「資金源強奪」
90分あまりに娯楽が詰め込まれた傑作。どうなるのかどうなるのかとワクワクさせながら全く退屈せずにストーリーが前に転がって行く。とにかく面白い。あれよあれよと展開した先に、微に入り細に入った細かい伏線の果てのピカレスクロマンの粋なラストシーンを用意して、エンディング。もう最高に楽しめる一本だった。監督は深作欣二。
銀行強盗に入った鉄也のカットから映画が始まる。鉄也は、そのまま逮捕される。場面が変わると賭場、羽田組の幹部国吉は敵対する組の組長を撃ち殺す手伝いのチンピラを探している。そこに手をあげたのが清元だった。そして組長を盲滅法撃って殺した清元は刑務所に入る。そして八年が経つ。
出所してきた清元を迎えたのは国安だった。国安は清元とその妻静子を九州の温泉に誘いねぎらう。しかし、羽田組は、敵対する組と兄弟の杯を交わすことになり、清元の居場所はなかった。清元は堅気になると国吉に宣言する。大阪に戻った清元は務所仲間の鉄也と妻子持ちの熊吉を誘う。爆弾が得意な鉄也に催涙弾を作らせ、熊吉に酸素ボンベを調達させる。折しも雄琴温泉で、羽田組と敵対する組の大花会が行われていた。
大花会の会場に海辺側から近づいた清元達は、催涙弾を放り込んで、賭場の金を根こそぎ強奪する。強奪した金は三億あった。清元は一部の金を鉄也と熊吉に渡し、残りは一年後にすると言って派手な使い方をしないように念押しする。金を取られた羽田は、損害額は五億だとその場の親分集らに詰め寄られるが警察に届けるわけにいかず、停職中の刑事能代に捜査を依頼する。
能代は強奪されたときに破壊されたボートのそばに落ちていた新聞の落書きから、犯人の一人はボートレース狂いだと判断してレース場に張り込み、鉄也の存在を知る。そして能代は鉄也を捕まえて羽田組に引き渡し礼金の百万をもらうが、その場に、清元がいた。清元は堅気になって静子と九州へ行くと親分に挨拶にきていた。しかし、清元を労う酒の席を終えて帰宅した清元は、そこに静子といる国吉と出くわす。静子は国吉の愛人になっていた。
清元は、拉致されている鉄也を助けようと羽田組にやってきたが、そこに覆面を被った男が先に飛び込んで鉄也を助け出してしまう。実は清元は鉄也を抹殺しようとしていた。清元を監視していたヤクザが清元に詰め寄り、金のありかを教えるように迫る。仕方なく清元はそのチンピラを車に乗せて町外れに連れ出して、争いの末殺してしまう。
能代は、強奪された金が五億あると聞いたので、その金を横取りするべく鉄也に迫る。鉄也は、金を使い果たし残りの金を早く欲しいので熊吉を尋ね、二人で清元の金を奪うことにする。そして、清元を呼び出す。一方、能代は、鉄也以外の共犯者を見つけるべく鉄也と熊吉を尾行していた。そこへ、鉄也らに呼ばれた清元が現れ、たまたま能代と遭遇する。清元と能代は面識があった。危険を察した清元は、通りすがりの女を恋人に見立てて拉致して車で逃走、それを能代と鉄也らが追いかける。
ラブホテルに逃げ込んだ清元だったが、路上に停めている清元の車のトランクに金が入っていると判断した鉄也らはトランクを開ける。そこへ能代が現れ、取り出したトランクを持ち去ろうとするが、熊吉がカバンを抱かえて逃走、トラックに轢かれて死んでしまう。しかもカバンの中は紙くずだった。難を脱した清元は拉致した女にブローチをプレゼントして礼を言って、静子と九州に向かうべく自宅に戻るが、そこに国吉がいた。
国吉は、清元が犯人だと突き止めて、金を狙ってきた。清元は仕方なくトランクを隠したロッカーのキーを渡すが、隙を見て乱闘して国吉らを倒す。さらに静子に別れを告げて去って行く。ロッカーにやってきた清元はトランクを出すが、そこに能代が現れ、トランクは盗まれてしまう。能代は羽田に、金を取り戻したら2割を礼金でもらう約束をしていた。能代はトランクを持って羽田組のところに行くが、羽田は、五億あるはずだと逆に能代を追い詰める。仕方なく能代はその場を去る。しかも警察も首になっていた。
金を奪われた清元は、能代に、再度計画を持ちかける。羽田組の事務所では、大花会にきたヤクザの親分に損害の金を渡しているところだったが、そこへ清元が乗り込んでくる。ベランダのカーテンを開けて、清元は、通天閣の上から狙っている能代を使って脅して金を全て強奪、鉄也のいるアジトへ向かう。しかし、アジトでは鉄也が爆弾を作っていて、三人の金の奪い合いになり、鉄也は撃たれて死に、能代も争いの中で車に撥ねられる。虫の息の能代を前に、金を持った清元は、能代が息を引き取るのを見てその場を去るが、実は能代は、腹の下に若妻に約束したマンションの金だけ隠して芝居をしていたのだ。
金を持って高飛びするべく空港にきた清元だが、そこでは地上勤務のアテンダントが、かつて拉致した女だと気がつき、相手も清元に気がつく。清元は銃を忍ばせていざという時に備えたが、女は胸のブローチを触って清元を見逃す。清元は颯爽と飛行機に向かう姿で映画は終わる。
とにかく、二転三転、あれよあれよと裏切りや強奪、疑心暗鬼や、画策が入り乱れての展開がとにかく目まぐるしく面白い。それでいて、奇妙な人間ドラマも人情ドラマも挿入せずに娯楽一辺倒で割り切った脚本も秀逸。これが娯楽映画と言わんばかりに作品だった。
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