くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「Riceboy ライスボーイ」

「Riceboy ライスボーイ」

これはいい映画だった。とにかくカメラが美しい。色彩や構図だけでなくカメラワークも流麗で躍動感に溢れていて、どんどん引き込まれていきます。韓国からカナダに移り住んだシングルマザーと一人息子のヒューマンドラマというシンプルな出立ですが、心にどんどん染み渡って来る何かを感じて胸が熱くなります。本当にクオリティの高いいい作品でした。監督はアンソニー・シム。

 

1990年代、韓国の美しい景色を背景に、主人公ソヨンの人生が語られて映画は幕を開ける。夫が精神的に病んで病院で自殺し、幼いドンヒョンを連れてカナダに移り住んだソヨンだったが、韓国人というだけで、学校ではドンヒョンがいじめに遭い、工場勤めを始めたソヨンも、偏見の目で見られる日々だった。何かにつけて、東洋人というだけで差別されながら必死でソヨンは生き、やがて同じ韓国人のミソンという友達もできる。

 

やがて、ドンヒョンは高校生になり、反抗期を迎える。髪の毛を金髪に染め、友達とドラッグらしきものを経験し、女の子の話に盛り上がる日々だった。ソヨンも職場でサイモンという恋人ができ、それなりに生活は安定していた。ところが、ソヨンは、病院で末期の膵臓癌だと宣告される。ソヨンは絶望する一方で、ドンヒョンに韓国へ連れていきたいと考える。

 

こうしてソヨンとドンヒョンは、亡き夫ウォンシクの実家にやって来る。義母は認知症らしく、異常なくらいにソヨンに罵声を浴びせるが、義父と息子のインシクは快くソヨンらを迎え、一緒に食事をし、帰りにみんなで銭湯に行く。ウォンシクの墓が山の頂にあると聞いたソヨンはドンヒョクを連れて山道を進むが、何度も嘔吐をしてしまう。ドンヒョクはソヨンをおんぶし、ウォンシクの墓までたどり着く。そして二人で墓に報告し、帰路について映画は幕を閉じる。

 

何のことはないお話なのですが、とにかく映像が素晴らしく、ゆっくりと長回しで捉えたり、美しい景色をフィックスで捉えたり、あるいは運動場を駆けるドンヒョクを躍動感あふれる移動カメラで捉えていく。とにかくクオリティの高い作品で、映像がドラマを映し出していくという感じの秀作だった。