国家安全保安局は急遽捜査員を派遣する。エイリアンはミルトン達に身振りで一緒に乗って行こうと誘う。捜査員が迫る中、ミルトン達は宇宙船に乗り、間一髪飛び立ってしまう。

 

飛び立った宇宙船は途中で地球に降りる。そして三人を下ろして、ミルトンを誘うが、デニスから、今度食事を一緒にしたいと電話が入り、自分の居場所は地球だからとエイリアンを送り出す。宇宙船は飛び立ち、ミルトン達は元の生活に戻って映画は終わる。

 

孤独な日々を過ごす老人達が出会うささやかな夢物語。一旦は家族達からも疎まれたと思っていたが、やはり、家族は家族だと気づかされるクライマックスがとてもいい。終始言葉を発しないが身振り手振りだけで感情を表現するエイリアンの存在もとっても暖かかくて癒されます。決して大傑作ではないものの小品な映画の持つ味が滲み出ている一本でした。

 

 

「東京逃避行」

新宿歌舞伎町に集まる少年少女達の真実の姿を赤裸々に、そして辛辣に描いて行く作品で、手持ちカメラと定点カメラを交錯させ、さらに、時間軸を巧みに組み合わせたストーリー構成で、グイグイとメッセージを訴えかけてくるなかなか力量のある映画だった。監督は秋葉恋。

 

新宿歌舞伎町に半ば興味本位でやってきた飛鳥の能天気な姿から映画は幕を開ける。東京逃避行というネット小説に惹かれてやってきた彼女は自撮りし、ホームレスに話しかけ、やがて夜がくる。一人の女性に保護施設の案内の声を掛けられるが、直後、スマホにメッセージがきて日和という東京逃避行を書いている少女に手を引かれてその場を離れる。

 

日和は飛鳥を、ここで保護して面倒を見ているエドの施設に連れて行き、さらにメリオという若者が仕切る集会に連れて行く。ところが、その集会所では、少女達がいかがわしい薬を飲みながら騒いでいて飛鳥も勧められるが躊躇してしまう。その場にいた少女に、日和の正体を知りたければついていけと言われて飛鳥が日和の部屋に行くと、そこは体を売るための部屋だった。日和は東京逃避行を読んでやってきた少女をメリオを通じて薬を飲ませて売春を斡旋させていた。飛鳥は日和に一緒に逃げようと言ってその場を飛び出すが、メリオ達が追ってくる。

 

エドの施設に逃げ込んだものの、直ぐに密告され、飛鳥と日和はさらに逃げる。さっき飛鳥に声を掛けてきた女性は生活保護課のレイカという女性で、彼女がメリオ達から逃がそうとするが、あと一歩で新宿歌舞伎町を出ようとするところで、日和は飛鳥を送り出して捕まって行く。レイカは飛鳥を連れ出して逃げる。しかし、エドはメリオが手伝っている半グレ組織に追い詰められ、メリオが少女売春を斡旋していることの罪を全て被って逮捕されて行く。

 

映画は、時間を遡り、エドとメリオがトー横に集まる少年少女たちを保護する施設を作ろうとしている頃になる。エドは理想主義者だが、結局、資金が必要で、メリオが、半グレ組織で薬を売り、少女売春を斡旋知る仕事を手伝って稼ぐようになって行く。その中で、レイカは一人の少女ユミをエドの施設から解放して家族の元に戻したが、ユミは家族の元に戻った直後自殺していた。集まってくる少年少女達の真実をわかっていないとエドはレイカを責める。

 

やがて警察の捜査も入り、日和もトー横から出て、自宅に戻ることになる。レイカは、日和のことが心配だったが、父の元に返す。しかし、間も無くして飛鳥から連絡が入り、日和の家に二人で向かう。日和は父の暴力に耐えきれず父を刺そうとしていた。間一髪でレイカ達が飛び込み、レイカは警察に通報して警官が着くのを待っていたが、レイカが目を離した隙に、飛鳥と日和は手を繋いで雪原の中、森へと歩いて行き映画は終わる。果たして二人は死の逃避行を目指したのか、不明である。

 

現在を描いて、カットバックして過去を交錯させて現代へ繋いで行く展開がなかなかしっかりと組まれていて、映像作品としても良く完成されている。飛鳥達が駆け抜ける姿を手持ちカメラで追い、それを探す人達を定点で捉える映像演出もうまい。メッセージは非常に暗いテーマではあるけれど、映画としてはクオリティの高い一本だった。

 

東京逃避行 (オリジナル・サウンドトラック)

東京逃避行 (オリジナル・サウンドトラック)

  • 映画「東京逃避行」製作委員会
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